1期生の全員が公立小出身者
早くもリスニング力が大きく向上
上野学園中学校・高等学校
国際コース プログラム・ヘッド
ロバート・ブライト先生
今春、創立120周年を迎えた上野学園中学校・高等学校では、21世紀を生き抜く国際的な力を備えた生徒を育てるため、国際コースを新たに開設しました。このコースでは、CLILの手法を用いながら、ケンブリッジ国際教育カリキュラムと日本の学習指導要領を融合させ、独自の教育を展開しています。生徒たちは、英語・数学・理科・音楽・体育・アート&デザインなどを英語で、国語・社会・道徳を日本語で学習します。
このコースを設立した動機について、プログラム・ヘッドであるロバート・ブライト先生は「すでに高い英語力を有する子どもだけでなく、日本の公立小学校でしか英語学習経験のない子どもにも開かれた国際コースをつくりたいと考えました。授業の約7割が英語で、約3割が日本語で行われますが、生徒たちにはこのコースでの多彩な学びを通して、単なる言語としての英語だけではなく、21世紀に必要なさまざまなスキルを獲得してほしいのです」と説明します。
そのことばどおり、この春入学した第1期生6名は、全員が日本の公立小学校の出身です。授業のみならず、ホームルームもすべて英語で行われるため、初めは戸惑う様子も見られましたが、「学校生活に慣れていくにつれて、全員のリスニング力が飛躍的に伸びました。その順応ぶりは、ほかのネイティブ教員も驚くほどです。今後の成長が非常に楽しみです」とブライト先生は期待を寄せます。
とはいえ、子どもにとって、さまざまな教科を英語で学習することはけっして容易ではありません。そのため、授業ではいくつかの決まりを設けています。一つ目は、前回の復習と、新出単語の紹介をすべての授業の最初に行うことです。そして二つ目は、新出単語の数に上限を設け、類義語を提示しながら理解を促すことです。具体的には、「Function」という単語を学ぶ際には、「Job」「Work」という平易なことばに置き換え、単語の持つイメージを想起しやすいよう工夫しています。
また、生徒たちは授業でわからないことがあるときや、友だち同士で話し合うときは、日本語の使用が認められています。その理由について、ブライト先生は「日本人としてのアイデンティティーを保持したまま、国際的なスキルを身につけることがこのコースの趣旨だからです」と説明します。そして、「外国語の概念が確立するまでは、母語の助けを借りたほうが、より深い理解につながるという側面もあります」と、母語を併用するメリットを付け加えました。これは、20年前に初めて来日したブライト先生が、外国語として日本語を学ぶなかで、身をもって感じたことでもあるといいます。
※CLIL(Content and Language Integrated Learning)…内容言語統合型学習
国際大学入学資格「A-Level」を取得し
自己実現に最適な進路選択をめざす
ブライト先生による理科の授業。“Cell”(細胞)にまつわる単語とそれぞれの働きについて学んだ後、iPadを使ってペアワークに取り組んでいました
同コースが採用するケンブリッジ国際教育プログラムは、世界的に有名な教育メソッドの一つです。すべての授業のなかで、生徒の「自信(Confident)、責任感(Responsible)、思索(Reflective)、革新(Innovative)、主体的(Engaged)」の五つの要素をバランスよく伸ばすように設計されています。また、タームごとに大きなテーマがあり、それを補完するように各教科の授業が設定されているのも特徴的です。たとえば、1学期の初めは「Me and my place in the world(わたしと世界のなかのわたしの居場所)」というテーマの下、各教科で“わたし”を構成するものを学んでいきます。すべての授業が一つのテーマに連動しているので、点と点ではなく、一本の線でつながった体系的な学びが得られるというわけです。このカリキュラムで学んだ後は、国際的な大学入学資格である「A-Level」を取得すると、国内外の大学への進学が可能になりますが、ブライト先生は「必ずしもそれが有名大学である必要はない」と考えています。「あくまで生徒には、自己実現につながる最適な進路を選択してほしいのです。それが、このコースがめざす将来像です」と続けます。
さて、同コースの入試では、国語・算数・英語・面接が課されます。英語入試と聞いて身構える受験生も少なくありませんが、「公立小学校の学習内容から出題するので、どうか安心してください」とブライト先生はフォローします。また、試験の点数だけを見るのではなく、面接や事前提出の作文から受験生の人となりを総合的に判断することを重視しているとのことです。「われわれは中学入学時点で高い英語力は求めていません。大切なのは、『英語を学びたい』『将来は国際的に活躍したい』という意欲があるかどうかです」と強調しました。
最後に、ブライト先生は受験生に向けて「ぜひ、オープンキャンパスや体験授業に参加してください。充実した英語環境にきっと満足してもらえるはずです」と話すと、「Challenge yourself. It's the only path which leads to growth. (自分に挑戦しましょう。それが成長につながる唯一の道です)」とエールを送ってくれました。
Students' Voices
Q.上野学園を選んだきっかけを教えてください。
A.
Aさん 自分の将来を考えたときに、上野学園ならとても良いチャンスを持てると思ったからです。
Bさん 国際コースのArt & Musicという体験授業を受けて、おもしろいと思ったことが上野学園を志望するきっかけとなりました。
Q.オールイングリッシュでいろいろな教科を学習してみていかがですか?感想を聞かせてください。
A.
Aさん 英語はそんなに得意ではありませんでしたが、先生や友だちが優しく教えてくれるので、今は授業がとても楽しいです。
Bさん これまでほとんど英語は勉強していませんでしたが、入学後の1か月間でこのオールイングリッシュの環境にも慣れることができ、上達したと実感しています。
Q.これから上野学園で挑戦してみたいことや、将来の目標を教えてください。
A.
Aさん 英語やほかの言語を学習しながら、自分の好きなことを見つけていきたいと思っています。
Bさん 英語でなるべくコミュニケーションをとれるようにして、上野学園で学習を進めていくなかで自分のやりたいこと、また、進みたい方向をじっくりと考えていきたいです。