2022年春に開校した、金沢学院大学の附属校である金沢学院大学附属中学校・高等学校。東京駅から北陸新幹線で約2時間30分の金沢の地で、学校・塾一体型の学習システムを導入した中高一貫教育を実践しています。学習サポートが充実した寮も備わっており、難関大学合格に向けて、勉強に集中できる環境が整っている点も大きな魅力です。副校長の松原肇先生に、同校の学びについて詳しく伺いました。
特進コースでは先取り学習を実施
勉強もクラブ活動も日本一をめざす
副校長
松原 肇先生
金沢学院大学附属中学校・高等学校は、「勉強日本一、部活も日本一」というスローガンを掲げる、2022年春に開校したばかりの中高一貫校です。2024年夏には、中高一貫コースの生徒が学ぶ4階建ての新校舎が完成。20の教室、職員室、食堂に加えて、グループ学習に適したラーニングコモンズや、書籍の閲覧や検索をする際に便利なメディアゾーンなど、より充実した学びの環境が整いました。
中3となった1期生たちの様子について、副校長の松原肇先生は「先輩がいないからこそ、自分たちでゼロから創っていこうというパイオニア精神があります。清鐘祭(文化祭)もスポーツ大会も、今後どのような進化を遂げていくのか楽しみです」と期待を寄せます。
同校では、中学から「特進」「総合」の2コースに分かれ、授業もコースごとに異なるカリキュラムで実施されます。最難関国立大学・医学部・難関私立大学への進学を目標に掲げる特進コースでは、週37コマの授業時間を確保し、英語・数学を中心に先取り学習が行われます。進度は速く、中2の3学期までに中学の内容を、高2終了までに高校の内容を学び終えます。「クラブ活動への参加は任意ですが、95%の生徒が何らかのクラブに所属しています」と松原先生。「勉強日本一、部活も日本一」というスローガンどおりの、文武両道の学校生活を送っています。
一方、大学までの10年一貫教育を前提とする総合コースでは、週30コマの授業時間数を設定しています。受験に左右されない継続した学びにより、深い教養を身につけるのが本コースの目標です。原則として全員がクラブ活動に参加する点も総合コースの特徴で、選手や指導者として実績のあるトップクラスのコーチ陣が、質の高い指導を行っています。
石川県の学校だからこそできる学び
特色ある授業がそろう
両コースに共通しているのが、「一人も取りこぼさない」教育です。授業以外にも、学習塾と協力した「校内塾」を実施しており、授業をより深掘りした内容を学ぶコースや、授業進度に合わせて疑問を解消するコースなどを用意しています。さらに、寮生向けには金沢大学医学類や金沢学院大学教育学部の学生がチューターとなって、個別指導を実施。授業・校内塾・寮内学習の「学びの三層構造」により、学力を徹底的に伸ばす支援・指導を行っています。
同校では「考えることを楽しむ学び」も大切にしています。KGタイム(総合的な学習の時間)では、中1で石川県の地理的環境や文化・産業について学んだり、中3で石川県の伝統工芸漆器である「輪島塗」の企業とコラボして、伝統産業を守るための方法を考えたりするなど、石川県にある学校だからこそできる学習も行っています。「KGタイムの最後に行う課題研究発表会では、学んだ成果を英語で発表します。とても上手な生徒から、ところどころ詰まってしまう生徒までさまざまですが、高1でのオーストラリア研修に向けて、英語の学びも同時に深めていきたいと考えています」と松原先生は説明します。
そのほかにも、数学・国語・英語の小テストを毎朝実施し、間違えた問題を解き直す「朝学習見直しノート」、世の中の事象を題材として、自由な意見やアイデアを出し合い文章にまとめる「探究型作文講座」、高校や大学の国際交流センターと連携したオールイングリッシュの授業を行う英語教育など、特色ある学びがそろっています。
課題研究発表会や清鐘祭では、KGタイム(総合的な学習の時間)で調べたことを英語で発表します
寮からは栄養バランスのとれた朝食・夕食が、登校日には昼食(弁当)が学校に届けられます
快適な生活を送れる「中学清鐘寮」
学習習慣もしっかりと確立
毎日20時10分から21時50分までは寮内学習の時間。金沢大学医学類の学生が質問に答えてくれます
学校から徒歩15分の場所にある「中学清鐘寮(男子寮・女子寮)」も同校の自慢です。冷暖房やWi-Fiを完備した個室、大きな大浴場、語り合いの場であるリビング・コモンズなど、快適な生活を送るための設備が整っています。「2024年9月現在で106名が入寮しており、石川県や富山県をはじめ、東京都・愛知県・大阪府・沖縄県など、全国各地から集まった生徒たちが共に暮らしています」
寮では、日課に準じた行動を通じて自己管理能力を培います。整理整頓・ごみ出し・洗濯などは自分で行うため、自主性・自立性が身につくといいます。また、定期的に実施される寮内レクリエーションによって、協調性やコミュニケーション能力も育まれていきます。「週に一度は、『寮生集会』と称した、寮生活をより快適にするための話し合いも行っています。寮生同士のコミュニケーションが円滑にとれるように、学校側もさまざまな工夫をしています」と松原先生は話します。
学習習慣を確立できる点も寮のメリットです。毎日20時10分から21時50分までは寮内学習が義務づけられているため、学校の成績は寮生のほうが高い傾向にあるとのこと。学習サポートも充実しており、寮担当教員による授業や、金沢大学医学類と金沢学院大学教育学部の学生チューターの個別指導も受けることができます。
生活面でのサポートも万全です。平日は寮の1階にある食堂で朝食(6時40分以降)と夕食(19時以降)をとり、登校日の昼食は食堂で作られた弁当が学校に届けられます。各食とも専属の管理栄養士が監修しており、栄養バランスに優れた出来立ての食事が提供されています。また、医療体制やセキュリティー体制も整っており、保護者も安心してわが子を預けることができます。休日にはクラブ活動に汗を流したり、金沢市の街中で息抜きをしたりするなど、思い思いに過ごしているようです。
「同級生や先輩が勉強をがんばる姿から、日々刺激を受けられることが寮生活の大きな魅力だと考えています。1期生を中心に、寮の良き伝統をつくり上げてくれることを期待しています」と松原先生は話しました。
今後は、医学部志望の高校生向けに、病院見学の実施などを検討しているとのこと。志を高く持つ生徒が、学校生活を全力で楽しみながら、勉強に集中できる環境が備わっています。