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最新中学入試情報
進学校 ▶ 麻布中学校
小さな背中、大きな勇気
S.Yさん ●お子さんの名前 Sさん
1月10日栄東中からの帰り道、電車の車内で息子は窓の外を眺めながら静かに涙を流していました。「僕はどうして緊張してしまったんだ。緊張しちゃダメだってわかっていたのに…。」大丈夫、終わったことは気にするな、そう声をかけながら私も動揺していました。どんなに準備をしてきて模試や授業の成績が向上しても、まだ12歳の少年。この歳にして何年もの準備を経て大一番に臨む息子の心に、初めて直に触れた気がしました。
その日から2月3日まで、私の左耳はストレスで痙攣していました。試験会場に向かう道すがら「いつも通り目の前の問題をただ解いておいで」と、意味があるのかわからない言葉を聞いているのかわからない横顔にかけながら息子を送りました。毎度入口の直前で息子の手を握り締め「パパの学力も分けよう」とふざけたまじないをかけました。「行ってくるよ」とリュックを背負いながら真っ直ぐ試験会場に吸い込まれていく息子の背中をただ祈る思いで見つめ続けた1ケ月でした。
私立中高一貫しか知らない両親として「とりあえず」3年生からSAPIXに通わせました。3・4年生の間は偏差値50台を幅広く推移し、4年生の終わりに初めて偏差値60に届きました。上下しながら少しずつ伸びる成績に比例して、私たちの受験に対する本気度も高まっていきました。それにつれ、息子に強く当たったこと、大きな声を出してしまったことも何度もあります。その度に後悔と反省を重ねながら、特に週末を使い授業やテストで解けなかった問題に一緒に取り組みました。積極的に参加するSAPIXの授業が性格にも合い、競い合う友達の存在もあり最後まで楽しみに通ってくれました。本人の前向きな姿勢に助けられた4年間でした。
息子は小学校での体験から「個性が認められる学校」に憧れ、説明会や文化祭を通じて麻布中に魅了されていきました。果たして麻布を受験できる水準に至れるのか不安でしたが、6年生からの保護者個別面談を通じて、普段から見てもらえていることがわかる客観的な評価と具体的な改善点をご指摘いただき、明確な志望校になっていきました。不安から滑り止め校の選択に迷う私たちに「彼なら〇〇中で十分」と言ってくださったことは最後まで心の支えになりました。
チャレンジ校だった渋幕に合格しても本人の麻布への執念と緊張は高まり続けました。そんな緊張の最中でも、積み重ねを信じ、勇気を持って自分の日々のペースを崩さず、周囲を気にせずルーティーン(会場に向かう電車では勉強せず車窓を眺める、など)を守り続けたことが功を奏したのかもしれません。2月3日、海城中の帰り道に麻布の合格発表を確認し、路上で飛び跳ねて喜んだ息子の笑顔、一生忘れません。三人四脚で走り抜けた中学受験の最後に最高のプレゼントをくれた息子と、息子を惹きつけ最後までご指導くださったSAPIXの先生方に心から感謝致します。
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