日本国内でも数少ない男女別学の中高一貫校として、文武両道の学びを実践する国学院大学久我山中学高等学校。国際理解教育にも力を入れており、2024年度からは、一定以上の英語力を持つ高校生を対象とした、希望制の「ボストンアカデミック研修」がスタートしました。参加した3人の高2生に、学びの様子を伺いました。
何もかもが新鮮なボストンでの日々
現地の学生とディスカッションも
右から、岡桃瑚さん、河口美優さん、新垣日向さん。3人とも高2生です
─2024年度から新しく始まった、希望制のボストンアカデミック研修に参加しようと思った理由を教えてください。
河口 研修では、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)でのキャンパスツアーや、学生とのディスカッションが行われます。世界最高峰の大学で学ぶ学生と直接話す機会は、人生でなかなかないと考え、さまざまな知見を得るために参加しました。
新垣 英語力を向上させたいと考えたのはもちろん、ボストンという、アメリカの建国に深くかかわった歴史ある街に行ってみたいと思ったのが大きな理由です。研修では、アメリカの文化や歴史を肌で感じる、アメリカ独立史跡ツアーも行われます。歴史はもともと好きなので、英語と歴史の二つを同時に学べるのは魅力的でした。
岡 わたしは、海外の人々と交流する仕事がしたいという夢を、以前から持っていたことが参加の理由です。これまで一度も海外に行ったことがなかったので、現地の人々とのコミュニケーションを通して、アメリカの文化や思想を知りたいと思いました。
─10日間の研修で、印象に残ったプログラムはありますか。
河口 薬学に興味があったので、ハーバード大学で細胞生物学を研究していた、ポール・ヤラベ先生の講座が印象に残りました。先生の話はまるで人生相談のような内容で、心臓病の薬を作る企業に入るべきか、アルツハイマーの薬を研究する企業に入るべきか、みんなの意見を聞かせてほしいと言うのです。わたしは脳の薬に興味があったので、アルツハイマーを研究する企業を勧めましたが、先生が最終的にどのような結論を出したのかはわかりません(笑)。
岡 わたしも、現地の大学生とのディスカッションが楽しかったですね。「最大多数の最大幸福」「トロッコ問題」など、抽象的で答えが出ないテーマを扱ったのが印象的でした。日本語でも文章にするのが難しいテーマなので、最初は英語でうまく議論できませんでしたが、先生や学生と会話を重ね、何とか意見を述べることができました。
新垣 わたしはボストンでの自由行動がとても印象に残りました。自由行動日は、食事も各自で話し合って自由に食べてよく、お昼にはみんなでケネディ大統領も訪れた有名なレストランに行きました。お店の方が親切で、ケネディ大統領が実際に座った席もわざわざ案内してくれて、ボストンの人々の優しさに触れることができました。
─皆さんは英検®2級以上の英語力を持っていますが、実際に現地の方と話すのは大変ではありませんでしたか。
河口 幼いころから英語を学んでいたので、基本的な日常会話は問題ありませんでしたが、やはり単語力とリスニング力が足りないと実感させられました。
新垣 リスニングのテキストと違って、ネイティブの方は話すスピードが速いので、普通の会話でもまるで呪文のようなんですよね(笑)。身振り手振りも交えて会話しました。
岡 わたしも河口さんと同じく、単語力が課題だと思いました。ディスカッションでは、脳内で日本語の文章を作って英語に直そうとしましたが、知らない単語ばかりでうまく直すことができなかったのです。帰国した現在はもっと単語を勉強したいと考えています。
みずから一歩踏み出す姿勢が大切と学んだ
海外への興味もさらに深まる
─研修を通して、特に有意義だったと感じることはありますか。
河口 親元から離れたことで、人の善意がより身に染みました。ケネディ大統領の訪れたレストランでも、店員さんは少し怖そうに見えましたが、勇気を振り絞って会話してみると、とてもフレンドリーな方でした。先入観を持たずに接してみる姿勢の大切さを実感しましたね。
岡 わたしは、日本ではあまり積極的に発言できるタイプではありませんでしたが、アメリカではみずから話す姿勢が問われます。思い切ってどんどん発言することが大事だと学びました。
新垣 わたしも岡さんと同じです。話さなければ、日本と違って誰もわたしの言いたいことを察してくれません。話さざるを得ない状況に置かれたからこそ、たくさん発言して、多くの学びを得ることができました。また、プログラムのなかで発信する機会が与えられ、勇気を持って取り組んだ結果、どんどん新しいことに挑戦しようという、前向きな考えも持てるようになりました。
─今回の経験を日本でどのように生かしたいですか。将来の夢がありましたら、それも教えてください。
河口 研修を通して、留学したい気持ちがより強くなりました。以前は日本の大学に進学して、そこから留学しようと考えていましたが、今は海外大学への進学も視野に入れて検討しています。将来は外資系の製薬会社に入り、心臓や脳の薬の開発に携わりたいと思います。
新垣 現地では、発言することの大切さなど、多くのカルチャーショックを受けました。この経験を通して、今後はさまざまな国の文化や価値観について学び、グローバルな人間になりたいと思います。将来の夢は、観光地で海外の方を案内する全国通訳案内士です。海外の人々に日本の魅力を伝える仕事に興味があるので、大学生になったら通訳のボランティアにも挑戦したいと考えています。
岡 ボストン研修を通して、帰国後も引っ込み思案にならず、一歩踏み出すことを意識しようと思いました。また、もっといろいろな国に行ってみたいという気持ちも強くなりました。次はイタリアを訪れてみたいですね。
─ボストンアカデミック研修を通して、多くの刺激を受けたようですね。皆さんの今後の成長が楽しみです。
10日間の研修では、3人とも多くを学ぶことができたそうです
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マサチューセッツ工科大学(MIT)では、キャンパスツアーなどを行いました
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現地の大学生とのディスカッションや、ワークショップに挑戦しました
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