受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

自慢の授業

獨協中学校・高等学校

「ドイツ語」

メインビジュアル

ドイツ語の魅力に触れられる時間
言語を学んで視野を広げる

 獨逸学協会学校を前身とし、創立当初からドイツ文化と深いつながりのある獨協中学・高等学校。英語のほかにドイツ語を学べることが同校の外国語教育の特色です。今回は「ドイツ語Ⅰ」の授業の様子をお伝えします。また、ドイツ語の特徴や魅力などについて、ドイツ語科の鈴木冴子先生と、今年「国際ドイツ語オリンピック」に日本代表として参加した生徒にお話を聞きました。

ドイツ語特有の時間表現など
法則を覚えて対話していく

 ドイツ語を重点的に学べる学校として、ドイツ外務省から認定されたPASCH(パッシュ)校。獨協中学・高等学校は、日本に6校あるPASCH校の一つです。

 高1からの選択科目となる「ドイツ語」は、高1から高3まで継続して学んでステップアップしていく「ドイツ語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」、日本人教員による「基礎ドイツ語J」、ネイティブ教員による「基礎ドイツ語N」があります。「ドイツ語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」も、日本人教員・ネイティブ教員による2通りの授業があり、この日は高1の「ドイツ語Ⅰ」の教室を訪れました。

 ドイツ語科の鈴木冴子先生による授業は、12名の生徒がコの字型に机を並べています。黒板には時計を表す大きな数字と針が貼られています。授業前、先生にうかがった話によると、日常的によく使われるドイツ語の時間の伝え方は日本と違い、覚えるまでは戸惑う生徒が多いとのことでした。日本の15:30(15時半)は「15時の30分過ぎ」ですが、ドイツでは「4時の30分前」、という表現になります。このようにことばで説明するとわかりづらいので、授業では時計の模型を使って説明されます。時計のイラストを用いて時間を当てるビンゴゲームも行われ、授業は盛り上がっています。

 隣の教室では、同じく高1の「ドイツ語Ⅰ」の、ネイティブ教員による授業が行われていました。こちらも少人数で生徒は11名です。ネイティブの先生は、この日の翌週に迫った獨協祭を取り上げ、「獨協フェスに来ますか?」「獨協フェスで何をしますか?」などとドイツ語で問い掛けて、生徒にとって身近な話題から例文に発展させています。この授業でも時間の伝え方を練習し、慣れてきたところで「わたしは○時に朝食を食べます」、さらに時間に場所を加え、「わたしは○時に銀座へ買い物に行きます」などの例を示し、生徒に自分の行動の例文を発表させます。少しずつ手が挙がり、「イッヒ(Ich)、○○~」という返答が出始めました。「イッヒ」は英語の「I(わたしは)」にあたることばです。すらすらとはいきませんが、その後も「イッヒ、○○」という発表が続き、教室は和やかなムードに包まれました。

自分で考え、伝えることが求められる
学校の外に出て学ぶ機会も生かす

5鈴木先生は、「空気や気持ちを読む日本語と、きちんとした理由の説明を求められるドイツ語の違いなど、言語を学んで文化を知ってほしい」と話します

 現在、高1からの選択授業である「ドイツ語」は、今後は中3からも導入されます。「高2・3では、より高いレベルまで上達できるようになるでしょう」と鈴木先生は話し、授業についてこう続けます。「ドイツ語の教科書は、すぐに答えを出さず、自分で法則を見つける構成となっています。答えにたどり着かなくても発言でき、わからないところでも自分で考えていけるようにすることを授業では大切にしています」

 日本とは異なる時間の伝え方をまず理解するなど、ドイツ語の学習は、英語に比べると最初に覚えることがあります。先生は、「この最初の壁を越えるのに苦戦する生徒は多いようですが、しっかり理解しておくと、使える表現が格段に増えていきます。高1の段階でも“できた”という実感を得やすく、外国語ができるという自信や、さらなるやる気にもつながります。本校でしっかりとドイツ語に取り組んだ場合、PASCH主催の語学研修の国内選考試験に挑戦し、実際にドイツでドイツ語を学んできた生徒もいます」と説明します。

 「ぼくも最初は時間の伝え方などの法則を覚えるのに戸惑いました」と話すのは、高3の狩野晋一朗さんです。「最初は難しかったのですが、苦手だった英語よりも親しみやすいという印象もありました」と振り返ります。「PASCH校のイベントでドイツ人と少し会話ができるようになったり、10日間のドイツ研修旅行に参加したりして、少しずつドイツ語が身についてきたことを実感しました」という狩野さんは、高2のときに「国際ドイツ語オリンピック」への挑戦という大きな決断をします。最初に、ドイツ語で自分の興味のあることなどを書いた書類を提出。プレゼンテーション、リーディング、リスニング、面接などが行われ、今年3月の最終選考会で日本代表に選ばれました。62か国105名が参加し、7月に開催された「国際ドイツ語オリンピック」に出場した狩野さんは、「さすがにレベルが高く、入賞はできませんでしたが、今自分が持っている力は出し切りました。いちばん楽しかったのは、62か国の参加者全員が歌を歌ったり、踊りを踊ったりして自国をプレゼンするイベントです。ぼくは海外でも有名な日本のアニメの主人公の衣装を着てソーラン節を踊ったところ、大好評を博し、世界中に友だちができました」

 これからもドイツ語を学び続け、この経験を大学でも生かしていきたいという狩野さんは、「将来の目標はヨーロッパ地域で活躍する外交官になることです」と力強く話してくれました。

 最後に、鈴木先生が受験生へ、こうメッセージを送りました。「ドイツ語にかぎらず、言語を学んで視野を広げてほしいと思います。言語を学ぶことは文化の理解にもつながります。学校の中だけでなく、外に出て学ぶ機会を生かしてください。獨協にはそのチャンスがたくさんあります」

ネイティブ教員が例文の作成をていねいに指導。ドイツ語での発表が続きました

時計の絵を用いたビンゴゲーム。楽しみながらドイツ語の時間表現をマスターしていきます

わかりやすい時計でドイツ語の時間表現を説明。生徒たちは時間の伝え方に慣れてきたようです

4 狩野さんが着ているのは「国際ドイツ語オリンピック」の公式Tシャツ。持っているTシャツには参加した世界中の仲間からのメッセージが書かれています

獨協中学校・高等学校

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