受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(「24年11月号」より転載/24年10月公開)

開成中学校・高等学校 開成祭 9月21日(土)・22日(日)

歴史と伝統に新たな色が加わり、
さらに進化していく開成祭

 例年多くの人々が来場する、開成中学校・高等学校の「開成祭」。創立153周年となる今年も、数万人もの来場者が訪れ、たいへんな熱気に包まれました。

今年度の開成祭のテーマ「Gradation!」と書かれたゲートが来場者を出迎えます。入り口では、生徒が手際よく案内をしていました

 今年のテーマは「Gradation!」です。このことばは、色彩・光などのゆるやかな変化・推移、または変化・推移の過程という意味を持ちます。2019年度から続いていた高校の新校舎建築工事がまもなく終了し、旧校舎から新校舎へと学内が新たな色に塗り替えられていくと同時に、開成祭のあり方や、企画・展示の形態も徐々に変化してきました。そんななかで、多様な色が混ざり合い、歴史と伝統が新たなスタンダードへと生まれ変わる「移ろい」を、来場者に感じてほしいという思いが本テーマに込められているといいます。

 編集部が訪問したのは、開催初日の21日。最初に向かったのは、小体育館で行われていたバーチャルアイドルのライブです。キャラクターの立体的な映像がステージに浮かび上がり、まるで本当に存在しているかのようなパフォーマンスを繰り広げます。来場者にはペンライトが配られ、音楽に合わせて振ったり、踊ったり…。本物のライブのような盛り上がりを見せていました。

 続いて訪れたのは、高2有志による企画「Galaxy Spin」です。2023年度に参団特別賞を受賞したコーヒーカップの回転アトラクションが、今年はさらにパワーアップして帰ってきました。編集部が訪問した11時ごろには、すでに来場者の列ができており、人気の高さがうかがえます。コーヒーカップに乗り込むと、教室の電気が消された後、天井に銀河を思わせるような光が映し出され、音楽に合わせてアトラクションが始まりました。数人が人力で回すというシンプルな構造ですが、その回転速度はなかなかのもの。来場者も「うわーっ」「速い!」と叫びながら大盛り上がりです。楽しさや演出はもちろん、安全性も考え抜かれたすばらしいアトラクションでした。

 中央テラスで行われていたのは、文準中後夜祭係による「先生vs生徒」です。生徒と先生が同じステージに立ち、どちらの説明がよりわかりやすいかなどを競い合います。「古文の係り結びってどうして起きるの?」「和音ってどうしてきれいなの?」など、さまざまなテーマで熱い論戦が繰り広げられました。

「先生vs生徒」では、説明力対決が行われていました。与えられたテーマについて、先生と生徒のどちらの説明がわかりやすいかを競います

 A会場のサイエンスフロアも見どころがたくさんあります。物理部では、大迫力の高電圧実験を実施。「バチッ」という大きな音とともに缶に穴が空き、見学していた小学生や保護者も驚いていました。

 地質部による「開成鉱石化石館」では、さまざまな地質の紹介や、化石の展示などが行われました。同会場で実施されていた化石レプリカ作りの体験は、整理券もあっという間に配布終了するほどの大人気企画です。石膏を型に流し入れて、さまざまな生き物の化石レプリカを作れるとあって、参加した子どもたちも夢中で取り組んでいました。

 会場を移動している際に目に飛び込んできたのは文準模擬店係による模擬店です。ここでは、開成祭の名物である「開成焼き」や「海鮮風焼きそば」が販売されており、編集部が訪れたときにはすでに長蛇の列ができていました。20年続く伝統の模擬店ということもあり、開成生たちは手際よく料理を作り続けます。これまで培ってきたチームワークが伝わりました。

 そのほかにも、開成生による楽しい授業や、山岳部によるVR体験、軽快なトークを加えたマジックショー、生徒による学校ツアー、外部の講師を招いた講演会など、非常に多彩な企画・展示が行われました。

 この日の東京都心は、最高気温が32℃に達する真夏日でしたが、暑さにも負けない、熱意にあふれた開成祭となりました。

小体育館で行われていたバーチャルアイドルのライブ。キャラクターの歌に合わせてペンライトを振ります 高2有志による「Galaxy Spin」では、スリル満点のコーヒーカップの回転アトラクションが行われました
編集部が訪れたのは午前11時ごろでしたが、すでに会場は来場者でいっぱい。この後も続々と人が訪れていました 文準模擬店係による模擬店では、名物の開成焼きを販売。あんこ・カスタード・チョコの3種類から選ぶことができます
地質部による「開成鉱石化石館」では、化石レプリカ作りの体験が実施されました。人気の企画で、整理券もあっという間に配布が終了したといいます 鉄道研究部による「鉄研の車窓から 2024」では、西日暮里を再現したジオラマ模型の展示や、発車ベルの操作体験などが行われました 折り紙研究部の展示には、午前中から長蛇の列が。一辺5m以上もの折り紙で折られた巨大な作品など、見事な出来栄えでした

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