受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「24年7月号」より転載/24年6月公開)

国学院大学久我山中学
高等学校

「入試報告会」で2024年度入試を総括
受験生に求められる力とは?

 数少ない男女別学の中高一貫校である国学院大学久我山中学高等学校。学習はもちろん、クラブ活動にも力を入れている文武両道の同校で、5月11日(土)に「中学入試報告会」が行われました。その模様をレポートするとともに、教頭の三戸治彦先生と、広報部の梶善之先生に、2024年度入試の総括や、2025年度入試のポイントなどを伺いました。

合否を分けた問題や
学習のポイントを解説

 5月11日(土)、国学院大学久我山中学高等学校で「中学入試報告会」が実施されました。2024年度入試の総括や、2025年度入試のポイントが説明されるとあって、会場となったホールは多くの小学生とその保護者で満員となり、同校の人気の高さがうかがえました。

 報告会では、最初に2025年度入試の要項が発表されました。2024年度からの大きな変更はないとの説明に、参加者は一斉にメモを取ります。

 続いて、応募者・実受験者数の昨年度比や、スライド合格のしくみについての説明がされた後、2024年度入試の4教科の解説が行われました。

 まず壇上に立ったのは、国語科の柳井愛梨彩先生です。「特進に当たるSTクラスの入試問題と、男子一般・女子CC(カルチュラル・コミュニケーション)の入試問題との違いは、文章の長さです。ST入試では、長文を速く、正確に読む力が求められます」と柳井先生は話します。

 合否を左右したのは「記述問題」です。選択肢から選ぶ問題は正答率が高いものの、自分で解答文を考える問題は、ミスが多い傾向にあったとのこと。「指定された語句を忘れずに使うなど、ふだんの学習からケアレスミスを減らすように意識してください」と注意を促しました。さらに柳井先生は、「問題文のほとんどは、入試前年に出版された作品から取り上げました。なかには、奈良時代の人々の食生活を紹介した書籍からの出題もありました。さまざまな年代・ジャンルの本に触れて、読書力を身につけてほしいと思います」とアドバイスを送りました。

 次に壇上に立ったのは、数学科主任の飛田裕一郎先生です。処理力・理解力・思考力・計算力など、総合的な力が求められる同校の算数ですが、2024年度入試で合否を分けたのは、ST・一般・CC問わず「割合」「図形」だと指摘。さらに、「たとえば、スープの割合を求める問題の全体正答率は48%でしたが、合格者は男子が84.6%、女子は66.7%が正解しています。割合の問題は必ず出題されると考えて、きちんと学習してほしいと思います」と呼び掛けました。重ねた積み木の面積を求める問題も、全体の正答率は37%と低い結果でしたが、男子合格者は70.1%、女子合格者は46.7%が正解しており、合否を分けた問題であることは一目瞭然です。「問題文の内容をきちんと読み取れていない解答も多く見られました。問われていることを正しく理解して、最後まであきらめずに手を動かすのが算数の得点力をアップする基本ポイント。この点を踏まえて学習してください」と、飛田先生は参加者に伝えました。

 次に、社会科の高橋知尚先生から、社会の入試問題のポイントについて説明がありました。差がついた問題は、「自分の持っている経験を結びつけて考えるもの」だと言います。たとえば2024年度入試では、月別の取引量を表した複数の棒グラフから、どれがカーネーション・小菊・バラの取引量を表しているかを答える問題が出題されましたが、正答率は高くありませんでした。「このうち、5月に取引量が増えている棒グラフがありますが、5月の母の日にカーネーションを贈った経験があれば、特別な知識がなくてもすぐに答えがわかります」と高橋先生。教科書レベルの基本的な知識を押さえつつ、想像力をはたらかせて問題に臨んでほしいと話しました。

 最後に登壇したのは、理科の近藤秀幸先生です。算数と同じく、理科でも問題文を読み取れていない解答が見られたとのこと。「問題文が長くなるほど、正答率が低くなる傾向が見られます。男子一般・女子CCの入試で出題した生物の問題では、長いリード文と選択肢の比較ができていない受験生が多く、合否を分けました。問題文にヒントが隠されているため、ていねいに文章を読んでほしいと思います」とアドバイスを送りました。学習のポイントとしては、基本的な知識の定着を挙げました。「教科書の内容はもちろん、身のまわりの出来事やニュースにも興味を持ち、知識を蓄えてください」と近藤先生。問題集や過去問へのチャレンジで、理科の力を磨いてほしいと伝えました。

中学入試報告会の会場となったホールは満員。同校への関心の高さがうかがえます 数学科主任の飛田裕一郎先生など、4教科の先生が、ミスの多かったポイントなどを解説しました 配布された冊子には、2024年度入試のポイントが詳しく書かれており、多くの親子が熱心に読んでいました
算国では基礎の力を
理社では思考力を試したい

―2024年度入試の総括をお願いいたします。

三戸 女子の応募者・実受験者数が前年度に比べて増加し、手応えを感じています。2024年春には女子CCの一期生が卒業しましたが、医学部や海外大学など、すばらしい進学実績を残してくれました。彼女たちの努力もあり、女子CCが受験生に認知されてきたのだと思います。一方の男子は減少しましたが、これは前年度の入試で、応募者・実受験者数がぐっと増えた揺り戻しだと考えています。

―2025年度入試では、どのような力を試したいですか。

三戸 算数と国語については、基礎をこつこつと学習した受験生の努力が報われてほしいと考えています。そのため、入試問題も特別な知識がないと解けないものではなく、積み重ねた実力を発揮できるものにしたいですね。そのうえで、問題文を長くしたり、前提条件を複雑にしたりして、読む力を試すものにする予定です。

 理科と社会に関しては思考力を重視しています。持っている知識を使って、どのように考えて答えを導き出すか。その力を試す問題を作成したいと考えています。

―受験生に向けて、「久我山だからこそ」の魅力を教えてください。

左から、教頭の三戸 治彦先生と、広報部の梶 善之先生

三戸 まずは男女別学であることです。授業は別々でもクラブ活動は一緒に取り組むなど、異性との距離感を自分で調整できるのは、多感な中学生にとって大事なことだと思います。また、男女それぞれの特徴に合わせた教育を行えるのも大きなメリットです。

 本校はクラブ活動に力を入れていますが、強豪クラブであっても、学習を大切にする文化が根付いています。たとえば、合宿中に勉強する先輩の背中を見て、後輩も同じように学ぶ。これは教員ではなく、生徒たちがつくり上げた本校の財産だと感じています。

《学校のプロフィール》

国学院大学久我山中学高等学校

所在地
 〒168-0082 東京都杉並区久我山1-9-1
 京王井の頭線「久我山」駅より徒歩12分、京王線「千歳烏山」駅よりバス10分 TEL 03-3334-1151
H P www.kugayama-h.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

《各種行事日程のお知らせ》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
www.kugayama-h.ed.jp/nyushi/setumei/jhi_setumei/

ページトップ このページTopへ