多様な教育プログラムを通して
自分の進むべき道を見いだす
進路指導・研究部長 橋本泰久先生
「本校では、進学実績の数字だけを追い求める進路指導は行っていません。さまざまな経験を通じて一人ひとりの資質や能力を伸ばし、みずからに与えられた使命を模索していけるように、生徒の挑戦をバックアップしています」
橋本先生はこのように述べ、同校が実践している多彩なプログラムを紹介しました。
最初に挙げられたのは、国際交流のプログラムです。同じカトリック校である近隣の栄光学園とともに参加する「ボストンカレッジEver to excel」に加え、昨年は上智大学との連携プログラムとして「タイ・スタディーツアー」が新設されました。このほかにも、清泉インターナショナルスクールへの1週間留学やニュージーランド・オーストラリアでのターム留学、ボランティア体験を中心とした「ベトナム・スタディーツア―」があり、今年の夏は姉妹校での「アイルランド語学研修」も予定されているとのこと。さらに、タイで開催された模擬国連にも参加するなど、国外での活躍の場は拡大しています。橋本先生は「参加した生徒たちからは、他校や海外の学生と交流するなかで視野が大きく広がり、将来の目標を発見できたという声が上がっています。これからも、世界に広がる姉妹校のネットワークを生かして、より多くの生徒に同じような体験の機会を提供したいと考えています」と話しました。
中学3年間を通じて探究心を培う「My Story Project」も、生徒が自分の歩む道と出合うきっかけとなっています。橋本先生は「中3のときに探究活動のテーマとして『日本書紀・古事記』を選び、それを進路につなげて最適な学習環境を求めた結果、東京大学に進学した生徒もいます」と振り返ります。
希望進路を実現させるサポート体制を整備
今年度から新たな自習室も誕生
自習室で卒業生に課題を見てもらう生徒の姿
今春も、東京大学への合格者2名を含む多くの生徒たちが、それぞれ希望の進路を実現させました。進学先としては2:1の割合で文系が多くなっていますが、実験・観察を重視した理科教育にも力を入れているため、「理系の知識を他者のために役立てたい」と看護・医療系の進路を志す生徒も増えています。姉妹校である清泉女子大学への推薦制度はもちろん、上智大学にもカトリック高等学校対象の特別入試の制度があるほか、横浜市立大学2名、慶應義塾大学理工学部3名の指定校推薦枠を持っていることも強みです。
文系クラスの約6割の生徒が受ける総合型選抜入試については、高3の選択科目として進路別に小論文の授業を設け、面接練習も頻繁に実施しています。「全学年に週1コマの『倫理』の時間があるのも本校の特徴の一つです。高3では生命倫理や平和学・地球環境学に関する内容を学ぶので、小論文に必要なものの見方も身につきます」と橋本先生は言います。
また、例年、受験終了後の高3生が高1・2の生徒に向けて自分の体験を語るイベントを実施し、それをまとめた約80ページにも及ぶ合格体験記「進学のしおり」を全学年に配信するなど、先輩からの支援も在校生の受験へのモチベーションを高めています。さらに今年4月には、放課後の自習室「チューターplus」が開設されました。橋本先生は「これまでのプログラムをパワーアップさせ、本校の卒業生以外に他校出身の大学生もチューターとして加わり、質問や進路相談に対応します。こうした取り組みによって、校内だけでは得られないロールモデルを広げていきたいと思っています」と語りました。
最後に、橋本先生から、次のようなメッセージが送られました。
「進路指導をするうえで、わたしたち教員に共通している思いは、『生徒の一番の希望をかなえる』ということです。本校には、自分の好きなこと、やりたいこと、そして苦手なことも見つけられる環境が整っています。その後の人生の幹となる大切な中高6年間を、一緒に楽しく過ごしていきましょう」
寮に泊まり、各国から集まった学生たちと価値観を共有する「ボストンカレッジ研修」
「My Story Project」の成果発表の様子。この生徒はモデルロケットライセンスを自ら取得して実験に臨みました