ぼくが受験勉強をはじめたのは３年生の春で、お父さんの勧めによるものでした。
　お父さんは、休みの日や、少しでもあいた時間があればつきっきりで勉強を見てくれました。
　５年生の春にサピックス入室。最初はわからないところばかりで授業についていけませんでしたが、サピックスの先生方が、夜おそくまで質問に答えてくれたおかげで、理解がぐっと深まり、成績も上がりました。いつしか、サピックスの先生方は、ぼくの心のよりどころになっていたと思います。
　２月受験本番、１日の本命の早稲田、２日の本郷ではことごとく失敗。心が折れ、１月中にすでに合格をもらった学校に行く気になっていました。しかし、本郷中の不合格報告の電話をしたときに、先生からはげましの言葉をもらいました。そのおかげで、３日の早稲田に立ち向かう力がわき、合格可能性40％を信じていどむことにしました。早稲田中リベンジの朝、４年間伴走し続けてくれたお父さんに見送られ、会場に入りました。周りにはぼくよりもずっと頭の良さそうな人たちがたくさんいて、イメージトレーニングをしていた時よりずっと緊張しました。しかし、会場で、サピックスで一緒だった友達に会うことができ、緊張がとけ、自分の本来の実力を出し切ることができたと思います。
　合格発表が出たときは、先に結果を見たであろう家族の目がうるんでいて、「ダメだったのだろうな」と覚悟して結果を見ました。「合格」の文字と桜色の背景が目にとびこみ、そのとたん喜びがこみあげてきました。そして、家族の涙はうれし涙だったと気づきました。中でもお父さんは、ずっと勉強を見てくれていた分、本当に喜んでくれました。
　この合格は、サピックスの先生方やお父さん達が、ぼくの可能性を信じてくれたからこそのものだと思います。ありがとうございました。