受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Spotlight

(「24年10月号」より転載/24年9月公開)

品川女子学院
中等部・高等部

特別講座の一つとして
生徒が新校舎のコンセプトを企画

 品川女子学院では、企業や大学と連携して幅広いテーマの下でさまざまな講義や調査・発表を行う「特別講座」を放課後や長期休暇に参加希望制で実施しています。その一つが、100周年を記念した新校舎プロジェクト。現在中2~高2生が清水建設と共同して取り組んでいます。同プロジェクトの企画に携わった高校生2人と担当の先生に詳しく話を伺いました。

生徒の立案から生まれる新校舎
品川女子学院の歴史に携わる

清水建設の担当者や複数の関係者の前でコンセプトをプレゼンテーション

 品川女子学院では、特別講座のプロジェクトの一つとして、2025年夏に完成予定の新校舎A棟の「庭」と「カフェテリアと図書館をつなぐエリア」のコンセプトを、生徒と清水建設の合同で企画することになりました。「卒業後に、生徒が『品女の歴史に携わった』と思える場所、そして後輩にも『先輩がかかわってできた校舎なのだ』と実感できる場所をつくりたいと思い、この企画が生まれました」と話すのは、担当教員の荻野睦菜先生です。生徒は企画・デザインから資材の決定、予算などまで、ほぼ全体に携わります。進行は、学年の枠を超えて「庭チーム」と「カフェチーム」に分かれて行います。

 参加のきっかけについて、カフェチームで活動中のNさん(高2)は「校舎をつくるという滅多にない機会に巡り合わせたので、『楽しそう!』と思い、参加を決意しました」と話します。一方、庭チーム所属のBさん(高1)は、「この庭は、生徒も先生も毎日通る場所。忙しい品女生や先生方が癒される空間をつくりたいと思いました」と話しました。

社会人と連携して企画を進めることで
広い視野や多角的な視点が養われる

左からカフェチームのNさん(高2)、庭チームのBさん(高1)、担当教員の荻野睦菜先生

 両チームともに、コンセプトについて考えた後は、清水建設の担当者や建築士など、複数の関係者の前で「中間プレゼン」として企画内容を発表。プロの見解を通して改善点の提案などを受け、修正後に「最終プレゼン」に臨みます。このプロジェクトから学んだことについて、Bさんは「柔軟な発想や、実現するためのプロセス、日常生活を想像できるようなテーマのほか、生徒や教員にとって『何があったらうれしいか』という考えを持つことの大切さを学びました」と振り返ります。また、「清水建設の方は『こうするといい』とダイレクトに提案するのではなく、『考えるヒント』を与える形で発想を導いてくださいました。座学の授業とは違う“答えのない問い”を模索するような内容で新鮮でした」と続けました。

 一方、Nさんは「専門家である社会人の方と一緒に作業を進めることで、生徒の視点では気づかなかったこと、広い視野や多角的な視点で全体をとらえることの大切さを実感しました。また、『こういう光を使いたい』と話すと、その光が与える印象などについて詳しく説明していただけ、理解が深まりました」と話します。なお、カフェチームの大きなテーマは「広々と使える」「自由に使える」「品女らしさ」の三つ。Nさんは「品女は活発な生徒が多いけれど、このスペースはカフェと図書室を『つなぐ』場所。いろいろなタイプの生徒が一緒に『何でもできる空間』にしたいと考えています」と今後の抱負を述べました。

 現在は、2チームとも最終プレゼンに向けて活動中。このプロジェクトを経て「成長した」と感じる点を聞くと、「日常のなかで、公園の庭などに目が行き、『この庭はどういう意図でつくられたのか』などと考えるようになりました。問題発見力が少しついたかもしれません」とBさん。Nさんは「清水建設の担当者の方にプレゼン時の話し方を評価され、自分の強みを知ることができました。逆に、資料づくりなど、後輩や同学年の友人の得意分野にも気づき、頼もしい存在になりました」と話しました。

 来夏に向けて、着々と進んでいる新校舎プロジェクト。今後の展開に期待できそうです。

《学校のプロフィール》

品川女子学院中等部・高等部

所在地:〒140-8707 東京都品川区北品川3-3-12
TEL:03-3474-4048

Information

※学校説明会などの情報は下記よりご確認ください。
www.shinagawajoshigakuin.jp/examination/briefing/

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