「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」を教育目標に掲げている、東京女学館中学校・高等学校。学習はもちろん、クラブ活動にも力を入れており、合唱部・ギター部・オーケストラ部では、毎年、東京の学校が共同で開催する「第三支部生徒演奏会」に参加しています。ギター部の部長で、演奏会の実行委員長を務めた生徒と、オーケストラ部で、演奏会の実行副委員長を務めた生徒に、演奏会の感想を伺いました。
東京女学館を志望する決め手になった
個性的な音楽系クラブ
左から、オーケストラ部のH.Kさん、ギター部のE.Kさん
東京女学館中学校・高等学校には、ほかの学校ではあまり見られない、ギター部やオーケストラ部といった個性的な音楽クラブがあります。
中1から高2まで、ギター部で部長を務めた高3生のE.Kさんは、もともとギター演奏の経験はありませんでしたが、仮入部で先輩たちに優しく指導してもらい、入部を決めました。「東京女学館のギター部は、ソロで演奏するのではなく、五つのパートに分かれ、みんなで合奏するのが特徴です。わたしは初心者なので最初はうまく演奏できませんでしたが、中1の夏休み合宿でメドレー曲を演奏できるようになり、うれしかったです」と思い返します。
中1から高2までオーケストラ部に所属した高3生のH.Kさんは、オーケストラ部の存在が、東京女学館を志望する決め手になったと言います。「もともと小学校のクラブでトランペットを吹いていたので、東京女学館にオーケストラ部があると聞き、『すごい。絶対に入学したい』と思いました。入部後はもちろんトランペットを希望したのですが、楽器体験でホルンを試したところ、とても楽しく、結局中1から高2までずっとホルンを担当することになりました」と微笑みます。
会場は大勢の聴衆で満員に
練習の成果を発揮
オーケストラ部の練習風景 手前はホルン担当のH.Kさん
「木星」では、ホルンは要となるパートです
同校の音楽系クラブにとって最大のイベントが、「第三支部生徒演奏会」です。これは、東京私立中学高等学校協会に属する学校が共同で開催している演奏会で、渋谷区・新宿区・調布市の一部の学校が参加します。東京女学館からは、例年合唱部・ギター部・オーケストラ部の3クラブが出演。舞台となった「ルネこだいら(小平市民文化会館会場)」の大ホールには、立ち見が出るほど、大勢の聴衆が集まりました。
ギター部は、バレエ組曲『くるみ割り人形』より「花のワルツ」を、総勢38名で演奏しました。高い音の順に、アルト、プライム、バス、コンバス、ギタロンの五つのパートに分かれますが、E.Kさんは、最も低い音を出す大型のギター「ギタロン」を担当しました。「花のワルツは、これまで弾いてきた曲のなかでも特に難しく、五つのパートで息を合わせるのが大変でした。リハーサルではうまく演奏できず心配でしたが、本番ではぴったりと息が合い、良い演奏ができたと思います」と振り返ります。
オーケストラ部では、組曲『惑星』より「木星」を演奏しました。「木星には6連符の音を出す部分があるのですが、ホルンは楽器の構造上、音を細かく刻んで出すのが難しく、とても苦労しました。創立記念祭(文化祭)ではミスをごまかしながら演奏したのですが、その後、メトロノームを使ってゆっくり練習したかいもあり、第三支部生徒演奏会ではうまく吹くことができました」と、H.Kさんも満足した表情を見せました。「実は、当時のホルン担当はわたししかいなかったため、本番ではOGやコーチの先生にも参加をお願いしました。皆さん快くOKしてくださり、とても心強かったです」とのこと。こういった世代を超えた交流が生まれるのも、第三支部生徒演奏会の魅力です。
他校の生徒と協力して
大きな舞台をつくり上げた
第三支部生徒演奏会の最後には、参加校が合同で「フィンランディア」を演奏
その後の全員合唱で指揮するE.Kさん
第三支部生徒演奏会の大きな特徴は、運営も生徒みずから行うことです。E.Kさんは実行委員長、H.Kさんは実行副委員長を務めましたが、複数の学校が参加するため、調整面で多くの苦労があったといいます。「5か月ほどの準備期間では、演奏する順番や係の担当時間を記したタイムテーブルの作成、各団体が提出する資料の管理など、さまざまな業務を行いました。ティンパニといった大型楽器は、1校が持ってきてみんなで共有するため、どの学校がどの楽器を持ってくるのか、役割分担も決めなければなりません」とE.Kさん。H.Kさんもこれにつけ加えて、「演奏会当日には、演奏が終わった団体を出口に誘導したり、リハーサル室のタイムスケジュールも管理したりしなければなりません。やることが多くて、目が回りそうでした」と振り返ります。
他校の実行委員とも綿密に連絡を取り合います。実行委員長であるE.Kさんの元には、連絡がひっきりなしに入っていたそうです。「この楽器はやっぱり使わない、アナウンスの原稿が変わったなど、何十件とLINEやメールがくるので、そのつど対応しました。また、借りているホールは必ず16時までには空けなければならないため、時間がオーバーしそうな場合は、各学校に連絡して『演奏時間を短くしてほしい』といった交渉も行いました」と、ハードな業務の一部を教えてくれました。
演奏者として舞台に立ちながら、実行委員長・副委員長として運営も行うのは大変ですが、2人は非常にやりがいを感じたと言います。「実行委員会は立候補制。わたしは先輩方が生き生きと活動しているのを見て、ずっと実行委員会に入りたいと思っていました。第三支部生徒演奏会は、他校の演奏を聴けるだけでなく、舞台設営のセッティングといった係活動を通して、他校の生徒ともかかわりを持てるのが魅力です」とE.Kさんは話します。H.Kさんもうなずきながら、「生徒が中心となって、会議で話し合ったり、タイムスケジュールを決めたり…。みんなで大きな舞台をつくり上げる挑戦ができて、とてもよい経験になりました。保護者の方からも『生徒のがんばりが伝わってきた』とほめていただき、うれしかったですね」と、実行委員会のやりがいを語りました。
2人は4月に高3生となり、クラブ活動を引退。これからは、大学受験に向けて学習に専念すると言います。そんな2人から、東京女学館をめざす小学生に向けてメッセージをいただきました。
「東京女学館は、お互いの価値観や趣味を尊重する校風です。わたしも、仲の良い子は自分とはまったく別のタイプで、趣味も違います。いろいろな子と友だちになれて、6年間を楽しく過ごすことができると思います」(E.Kさん)
「個性的な生徒がたくさんおり、東京女学館に入学して世界が広がりました。それぞれ、好きなものや趣味も違うため、話していてとても楽しいです。受験勉強は大変ですが、楽しい学校生活が待っています。がんばってください」(H.Kさん)