2021年に校名変更・共学化を行った光英VERITAS中学校・高等学校は、新たなスタートから5年目を迎えました。「答えを求める学びから問いを持つ学びへの変革」をめざし、生徒が興味を持ったことに挑戦できる環境を整えています。同校の教育の柱の一つである「理数・サイエンス教育」について、教頭の関根智秋先生、理科(化学)担当の小磯康平先生、共学化1期生である2人の高2生に伺いました。
理系の人材を育てるとともに
文系の生徒にも理系の楽しさを伝える
教頭
関根 智秋先生
同校の「理数・サイエンス教育」では、基礎知識を習得するとともに、探究的な学びを積み重ね、課題発見力や発想力、論理的思考力、表現力などを育むことを目的としています。特に理科においては、実験が中心の授業であることが大きなポイントです。
自身も理科を担当する教頭の関根智秋先生は、次のように述べます。「実際に自分でやってみると疑問が生じ、次につながる新たな事象がわかってきます。実験がうまくいかなかったときも、『なぜそうなったのか』をしっかりと考える必要があります。この繰り返しが生徒たちの論理的思考力を養うのです」
教員は実験の結果や過程から導かれる知識を示し、生徒の理解の定着を図ります。実験の後にはレポートの提出や発表などを行い、自分の考えを発信することを重視。中3からは仮説を立てて実験を行うこともあります。仮説のとおりにならなかったら、何が違うのか考え、その後の実験につなげていきます。
共学化以降、「理数・サイエンス教育」を明確な柱として打ち出しましたが、その背景には「理系の人材を育てたい」という思いがあります。「この春の卒業生は約36%が理系学部に進学しました。この割合をさらに伸ばし、大学卒業後も大学院に進んだり、研究者として活躍したりする人材を育成したいと思っています」と、関根先生は期待を込めて話します。
理科では年間30回以上の実験を行い、生徒を引きつける企画を豊富に取り入れることで、興味を引き出しながら科学的思考を育てています
論理的な思考が求められる理系的なものの見方は、今後どのような分野においても重要になってきます。文系に興味がある生徒にも理系の楽しさを知ってもらうために、生徒が自由に参加できるイベントも開催しています。科学マジックや科学クイズを一緒に行う「わくわく科学教室」、校舎の4階から卵を割らないように落とす工夫をする「エッグドロップコンテスト」が、その代表的なものです。
関根先生は「相手に何かを伝えるときには、論理的に説明しなければなりません。自分の考えをまとめ、わかりやすく相手に伝える能力は、実験を通して培うことができます。このような力は、ほかの教科においても必ず生かされるでしょう」と結びました。
化学の先生と生徒にインタビュー
実験のおもしろさから化学に興味を持ち
将来の進路を決めるきっかけにも
左から、H.Hさん(高2)、小磯康平先生、Y.Yさん(高2)
──実験が中心の授業になって、生徒にはどのような変化がありましたか。
小磯先生 高2の理系クラスの化学は、習熟度によって三つに分かれており、いちばん上のクラスの授業は実験が中心となります。実際の現象を見ると、条件と結果がどうつながっているのかを考える力がついていくと思います。ほかの現象を見たときにも、「この反応が起きるだろう」と推測する力がつきます。そうすると、初めて見る現象にも対応できるようになるのです。
──中学・高校の授業を受けて、化学により興味を持つようになりましたか。
H.Hさん 小学生のときは化学にそれほど興味はありませんでした。入学してから授業で楽しさを知り、中2からは科学部に所属して、興味の幅を広げました。「わくわく科学教室」では科学部員も運営の一部を担い、大きな実験をステージで行います。理科の楽しさを広める活動にもやりがいを感じています。
Y.Yさん 小・中学校では理科のなかでは化学が好きかなという程度で、高校で本格的に興味を持ちました。実験を行って、物質が変化したり、色が変わったりする反応を見るのがおもしろいと思ったからです。
──将来の進路はどのように考えていますか。
H.Hさん 建築士をめざそうと思っています。幼いころから工事現場に興味を持ち、「ものを建てるのがおもしろそう」と感じていたからです。
Y.Yさん わたしは薬学部への進学を考えています。好きな化学を生かせる学部を調べたら、薬学部が当てはまると思いました。薬剤師として薬局や病院に勤務するほかに、製薬会社やメーカーの研究職など、就職先が幅広いのも魅力です。
──光英VERITASの「理数・サイエンス教育」で、お勧めの点を教えてください。
Y.Yさん 問題を解いているときに、実際に体験した内容が出てくると、「これは実験でやったな」と記憶がよみがえって、イメージしやすくなります。わからない問題は先生や友だちに教えてもらって解決できています。
H.Hさん 化学・生物・物理・中学専用の4種類の理科室が全部で7室あるのは強みだと思います。科学部で夏休みなどにイベントを開催したり、連携協定を結んでいる東京理科大学の学園祭にブースを出させてもらったりと、学校外でも活動の場がたくさんあります。
──受験生にメッセージをお願いします。
Y.Yさん 「探究」の授業では、みずから問いを見つけて予想を立て、結果を導いて今後の課題を考えます。実験でも、仮説を立ててから実際に手を動かし、体験したことから知識を身につけていきます。自分が興味を持ったことをさらに深めていける環境だと思います。
左から、H.Hさん(高2)、小磯康平先生、Y.Yさん(高2)
H.Hさん クラブの種類が多いので、理系だけでなく、それ以外のことに興味を持っている人でも好きなものを選べます。クラブ以外の活動でも、自分のやりたいことに合わせた選択肢が充実している学校です。
小磯先生 現代では興味を持ったものは動画でも見られますが、実際の現象を見てみると、また別の感動が味わえます。学校として「体験すること」を大切にしているので、これからも生徒たちがやりたいと思ったことを実現できるようにサポートしていきます。