受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 麻布中学校

YouTube ゲームがやめられないあなたへ
パートⅢ

H.Tさん お子さんの名前 Hさん

 6年生の夏休み。7月末に所属していた野球チームの夏合宿を終え、受験まで休部することにした息子の勉強時間は、当然増えるものと思っていました。
 しかし「野球時間が勉強時間にスライドする」という見込は早くも打ち砕かれ、そのままYouTubeとゲーム時間に変わります。夏期講習中は、朝早く起きてYouTube・ゲーム・基礎トレをセットで取り組む毎日でした。
 途方にくれた私は、少しでも画面の前から離れられるならと、「宇宙兄弟」のような長編漫画をTSUTAYAに借りに行ったり、息子がハマったYouTubeが油絵の描き方だったので、道具一式を揃え、勉強の合間に描くことを勧めるなど、迷走状態に…。
 視聴時間は減らず、どうすればよいのかと苦悶した頃、藁をも掴む気持ちで手に取ったのが「受験体験記」でした。すると、まるで我が家のようなタイトルが目に飛び込んできました。読むところ、一昨年前にも同タイトルの体験記があったとのこと。YouTubeとゲームをやめられないわが子を前に、悩む受験親の皆さんに、このバトンをつなぎたいと考え筆を取りました。ただし、これまでの受験体験記では、受験生のYouTubeなどを前向きに捉えた内容でしたが、今回は親の苦悩の側面を綴っていきます。
 9月になると、YouTube・ゲーム時間が勉強時間とほぼ同じという状況に。学校別サピックスオープンの当日も、朝5時から7時までYouTube・ゲーム・基礎トレを取り組み、模試会場に向かいました(6月には最上位に居たクラスも段々下がり10月には過去一番低いクラスに)。どんなに親が強制的にやめさせようとしても、本人に自覚が生まれない限り状況は変わらないし意味もない。見守る姿勢とYouTube付きテレビを撤去すべきかで葛藤は続きます。
 転機が訪れたのは第一志望校の過去問を解き始めた10月初旬。「やっぱり麻布の問題は面白いし行きたい」と言い徐々に勉強時間が上回るように。それでもYouTubeは入試1週間前まで、ゲームは入試当日まで続きました。
 当時の事を本人に聞いてみると、「夏は受験の天王山と言われ、夏に頑張れなければ本来は志望校を変えざるを得ないのかもしれない。けれど変更せず、諦めないで頑張れば、秋から挽回はできる」との弁。親以上に本人が現状について自覚していたのかもしれません(唯一ご縁を頂けなかった学校の結果を前に、「夏にサボったつけかな」とも言っておりました)。
 最後の3か月間は、勉強の合間に楽しむスタンスに変わったとはいえ、約束した視聴時間を守らない態度に、親は受験そのものを諦めなければと覚悟しました。しかしサピックスの先生は、相談する度に「戦う土俵には乗ってます。まだまだ伸びるし授業での彼は真剣そのものです」と励ましの言葉を頂きました。息子の第一志望校合格を信じ導いて下さった校舎の先生方に心から感謝しております。

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