多摩丘陵の緑あふれる環境にキャンパスを置く帝京大学中学校・高等学校。少人数教育ならではのきめ細かい指導により、教員は生徒一人ひとりとじっくりと向き合い、信頼関係を築いています。学習習慣と基礎学力を定着させる教育や、さまざま体験を通して成長する生徒の様子などについて、入試広報部主任の竹之内毅先生に伺いました。
学年担当の教員8名が連携
保護者ともしっかり話をするスタンス
入試広報部主任
竹之内 毅先生
帝京大学中学校・高等学校では、中高6年間を、中1・2の「基礎学力育成期」、中3・高1の「思考力育成期」、高2・3の「判断力・応用力育成期」という3期に分け、生徒一人ひとりをきめ細かく指導する少人数教育を実践しています。「本校は何よりも生徒を大切にする学校です。一人ひとりと接する機会を多くするために、少人数教育を重視しています」と話すのは、入試広報部主任の竹之内毅先生です。中学校の1学年の人数は約120名で、約30名のクラスが四つ。学年担当の教員8名が連携して情報を共有し、チームで生徒に向き合っています。「生徒の性格や考え方を理解し、保護者の方ともしっかりと話をするスタンスを大切にしています」と竹之内先生は強調します。
学校生活の様子について、「生徒の人数が少ないので、たとえば文化祭などの学校行事も、生徒が自分たちで考えなければ何も進みません。教員は、危険が伴いそうなところは注意しますが、生徒に任せて見守っています。『自分で動く大切さ』を学んでもらいたいと考えています。人数が少ないため、アイデアの一つひとつも思い切ったものが出てきます。流されるのではなく、意見をぶつけ合いながらも、まとまるときはみんなで結束して協力できています」と話します。
学習習慣を定着させる「朝講座」と
生徒の取り組み方を知る「学習計画表」
学習面において、中1・2の「基礎学力育成期」は学習習慣・基礎学力など、学びの土台を固めます。手厚い指導で一人ひとりの学習計画を把握し、主要5教科を中心にていねいにサポートします。「中学受験での志望校合格はゴールではなく、本校への入学をスタートとしてとらえてほしいと思います。学校の授業とその復習、定期テストへの対策にしっかりと取り組むことで学力が身につき、後の大学受験につながっていきます。この“しっかりやる”習慣を2年間かけて定着させていきます」と話します。
基礎学力と学習習慣の定着のために、毎朝5〜10分程度実施されているのが「朝講座」です。週3回、英単語・数学・漢字は小テストがあり、基準点に達しない場合は再テスト・補習が行われます。朝講座について竹之内先生は、「準備をすれば確実に満点が取れるテストなので、能力の問題ではなく、課題をしっかりとこなす意識が重要です。学習習慣を身につけることと、1時間目の授業に向けて集中力を高めることを目的としています」と説明します。
難関大学に合格した卒業生からも、「朝講座があってよかった」という声が多いとのことです。朝講座がきっかけとなり、中1からこつこつと継続的に学習・復習する習慣を身につけたことが、志望校合格につながったようです。
一方、計画的に学習に取り組むことを重視して導入されているのが「学習計画表」の作成です。生徒は、定期テストの2週間前から学習計画を立て、実際の学習時間・内容を記録します。この計画表について竹之内先生は、次のように述べます。「学習計画を立てても実行できなければ意味がないので、生徒はその日にやること、できたことをまず書いてほぼ毎日提出します。教員はコメントを書いて戻すのですが、数日経つと、科目ごとの偏りや日常生活の様子などテストが終わってから、ふだんの生徒指導や面談での材料としても活用しています」
高1のニュージーランド語学研修旅行。帰国後、それぞれが新しい目標に向かって英語への学習意欲を高めています
学習時間・内容を細かく記録する学習計画表。生徒一人ひとりの取り組み方を修正していくきっかけにもなります
多くの体験や、高め合う環境のなかで
それぞれの意欲が向上していく
中2の「職業調べ」では、興味のある仕事について、自分でアポイントをとって職場を訪問し、調査を行います。中3では、それぞれがテーマを決め、卒業論文を執筆します
さまざまな体験を通して、生徒がみずから学ぶ楽しさを実感できるよう、宿泊行事も豊富です。中1の7月に行われる林間学校は、入学後3か月で学校や友だちに慣れてきた時期に、自然のなかで楽しい思い出をつくる機会です。グローバル教育にも力を入れており、中2では福島県のブリティッシュヒルズでの2泊3日の語学研修旅行が実施されます。オールイングリッシュで過ごす時間や、全員参加のスピーチコンテストといった体験を、高1での語学研修へとつなげていきます。「高1のニュージーランド語学研修旅行は、30年以上前から実施しているプログラムで、参加率は毎年約85%を超えています。帰国後、英語が苦手だった生徒は『意外と通じた』と話し、得意な生徒は『もっとリスニングができるようになりたい』と意欲を高めています」と語ります。
中3からは、成績上位30名は「Ⅰ類クラス」に、ほかの3クラスは「Ⅱ類クラス」としています。竹之内先生は、「Ⅱ類クラスに入ってもがんばる生徒は少なくありません。その段階での成績なので、過去にはⅡ類クラスから発奮して東大や一橋大、早慶等の難関大学に合格した卒業生もいます」と言います。続けて、Ⅰ類クラスで刺激を受け、成長した生徒の例も挙げました。「英語は得意だけど数学が苦手で、Ⅰ類に入れるか微妙な成績の生徒がいて、わたしたちはⅠ類を勧めました。本人は自信のない様子でしたが結局Ⅰ類クラスに入りました。最初は数学が最下位の成績でしたが、徐々に真ん中くらいに向上し、努力を継続した結果、一橋大学法学部に進学しました。高め合える環境、苦手を補う指導に適応したのだと思います」
最後に竹之内先生は、「生徒を大切にする本校は、学習面も心の成長も一人ひとりをしっかりと見守っています。少人数だからこその面倒見の良さが強みと言えます。生徒と本気で向き合って絆を強くしていく学校です。これから入学する皆さんとの新しい出会いを楽しみにしています」とメッセージを送りました。