「世界を舞台に活躍でき、世界に信頼される人間の育成」を建学の精神に、1966年に開校した山手学院中学校・高等学校。創立以来、国際交流プログラムに力を入れ、今年度からは独自のグローバルリーダープログラム(GLP)を拡充しました。より幅広いプログラムの下で世界的な視野と思考を育む同校の教育の特徴や、好調が続く大学進学実績について、カリキュラムセンター長の渡辺大輝先生に伺いました。
海外研修や留学制度が充実
中3から全員で海外を体験
カリキュラムセンター長 渡辺大輝先生
創立から間もなく60周年を迎える山手学院は、開校当初から国際交流を柱とする教育活動に取り組んでいます。その象徴といえるのが、高2生全員が参加するアメリカ・カナダへの北米研修です。1969年に始まった歴史ある研修で、今年は4月に高2生約600名が11方面に分かれて出発しました。ホームステイをしながら、現地校で授業を受けたり、観光や催しに出掛けたりする2週間を過ごします。日本の文化を海外の人に伝えるのも目的の一つ。生徒たちは自国の文化を見直すところから準備を始めます。
一方、中学では3年の11月に修学旅行として1週間、全員でオーストラリアヘ出掛けます。中学3年間の英語学習の集大成として、身につけた英語力を試す絶好の機会になります。国際交流の初めの一歩にも位置づけられる行事です。
また、中3の3学期には、希望制のニュージーランドターム留学も実施しています。今年は1学年の4分の1に当たる約50名が参加しました。ホームステイをしつつ、現地校に編入して授業を受けるプログラムで、滞在先も学校も全員が別々になります。親元を離れ、ことばの壁を乗り越えながら3か月を過ごすので、「生徒は心身ともにたくましくなって帰ってきます」と渡辺先生。「高校生はもちろん、中学生にも外の世界を見る経験をできるだけたくさんしてほしいと考えています」と、その意図を語ります。
高2の北米研修の3か月後には、研修先の学校から留学生を迎えるリターンビジットを開催しています。今年は7月にアメリカとカナダの生徒約250名を迎え、在校生の家庭に2週間滞在する予定です。その間は一緒にクラブ活動に参加したり、観光に出掛けたりと交流を深め、日本での暮らしを楽しんでもらいます。
進化するプログラムのなか
世界を見据える探究学習
国際教育の一環として2020年にスタートしたグローバルリーダープログラム(GLP)も進化を続け、今年度からさらに拡充されました。文字どおり、未来のグローバルリーダーを育てるためのプログラムで、中2から高2までが対象です。内容は実に多彩で、ゲーム作りから学ぶプログラミングの基礎をはじめ、最新AIの活用法、哲学対話、アルゴリズム、アート鑑賞などさまざま。DXハイスクールに認定されて導入した3Dプリンターを使った商品企画などもあり、年間15の講座が開講されます。同校の教員が講師を務めるものもあれば、外部から専門家を招いて開くものもあります。
今年は「リターンビジット学生会議」と称した講座も初めて開講する予定です。これはリターンビジットで来日するアメリカ、カナダの生徒と共に、社会課題をテーマにディスカッションするもので、北米研修に参加する前の学年も出席できるため、研修の予行練習にもなります。「昨年度よりプログラムの数が1.5倍ほど増え、講座の時間も長くなりました。テーマがバラエティーに富んでいるので、生徒たちには何かしら引っ掛かるものがあると思います」と渡辺先生。GLPを受講することで、机上では完結しない学びを深めてほしいと言います。
このほか、長期休暇中に集中的に学べる国内ツアーと海外ツアーをそれぞれ三つ用意しました。たとえば、大分県の立命館アジア太平洋大学の学生と共にフィールドワークを通じて、社会課題解決の本質に迫って起業家精神を育むものや、シンガポールの国立大学でディスカッションやプレゼンテーションを中心としたリーダーシップ研修に参加するもの。台湾では現地の大学生や留学生と共に英語で活動し、現地の文化と歴史を学ぶフィールドワークやプレゼンテーションを行うなど、とても貴重な経験ができます。
山手学院の国際教育の第一歩。今年度で23回目となる中3生全員で行くオーストラリアホームステイ
1969年から始まった伝統ある北米研修は、ホームステイをしながら、現地校で授業を受けたり、観光に出掛けたりして2週間を過ごすものです
きめ細かい進路指導を徹底
大学合格実績も好調が続く
GLPが拡充され、立命館アジア太平洋大学の学生とのフィールドワークも実施されます
国際教育や日々の授業だけでなく、学校行事やクラブ活動が充実しているのも山手学院の特徴です。最大の行事である山手祭(文化祭)は、例年1万人を超える人が来場。クラブ活動は17の運動部と17の文化部から選択できます。いずれも恵まれた環境のなかで取り組むことができ、行事やクラブ活動を通じて、自己表現力や社会性、リーダーシップ、人間性を育てています。「いろいろなことを楽しみ、がんばることができる学校です」(渡辺先生)
こうした教育環境を背景に、大学合格実績も伸びています。今春は、東大を含む国公立大学に113名、早慶上理に213名、MARCHに539名が合格。総合型選抜で国立大学に進学する生徒も増えているほか、芸術系の大学に進学する生徒もいます。一人ひとりの志望に応じた、きめ細かい進路指導の成果といえるでしょう。
最後に渡辺先生は、受験生と保護者の方に向けて、次のメッセージを送ってくれました。「進学実績から本校に注目してくださる方も多いですが、6年間勉強が中心ということはありません。全員参加の海外研修や探究的な課外活動を充実させているので、わたしたちが発信しているものに何か興味を持ってもらえれば、実りの多い6年間を過ごせるはずです。いろいろな個性を持つ人の入学を楽しみにお待ちしています」