受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(「23年7月号」より転載/23年6月公開)

灘中学校・灘高等学校 第77回灘校文化祭 5月2日(火)・3日(水・祝)

4年ぶりに「制限なし」の開催
待ちわびた来場者であふれる

今年は4年ぶりに「制限なし」で来場者を迎えました

 今回で77回目となる灘校の文化祭が、5月2日・3日の2日間にわたって開催されました。今年のテーマは「Splash!」。「水しぶき」と「まだら」の二つの意味があり、灘校生と来場者それぞれの汗や涙、思い、個性が弾けて混じり合うことで、世界に一つしかない、一生忘れられない文化祭を描いていくという思いが込められています。

 編集部が訪れた2日目は祝日ということもあり、小学生を含む大勢の来場者が朝から続々と訪れました。受付ではおそろいのTシャツを着た在校生スタッフがパンフレットを配布しながらきびきびと誘導していたため、スムーズに入場することができました。

 にぎやかな音楽に誘われて最初に向かったのは、中庭に設けられた特設ステージです。ダンスパフォーマンスの技を競い合う人気企画「ODORIBA」が始まったばかりで、ステージには思い思いの衣装に身を包んだグループが次々に登場。客席や校舎から声援を送る観客を自慢のダンスで沸かせます。灘校一の“美女”を決める「Ms.灘コンテスト」や、灘校一の“漢”を選ぶ「炎のナイスガイND」など、晴天の下で繰り広げられるプログラムはどれも熱気にあふれ、大いに盛り上がっていました。

 ステージイベントはほかに、視聴覚室や大講義室、体育館でも開催されました。漫才コンビナンバーワンを決定する名物企画「N-1グランプリ」をはじめ、大喜利で勝負する「IPPONグランプリ」、入学したての中1生が先輩の質問に答えるトークイベント「新中1企画」、灘校の名物先生が登場する「灘校一受けたい授業」など、各会場で盛りだくさんのプログラムが続きました。

新入生によるトークイベント「新中1企画」。受験勉強や学校生活の話を小学生とその保護者が熱心に聞いています 中庭でのステージイベントは、ダンスパフォーマンスやミスコンなどで盛り上がりました 中庭の上空にはこいのぼりが泳ぎ、通路や屋上はステージを楽しむ観客でいっぱいに

鉄道や数学・化学・生物
趣向を凝らしたクラブ展示

 中学棟・高校棟の教室には、趣向を凝らしたクラブ展示が並びます。鉄道研究部では、数か月かけて作ったという精巧なジオラマに人だかりができ、行き交う模型電車に子どもたちが目を輝かせていました。数学研究部では、恒例の「灘中入試模試」が人気を集めていました。部員たちが作問した全12問は、時間をたっぷり使って考え抜くタイプの難問ぞろい。真剣な表情で問題に取り組む小学生に混じって、一緒に頭をひねる保護者の方もいました。答案はその場で部員が採点し、正答数に応じて賞品がもらえます。算数が好きな小学生にはたまらない企画なのではないでしょうか。

 囲碁部や将棋部では子どもたちが部員との対局に挑み、ドラえもん同好会では部員お手製のドラえもん検定に挑戦。パソコン研究部では、部員が制作したゲームで遊んだり、VRを体験したりしながら展示を楽しんでいました。

 白衣姿の部員が迎えてくれたのは、化学研究部の展示教室です。日ごろの研究の成果を掲示して説明したり、演示実験を見せたりと、化学のおもしろさを部員の皆さんが教えてくれます。教室を出てすぐの一角には、スライムスタンドがオープン。好きな色のスライムを作ってくれるとあって、子どもたちの列ができていました。

 生物研究部では、部員が自分の専門分野を講義形式で語る“β”企画や、カエルやイカを解剖する様子が見られるライブ解剖が行われ、立ち見の見学者が出るほどの人気ぶりでした。砂金掘り体験コーナーがにぎわっていた地学研究部では、部員が採集した鉱物の展示にも注目が集まりました。

鉄道研究部のジオラマ展示。恒例の人気企画です 小学生や保護者が「灘中入試模試」に挑戦。数学研究部オリジナルの難問です
化学研究部の展示教室では、研究内容の説明や目の前での演示実験が行われました 地学研究部の展示では、部員の説明を受けながら鉱物を観察

グラウンドでも楽しい催し
子どもたちの歓声が響く

 運動部が主催するスポーツ系の企画にも大勢の人が参加していました。人工芝の緑が美しいグラウンドには、お目当てのプログラムを待つ子どもたちの列が。野球部では、ユニフォーム姿の部員がストラックアウトゲームとスピード測定機を使って球速を測定するボール投げを開催。参加した子どもたちは部員の応援を受けながら力いっぱい投げていました。

 的をめがけてボールを蹴るサッカー部のキックターゲットや、テニス部がテニスコートで行った部員とのミニラリーにも子どもたちの歓声が響きます。さらに、ヨーヨー釣りやスーパーボールすくいといった、縁日風の楽しい企画にも順番待ちの列ができました。

 ステージイベントから教室での企画展示、グラウンドでのゲームや遊びまで、一日ではとても回りきれないプログラムが詰まった灘校の文化祭。これがすべて生徒たちの手で企画・運営されているというから驚きです。今回は4年ぶりの通常開催で例年以上に多くの人が詰め掛けましたが、構内を巡回するスタッフの数は多く、道案内や来場者の質問にもていねいに答えていたため、大きな混乱は見られませんでした。また、障害のある人やベビーカーを利用する人のために、段差のないルートや多目的トイレの位置を示したバリアフリーマップも配布され、誰もが楽しめる工夫がされていました。

 それぞれがそれぞれの場所で輝き、もてなしの精神にもあふれる灘校生の姿を見て、受験勉強へのモチベーションを高めた小学生は多かったことでしょう。テーマのとおり、生徒と来場者の笑顔がいっぱいにあふれる文化祭でした。

野球部のストラックアウトなど、グラウンドにはスポーツ系の企画が並びます グラウンドと校舎を背景に記念撮影。「BE NADA」のモニュメント 生徒が灘校の歴史や文化を説明しながら構内を案内する「キャンパスツアー」も大人気でした

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