ふだんの鎌学生らしさを伝える
赤い門が来場者を迎えます。「いざ鎌倉」というストレートなスローガンに強い意志を感じ、「いよいよ学園祭」という気持ちが高まります
6月8日(土)と9日(日)の両日、鎌倉学園中学校・高等学校で第62回学園祭が行われました。鎌倉五山筆頭の建長寺に隣接するキャンパス周辺はアジサイの見ごろで、毎年多くの参拝客が観賞に訪れます。晴天に恵まれた初日、北鎌倉駅から同校へと続く道を、たくさんの人が歩いていきます。
学校に到着すると、学園祭への情熱を感じさせる赤い門が出迎えてくれました。その門に力強い大きな文字で書かれている「いざ鎌倉」が今年のスローガンです。開場時刻の午前10時、門の前はたくさんの来場者であふれています。
学園祭統括部門長(生徒会長)の澁谷香介さん。「開会式でのスピーチは緊張しましたが、思いは伝えられました」と話します
学園祭統括部門長で生徒会長の澁谷香介さん(高3)は、「中学校入学時は自分が生徒会長になるとは思っていませんでした。しかし、昨年の学園祭で荷物の運搬がスムーズでなかったことや、ごみ箱の設置が不十分な点などが気になっていました。こうした点を自分が改善して学園祭を成功させたいと思うようになり、生徒会長に立候補しました」と話してくれました。その意気込みとともに、見どころを聞くと、「ふだんの自由な鎌学生らしさ全開で開催するので、その雰囲気を楽しんでほしいと思います。今年の見どころの一つは美術部に依頼して制作した階段アートです。また、屋外テントでの飲食が復活したので、ぜひ食べていってください。鎌学祭は毎年雨だったのですが、今年は晴れました。まさにこの“晴れの日”の祭典を楽しんでください」と力強く語ってくれました。
飲食の復活で笑顔が広がり、アリーナも盛り上がる
大アリーナでは、軽音楽部、吹奏楽部、ダンスチーム、そして生徒のバンドだけでなく、教員バンドも熱いライブを魅せてくれます
今年、完全復活した屋外テントの飲食エリアは大盛況です。高校バスケットボール部による焼きそば店、サッカー部によるフランクフルト店、ラグビー部によるタピオカ店が軒を連ね、来場者の大行列ができていました。校舎内にも、チョコバナナ、スムージー、わた飴、うどんなどの店が多数出店しています。
大アリーナへ行くと女装ダンスチームのパフォーマンスが始まり、場内は歓声と笑いに包まれました。その後、軽音楽部もライブ演奏を披露。2日間を通して多くのダンスチームや音楽グループ、さらには教員のバンドも登場し、アリーナを盛り上げます。
学園祭広報ルームに設けられた「過去問チャレンジ・答え合わせコーナー」から、ベテランの先生らしき声が聞こえてきました。たくさんの小学生がとり囲み、算数の問題解説を聞いて「おおー」と納得しています。しかし、よく見ると解説しているのは先生ではなく生徒です。明解で流暢な口調、堂々した風格だったので、まるで先生が解説しているかのようです。
その奥の教室では、生徒広報による学校説明会が行われています。ていねいな説明のなかにユーモアを交え、生徒の視点で“カマガク愛”を伝える学校紹介でした。
大盛況の屋外テントの飲食エリア。フランクフルトや焼きそばの匂いに誘われて来場者が続々と並びます
パンケーキ店はくつろげる雰囲気。ほかにもチョコバナナ店、スムージー店、うどん店など、各店趣向を凝らした店構えです
過去問チャレンジの答え合わせコーナーでは、生徒による熱い解説を小学生が真剣な表情で聞いていました
高3生は中1生のとき以来のフル開催
応援団の熱い演舞が観客の心をつかみます。最後は「フレー!フレー!皆さん!」と来場者全員を全力で応援してくれました
鉄道研究同好会の展示は、今年も大人気で見応え十分です。入り口(改札)で切符を受け取ると、駅員役の生徒が昔なつかしい切符切りのはさみを入れてくれました。レトロな駅長事務室看板も印象的です。今年のジオラマはJR根岸駅がモデルで、並行する首都高速湾岸線を新幹線の線路にアレンジしたそうです。スイッチを押して模型の列車を動かす運転体験は小学生たちに大人気でした。
生物部の展示教室も来場者でいっぱいです。研究結果の展示発表のほか、苔テラリウムの作成体験、植物の無料配布、そして生物の展示などが行われ、クイズに答えた来場者には、めだかや金魚がプレゼントされます。生物部の生徒の一人に話を聞くと、「小学生のときに鎌学祭を訪れ、この生物部でバジルをもらい、家で育ててパスタにかけて食べました。バジル風味がおいしくて、自分も生物部に入ろうと思いました」というエピソードを話してくれました。
午後、グラウンドの周りにはたくさんのオーディエンスが集まってきました。そして、お待ちかねの応援団が登場です。団長があいさつし、演舞が始まりました。大太鼓の音が力強く響き、えんじ色の大きな団旗も風を受けてなびきます。吹奏楽部の迫力ある演奏や、応援団の勇ましい声と姿に大きな拍手が送られました。
屋外テントの飲食が完全復活した今年の学園祭。現在の高3生にとって、フル開催は中1生のとき以来となります。5年前の体験を思い出し、鎌学祭を何としても復活・成功させようという生徒たちの情熱を感じました。学園祭に懸けるこの思いは、後輩や来場した小学生たちにも伝わり、受け継がれていくことでしょう。
美術部の制作による階段アート。広い幅を生かし、鎌倉伝統の「流鏑馬(やぶさめ)」が鮮やかに描かれています
「鎌倉学園線の建長寺前」という架空の路線・駅の切符で入場。鉄道研究同好会の展示に、たくさんの小学生が目を輝かせていました
生物部での苔テラリウムの作成体験。真剣な小学生に、生徒が優しくていねいに説明していました