講習や補習で学校完結型の学習を実現
大学合格実績の好調が続く
校長 稲村 隆雄 先生
広野 創立102年目を迎えられました。伝統を大切にしながら、時代の変化に対応した教育活動を展開されています。
稲村 生徒会がつくった今年のスローガンは「Step To Two Hundred 〜未来を見すえて」です。将来を見すえて学び、活動していこうと考えてくれています。次の100年に向けて、生徒みずからが学校を良くしていこうとしていることをうれしく思っています。
広野 大学進学実績が伸びていることでも注目を集めています。
稲村 今春は東大をはじめ国公立大学に過去最高の67名、早慶上理ICUに125名が合格しました。大学受験に向けて、学校完結型の学習環境を整えてきたことが実を結んでいます。
広野 その土台にあるのが教育目標に掲げる「自学創造」ですね。
稲村 そうです。生徒がみずから考え学び、創造的学力と人間力を身につけて、社会に貢献できる人材に育つことをめざしています。具体的な学習面では、中1から高2の2学期までは「学び力伸長システム」によって自分に合った学習法の確立を図ります。英語と数学は朝にチェックテストを実施して、理解が十分でない場合は放課後の補習でサポート。つまずきを防いで着実に伸びていくサイクルを整えています。また、定期試験とは別に年2回の到達度テストを実施し、定期試験前の1週間は「独習ウィーク」と定めて自学のこつや計画の立て方を身につけていきます。
広野 入学直後から中学入試で築いた学習習慣を維持できる仕組みは有効ですね。
稲村 英語・数学・国語は夏期講習と冬期講習を実施しています。さらに高2の3学期からの「進学力伸長システム」では、志望大学別に入試演習を行う放課後進学講座のほか夏期講習、冬期講習、進学合宿などを通じて、最難関大学の入試に対応できる学力を養成します。今春、東大に進学した卒業生も、こうしたシステムを活用して合格しています。チューターがいる自習室も夜8時まで利用できるので、放課後進学講座を終えた後に自習室で勉強して帰る生徒も多いです。
質・量ともに鍛え上げる英語力
海外研修や国際交流も充実

中3でのニュージーランド・オーストラリア短期留学では、現地校に通いながらホストファミリーとの交流を通して異文化理解を深めます
広野 グローバル教育にも力を入れていると聞きました。
稲村 英語4技能を効果的に身につけるため、中1から英語の授業を週7時間実施。文法や読解など基礎的な授業は日本人教員が5時間担当し、ほかにネイティブ教員による英会話の授業を1時間、オンライン英会話を1時間というカリキュラムを組んでいます。英語力の習熟度目安として英検®を全員が受検します。高校卒業までに準1級を取得するのを目標に、中学卒業時には8割の生徒が準2級を取得しています。
広野 国際交流のプログラムはいかがですか。
稲村 中高6年間で少なくとも2回は海外体験ができるようにしています。最も特徴的なのは、中3生全員が参加する2週間のニュージーランド・オーストラリア短期留学で、現地校に留学し地元の生徒と一緒に授業を受けます。高2ではオーストラリアへ修学旅行に行きます。そのほか、ニュージーランド語学研修やオーストラリア短期留学、韓国での日韓交流プログラム、ニューヨーク研修、ニュージーランドまたはオーストラリアでの3カ月留学など、希望制のプログラムも数多く用意しています。
研究発表につなげる探究活動
理数教育は新たな取り組みも
サピックス教育事業本部 本部長
広野 雅明
広野 探究プログラムでも特色ある取り組みをされています。
稲村 中1から高2まで5年間のプログラムに沿って進めています。中1では身近な自然を通して観察眼を養い、中2では社会科学をテーマに新潟県十日町市でトキの生態を調査、中3では地域研究に取り組みながら次年度以降の個人探究の準備を進めます。高1・2では自分でテーマを設定して個人で探究活動を行い、最後に研究発表を行います。学年ごとに少しずつステップアップできる仕組みです。
広野 最近の大学入試では、探究活動が生かされる総合型選抜も増えています。非常に重要ですね。
稲村 たとえばドクターヘリをテーマにした生徒は、それが飛んでいない本校のある墨田区ではどうすれば運航できるかを地理的な観点や医療の体制に着目して考え、千葉大学の教授の協力も得ながらすばらしい研究発表をしました。千葉大学サテライトキャンパスは本校と同じ墨田区内に立地しているため、さまざまな形で連携しています。
広野 理系志向の高まりを受けて、理数教育を重視する学校も増えています。
稲村 本校でも年々、医学部をはじめ理系学部を志望する生徒が増えています。理数教育にさらに力を入れるためにカリキュラムの検討を行っているほか、理科実験室の増築計画も進めています。また、中学段階から数学の授業時間数を増やして、タブレットを使って楽しんだり、実社会につながるところで興味を持たせたりと、数学嫌いをつくらない授業を行っています。
安田系企業との連携が強み
金融教育やキャリア教育
広野 昨今は金融教育やキャリア教育の重要性も増しています。
稲村 金融教育では、明治安田生命の方を招いて実社会に即した話を聞く機会を設けています。キャリア教育に関しても安田系といわれる企業に協力してもらって講演を行っています。こうした取り組みは安田学園ならではだと思います。
広野 企業の協力が得られると学ぶ範囲が広がりますね。日本を支えてきた旧財閥系企業の知恵は大きな財産だと思います。最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。
稲村 学習面から国際プログラムや探究活動、クラブ活動まで、安田学園ではさまざまな取り組みをしています。共感する部分があれば、ぜひ一度学校を見に来てください。一緒に夢を追ってがんばっていきましょう。