「あなたのためだから」
は、中学受験界のＮＧワードなので、口には出さないものの、私が息子を１年生からＳＡＰＩＸに通わせたのは、まさに息子の将来を思ってのことでした。ＳＡＰＩＸの実績は素晴らしく、課題の量が他塾に比べて多いため「ついていければＭＡＲＣＨは狙えるだろう。」という考えでＳＡＰＩＸを選びました。本人が希望した入室ではないため授業に身が入らず、ＳＡＰＩＸからお叱りの電話が来ることもしばしば。
　そんな息子の志望校は「大学付属校」。志望動機は「受験はこれで、終わりにしたい」。
　授業の内容を理解してこないので、家で私がつきっきりで補習する日々でしたが、変化が起きたのは５年生の夏休みでした。私は仕事で夏期講習のフォローはできないため、白紙のテキストが積みあがっていくんだろうなと思っていたところ、なんと毎日一人ですべての課題を終わらせたのです。もちろん「ただこなしただけで、理解の質は高くない」のですが、一人で長時間勉強する忍耐力、答えを写すなどのズルをしない誠実さ…といった長所が垣間見え、「本人に任せてみよう」と思えた瞬間でした。
　一方、毎日コツコツと頑張っていたものの点数にはつながらず、６年生に４回ある合格力判定ＳＯでは成績が右肩下がりとなりました。
　どうやっても上がらない成績に、息子は死んだ魚のような目になり、後期面談担当の先生にも「毎日元気がない」と心配され、「ＭＡＲＣＨだけの受験は危険」とのアドバイスをいただきました。
　息子の希望を叶えるため、親のこだわりは捨てて、様々な大学付属校を見学しました。そうすると、「ここに通わせたい」と思える学校が何校も見つかり、いかに私の視野が狭かったかに気づけました。そして、過去問でしっかり点数が取れる併願校を設定することが親子の精神的な支柱になってくれることを実感しました。
　また、その先生から「あるテスト会の模試を受けてみては？」と提案いただきました。
　ＳＯではほとんどの学校が合格可能性20％となっていましたが、その模試では50～80％を出すことができました。応用力が試されるＳＯでは苦戦した一方、この模試で結果を出せたことで、基礎力を試す学校なら十分戦えることがわかったのです。その瞬間、息子の目の色が変わりました。
　最後の２か月は先生のアドバイスも踏まえ、基礎固めに注力しました。
　授業で間違えた問題、漢字の要、コアプラス、知識の総完成をすべて正解できるまで何度も繰り返し、結果、息子の力をしっかり見てくれる学校に合格できました。
　ＳＡＰＩＸは相談をすれば各家庭に合わせた対応策を経験豊富な先生方が親身に提案してくれます。特に終盤戦の手厚いフォローは大変ありがたかったです。
　大学付属校とはいえ本当に人生最後の受験になったかどうかはこれからの息子次第ですが、ＳＡＰＩＸで身につけた忍耐力を武器に力強く進んでほしいと願っています。