スクール情報
(「23年11月号」より転載/23年10月公開)
慶應義塾普通部 第95回労作展▶ 9月23日(土・祝)・24日(日)
情熱あふれる自由な創作や研究の
成果を発表する場
初日の23日は小雨がぱらついていましたが、開場時刻の10時にはすでにたくさんの来場者が訪れていました
慶應義塾普通部の「労作展(労作展覧会)」は、1927年から続く伝統行事です。同校の教育方針である「労作教育」は、時間を惜しまずに、自分の心身を思う存分に活動させて、そのなかでみずから考え、自主的な選択や決定ができるようにする教育のこと。「労作展」では、生徒が自由にテーマを見つけ、創作や研究に打ち込み、その成果を発表します。
第95回となる今年は、9月23日と24日に行われました。予約不要で一般公開されたのは、2019年以来です。編集部が訪れたのは、初日の23日。本館2階に1年生、本校舎2階に2年生、本校舎3階に3年生の教室があり、各教室で生徒たちの思いのこもった作品を自由に見ることができます。国語科、数学科、理科、社会科、英語科、書道科、音楽科、美術科、技術家庭科、保健体育科など、生徒が選ぶジャンルは幅広く、それぞれの科で優秀な作品には賞が与えられます。
どの教室にも、書道や美術作品、精巧な模型、自作の小説、数学のパズル問題集など、自分が気になったテーマを追究した作品がずらりと並んでいます。まず1年生の教室をのぞくと、入学してまだ半年とは思えないほどの完成度の高さに、「すごい!」「これはどうやって作ったの?」という驚きの声が上がっていました。さらに2・3年生の教室では、より高度な作品が展示されており、3年間でいかに成長を遂げているのかが目に見えて感じられました。
ひと際目を引くマリリン・モンローの作品は、綿棒を重ねて作られた「綿棒アート」です
労作展の見どころの一つは、作品に添えられている制作日誌です。テーマを選んだ理由や制作過程で苦労した点などが文章や図、写真を交えて細かく紹介されており、読むほどに作品の魅力が伝わってきます。
なかには、「小学生のころに労作展を見学して、自分ならこのテーマに取り組みたいと考えていたことを実現した」と日誌に書いている生徒もいました。労作展へのあこがれが、普通部を志望するきっかけとなり、入学後に好きな学びを深められたというケースも少なくないようです。また、3年間同じテーマを選び、毎年知識やスキルをブラッシュアップさせ、集大成として3年分の作品を並べていた生徒もいました。
これらの展示のほかにも、地理・GIS研究会はNゲージ走行体験を、選択授業Beyond“数学”はボードゲーム体験を、星と石の会は化石・鉱物・天文写真の展示を実施。小体育館で行われた剣道部の対中等部戦や合気道部の演武会も見学ができ、多くの人が迫力のある動きに見入っていました。このほか、野球部の青山学院中等部との招待試合やラグビー部による体験ラグビー教室も開催されました。さらに24日には、音楽科出品者や音楽部のコンサート、空手部の演武会、星と石の会のマグマ作成の実験もありました。
学校を深く知る場も設けられ、オーストラリア・コルベ国際交流、フィンランド・トゥルク国際交流のスライドやポスター展示、普通部百二十五年記念展示、質問コーナー、生協でのグッズ販売などもにぎわっていました。10時から15時までは、本館1階にある南食堂がオープンし、カレーや牛丼、ラーメンなどの学食メニューを楽しむ親子の姿もありました。
久しぶりに入場制限のなかった労作展。一つひとつの作品をじっくり見ながら創作や研究のおもしろさを感じ、「次は自分も」と刺激を受けた小学生も多かったことでしょう。
プログラミングで制作されたゲーム作品に、小学生が夢中になっていました | 伊藤若冲の「老松白鶏図 雄鶏」を立体化させた「段ボールアート」。細部までこだわりが感じられます | ビー玉を転がして遊べるものなど、体験型の作品は子どもたちに人気です |
見た目がかわいらしいチョウチンアンコウの作品は、体の中と頭上のランプが光ります | 音楽をテーマにした研究もあり、演奏の様子は動画で紹介されていました | 地理・GIS研究会は、Nゲージ走行体験を実施。活動内容に関する展示もありました |
選択授業Beyond“数学”では、在校生が小学生とボードゲームで対戦 | 食堂を利用する来場者も多く、食券を買って、カレーやラーメンなどのメニューと引き換えていました |
慶應義塾中等部との試合を行った剣道部。会場は両校への声援で熱気にあふれていました | 小体育館で行われた合気道部の演武会は、2人1組で披露されました |
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