攻玉社中学校・高等学校は、伝統を大切にしながら、多様な生徒がお互いに高め合う環境を築いています。2026年度入試では、2月5日の特別選抜入試に「国算2教科型」の受験方式を新設。入試の変更点などを国語科主任の石川治樹先生、数学科主任の中野秀太郎先生にお聞きしました。また、放課後に実施されている特別講習について、サピックス卒業生である中1生2人に伺いました。
※3月13日に取材しました。
2教科型の国語の解答は記述式がメイン
算数[共通]では基礎的な能力を測る
国語科主任
石川 治樹先生
数学科主任
中野 秀太郎先生
一般学級の入試は3回の日程で行われています。このうち、第1回(2月1日)と第2回(2月2日)の試験科目は4科です。2月5日の特別選抜は、これまで算数1教科型のみでしたが、2026年度は国算2教科型が追加されます。特別選抜では、A方式(算数1教科型)とB方式(国算2教科型)のどちらかを選択。算数[共通]は両方式とも同一の問題で、加えてA方式は算数[発展]、B方式は国語を受験します。各回の募集人数にも変更があり、第1回90名、第2回70名、特別選抜40名(A・B方式合計)となります。
同校の一般学級の入試は4科を基本の方式としており、近年は2科入試を行っていませんでした。これまでも、国際学級や算数1教科型入試でさまざまなバックグラウンドを持つ生徒が入学していましたが、より幅広い受験生に受けてもらいたいという思いから、今回の変更に至ったそうです。算数と国語の基本となる学力と、それぞれの教科で特に身につけてほしい力を測る、新たなタイプの入試として導入されます。
特別選抜の国語の入試は、文章問題が1題の構成で、解答形式は記述がメインとなります。この狙いについて、石川先生は「長めの文章を正しく読み取る読解力、内容を理解して適切にまとめる構成力や表現力、国語に関する興味・関心や知識力など、総合的な国語力を測りたいと思っています」と説明します。4科入試の国語は選択肢で解答する問題が多いため、特別選抜では、自分で深く考えて解答を書く練習が必要となります。石川先生は「文章の読み取り方は4科入試の国語と同様なので、過去問を活用し、選択肢から選ぶのではなく、自分で解答を作成してみると対策ができます。ホームページにサンプル問題も掲載されているので、参考にしてください」とアドバイスしました。
一方の算数は、2025年度入試までの算数1教科型の出題形式を継続します。「[発展]はこれまでの算数Ⅱと同様に、記述を含めた多方面の思考力を要する問題ですが、[共通]は基礎的な能力を測る標準的な問題が中心となります」と中野先生。「[発展]では楽しんで解いてもらえる問題を作るように心がけています。ひらめきが必要というわけではなく、出題の意図を把握して、粘り強く考えていけば解答を導ける問題です」
お二人の先生は、受験生に向けて次のようなメッセージを送りました。
「国語は物事を考える基本となる教科です。いろいろなことを考えるのが好きな人、国語への興味・関心を強く持っている人は、新しい入試にぜひ挑戦してください」(石川先生)
「算数では、まず基礎・基本をしっかり学習して、計算力をつけてください。[発展]の問題には、その場で試行錯誤しながら粘り強く考える力があれば、解けるものがたくさんあるはずです」(中野先生)
2026年度よりリニューアルした特別講習
ていねいな指導で学習への意欲も向上
同校では入学してからも、さまざまな面で手厚いサポートが受けられます。学習面で目をひくのは、放課後に行われている希望制の「特別講習」です。2026年度からは内容を大幅に刷新。英語・数学・国語の3教科から、理科・社会なども含む全教科に拡大し、実施する期間と対象にも幅を持たせます。学年を超えて参加できる講座もあり、みずから選んだ授業にじっくりと取り組めるのが特長です。受講料はかかりません。
中1の岩元悠悟さんは数学と国語、松並真也さんは英語を受講しました。数学では、先生が作ったプリントを配り、前半で生徒が問題を解き、後半に先生が解説を行います。国語では、評論や小説の記述問題をあらかじめ自宅で解いて提出し、講習で先生が解説します。英語では、教科書に載っている長文をその場で読んで問題を解き、先生の解説を聞きます。
特別講習を受けた感想を、岩元さんはこのように話します。「家ではなかなか勉強できないのですが、勉強への意気込みを持った人がそばにいると、『自分もやらなければ』と気持ちが引き締まり、競争心も芽生えてきました。国語の記述問題は先生が採点してコメントもつけてくれるので、解説がよりわかりやすくて役立っています」。中1から本格的に英語を学んだ松並さんは、「攻玉社の授業を受けて、『英語っておもしろい』と思いました。特別講習では、授業では扱わない長い文章を読みますが、初めて取り組む生徒でもわかるように、先生がていねいに解説してくれます。国際学級の生徒も受講しているので、大いに刺激を受けて、さらにレベルの高い文章や問題に挑戦したいという意欲も湧いています」と笑顔で語ります。
後輩の受験生に向けては、次のようなメッセージを送ってくれました。
「ぼくは一般学級の4科入試で入学しましたが、特別選抜の算数の過去問を解いてみたらおもしろいと思えて、それから算数の勉強が楽しくなりました。苦手だった国語の物語文は、SS特訓のテキストを活用しながら、語彙力を伸ばすことを心がけて克服しました。皆さんも苦手な分野があっても対策を考えて、入試を乗り越えてください」(岩元さん)
「最後まであきらめないことが大切です。ぼくは算数が苦手でしたが、SS特訓に集中してしっかり復習したら、最後の最後で偏差値が上がりました。攻玉社にはガンダム研究部など変わったクラブもあって、部活動も授業も充実しているので、毎日がとても楽しいです。皆さん、今はつらいと思いますが、中学校での楽しい生活を思い浮かべてがんばってください」(松並さん)
サピックス卒業生の岩元悠悟さん(左)と松並真也さん(共に中1・一般学級)
英語の特別講習の様子