自慢の授業
国府台女子学院中学部・高等部
「情報リテラシー」
正しい情報収集と発信の方法を学び
多角的な視点で物事をとらえる力を養う
2026年に創立100周年を迎える国府台女子学院中学部・高等部は、「社会人として、女性として、未来を切り拓く力を高める」ことを教育方針としています。その一環として、中1~3を対象に行われているのが、本当に必要な情報を見抜き、自己発信力を高める「情報リテラシー」の授業です。今回は、中1の授業の様子を紹介します。また、司書教諭の多田明子先生に、授業のねらいなどについて伺いました。
専任の司書教諭が授業を担当
中1では図書館のしくみと利用方法を学ぶ
国府台女子学院中学部・高等部の校舎1階の中心部には、教室10室分の広さを誇る図書館があります。専任の司書教諭が常駐し、雑誌を含め約6万3000冊の多種多様な本がそろっていることから、「図書館に魅力を感じて入学を決めた」と話す生徒も少なくありません。
中1~3の「情報リテラシー」の授業は、各学年で週に1回、この図書館を中心に行われています。これは、アクティブラーニングを通じて、読書力や表現力、問題解決力を身につけるもので、司書教諭が授業を担当しているのも特徴です。
編集部が訪れた日は、中1の授業が行われていました。まず本や図書館に興味を持ってもらうために、司書教諭の多田明子先生が、生徒に薦めたい本を毎回1冊紹介しています。この日取り上げたのは、宮部みゆき著『ステップファザー・ステップ』。生徒たちと同じ中1の双子の兄弟が主人公で、想像を超えるストーリー展開が魅力のミステリー小説です。毎回先生による本の解説を聞くうちに、話の続きが気になり、図書館で本を借りるようになった生徒もいるそうです。
そして、授業は本題に入ります。中1の1学期は、図書館のしくみと基本的な利用方法を学びます。前回の授業「蔵書検索サイトの使い方」を振り返った後、今回のテーマである「探している本が図書館のどこにあるかを知る方法」についての話が始まりました。
多田先生は、「図書館は、書架(本棚)にたくさんの本が並んでいますが、図書館司書はどこを見て本を探していると思いますか?」と生徒に問い掛けました。その答えは、「本の背表紙に貼ってある請求記号」です。請求記号は3段に分かれており、いちばん上の段は本の分類記号(本の種類)、2段目は著者記号(著者の名字の頭文字、もしくは本のシリーズ名の頭文字のカタカナ表記)、3段目は巻数記号(本の巻数)が記されています。これらの表記は公共の図書館などでも同じなので、請求記号の意味と、本がどのような順番で並べられているかを理解すれば、スムーズに探せるようになるのです。
授業の後半は実習に移ります。生徒は一人ずつ書架番号が書かれたくじを引き、その棚を探して移動します。ゲームのような展開で、とても楽しそうな雰囲気です。本は請求記号順に並んでいるので、これを追って見ていくと、棚の左上から右下に向かって並べられていることがわかります。気づいたことを配布されたプリントに記入してそれをタブレットで写真に撮り、授業支援アプリ「ロイロノート」の提出箱にデータを入れたところで、終了のチャイムが鳴りました。
情報を正しく利用するルールを身につけ
本格的なレポート作成にも取り組む
「本がすぐに見つからないことで調べ学習が嫌になってしまわないように、なるべく実習を増やして、図書館の利用方法を楽しく学べるように意識しています」と、司書教諭の多田明子先生
その後、多田先生に「情報リテラシー」の授業の特徴などについて伺いました。国府台女子学院では、以前から国語の授業の一環として、司書教諭による読書指導を実施していましたが、2017年にそれを一新し、総合的な学習の時間に「情報リテラシー」の授業を行うようになりました。
「調べるというと、今はインターネットが主流ですが、その情報には正しいものとそうではないものがあり、中学生が見極めるのは簡単ではありません。段階を踏んで学習できるように、中1ではまずは図書館学の基礎を学び、図書館が情報収集に使える身近な場所であると認識するところから始めています」と多田先生は説明します。
3年間かけて、資料やインターネット、新聞のデータベースから情報収集する方法や、その情報を正しく使用するルールも学びます。「情報を使う際にニュースソースを必ず書くことは、中1から何度も練習して習慣づけています。さらに中2では、クリティカルシンキングのテキストを使って文章表現を基礎から学び、自分の考えを表現する力や物事を多角的にとらえる視点も養います」
また、これらの学びをインプットするだけではなく、アウトプットする機会も大切にしています。中2では「わたしとかかわりの深い土地」について調べ、プレゼンテーションを実施。中3では、3年間のまとめとして、SDGsに関連した社会問題のなかからテーマを設定し、レポートを作成して発表します。「引用や要約の提示方法などは、大学の論文並みのレベルで指導しています」と多田先生。この授業で得られた正しい情報収集力と発信力、そして多角的に物事をとらえる視点は、生徒たちの卒業後の進路でも大きな力となることでしょう。
最後に、多田先生は次のように受験生にメッセージを送りました。「学院祭(文化祭)や学校説明会では、図書館を受験生に向けて開放しています。ぜひ一度、本校の図書館をのぞいてみてください。きっと気に入っていただけると思います」
国府台女子学院中学部・高等部
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