受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(「25年8月号」より転載/25年7月公開)

灘中学校・灘高等学校 第79回灘校文化祭 5月2日(金)・3日(土・祝)

「織り成す」がテーマ
学校全体が祭りの舞台に

雨のなかでも多くの人が訪れていた1日目の午前。鮮やかな青のアーチをくぐって校内へ

 編集部が訪れた1日目の午前はあいにくの雨。屋外での催しが中止になったり、中庭でのステージイベントが体育館で開催されたりという変更がありましたが、にぎわいは例年どおりです。事前の申し込みや入場券などは一切不要で、誰でも自由に出入りできる灘校の文化祭。傘を手にした来場者が正門を次々とくぐり抜けていきます。入ってすぐの受付では元気なあいさつとともに会場マップや当日のプログラムをまとめた冊子を配っていました。

 第79回文化祭のテーマは「weave」。「織り成す」という意味を持ちます。灘校生が熱中するものへの思いや努力を糸にたとえ、あらゆる場面でその糸を織り成して表現してほしいとの願いが込められています。同校の文化祭は生徒有志からなる文化委員会によって企画・運営されるのが特徴。今年は338名もの文化委員が半年以上前から準備を進めてきたそうです。

 受付でもらった冊子を手に校内へ。雨天のため、中庭やグラウンドには出られませんが、いくつかに分かれた校舎や体育館がすべて文化祭の会場になっています。行き先に迷いそうな広さですが、入り口付近では「道案内」と書かれた赤いTシャツを着たスタッフがガイドに立っています。「案内します!」と声を掛け、お目当ての場所に行きたい家族連れやグループから喜ばれていました。

「道案内」と書かれた赤いTシャツのスタッフが広い校内を案内してくれます 顔を出して写真を撮れば、生徒証の出来上がり。よい記念になりそうです

好きなものをとことん追求
灘校生の熱量に触れる

校舎内の掲示板には各部や同好会の案内ポスターが。完成度の高さに驚かされます

 校舎に入ると、部活動や同好会はもちろん、文化祭限定のサークルまで加わったさまざまなブースが迎えてくれます。今年は約60の団体が出展。こだわりの展示やイベントを繰り広げています。囲碁部や将棋部のブースでは、部員との対局が人気です。初心者の小学生には部員たちがルールを教えながら、囲碁や将棋のおもしろさを伝えていました。一方、精巧な作品が並ぶレゴ®同好会のブースには、入場のための列ができています。例年大人気で注目度も高い同好会です。新たに制作・公開された2025年度のメイン作品は、イギリス・ロンドンのテムズ川に架かる「Tower Bridge」。歴史ある巨大な橋を60分の1のスケールで再現した作品は、小さなピースから組み上がっているとは思えない迫力。近くで見た人からは次々と驚きの声が上がっていました。

 物理研究部では、物理に関する現象を部員の解説付きで見ることができます。小さなショーのように不思議な事象を見せてくれるたび、見学する子どもたちは目を輝かせて見入っていました。地学研究部では、砂金掘り体験が人気。水中の砂の中から自分で砂金を取り出すとあって、挑戦する子どもたちは真剣な表情です。部員のアドバイスを受けながら砂をふるいにかけ、小さな砂金が取れるとガッツポーズで喜ぶ子も。袋に入れてもらい、大事そうに持ち帰っていました。

 早押しクイズが盛り上がっていたのは、クイズ同好会です。参加者も、周りで見守る人も、一問ごとに一喜一憂。なかなか正解できずに悔しがる子もいます。隣の机では50問が並ぶペーパークイズに挑戦することもでき、クイズ好きにはたまらないブースです。パズルサークルでは、鉛筆を使って解く「ペンシルパズル」が好評でした。初心者向けと上級者向けのパズルに大人も頭をひねっています。部員が作った灘中模試が名物の数学研究部のブースでも、難問に挑戦する人たちが答案用紙と格闘。親子で一緒に問題を解いている姿も見られました。

レゴ®同好会の今年のメイン作品はテムズ川に架かる跳ね上げ橋「Tower Bridge」。圧倒される出来栄えです こちらもレゴ®同好会が手掛けたクレーンゲーム。アームもレゴでできています
将棋部では部員との対局が楽しめます。初心者でもつかのま棋士の気分に 液体から固体になる「ダイラタンシー現象」が体験できる物理研究部の演示 地学研究部の砂金掘り体験。参加者は宝探しのように楽しんでいました

知的な好奇心を刺激
子どもも大人も楽しめる

鉄道研究部のジオラマ展示は迫力満点。模型の中の線路を列車が次々と走ります。見学者からの質問にも部員たちがていねいに答えていました

 広いスペースを使って展示していたのは、鉄道研究部です。「2日限りの鉄道博物館」というキャッチフレーズの下、ジオラマやダイヤ運転、運転シミュレーター、模型体験運転など盛りだくさんの企画で来場者を楽しませています。ジオラマコーナーで細かく作り込まれた風景のなかを走る鉄道にくぎ付けになっていた男の子は、「本物の街と電車みたいでびっくりしました。ぼくも作ってみたい」と話していました。

 文化祭の花形でもある中庭のステージイベントは、体育館に場所を移して開かれました。昼前からはダンスチームが次々登場する「ODORIBA」がスタート。迫力あふれるダンスから女装やコスプレで会場を沸かせるダンスまで、舞台いっぱいにパフォーマンスを披露します。観覧席からは大きな拍手と声援が送られていました。

 大講義室で開催されたステージイベント「新中1企画」では、新入生が中学受験や入学後の生活について語ります。広い教室に立ち見が出るほどの人気ぶりで、小学生のころの勉強時間や今楽しんでいることなど、等身大の中1生の声を聞くことができる企画です。

 午後には雨も上がり、正門前では記念写真を撮る親子連れの姿が増えています。見学したり、体験したり、鑑賞したり、遊んだりと、たくさんの刺激にあふれ、目いっぱい楽しめる灘校の文化祭。生徒たちのこだわりと情熱に触れ、こんな中学生・高校生になりたいと感じた小学生は多いのではないでしょうか。

雨天のため体育館で開催されたステージイベント。屋内でも大盛況でした 新入生が質問に答える「新中1企画」。灘中合格のヒントが見つかるかも ミニカー釣りが人気を集めた車サークル。次々と釣り上げる子も

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