受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

  • Top
  • 読み物/教養
  • 25年1月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

さぴあニュースバンク

さぴあニュースバンク 2024年11月

4 月曜日 科学 この日の午後3時48分、日本の新型ロケット「H3」4号機が、鹿児島県にある種子島宇宙センターから打ち上げられた。ロケットに搭載していた防衛通信衛星(静止衛星)「きらめき3号」を赤道上空約3万6000㎞の静止軌道に投入することにも成功した。静止衛星とは地球の自転と同じ周期で回るため、常に同じ場所の上空にある衛星のことで、その高度は約3万6000㎞と決まっている。
5 火曜日 社会 厚生労働省が人口動態統計(概数)を発表した。それによると、2024年上半期(1〜6月)の日本人の出生数は32万9998人で、前年同期に比べて6.3%減ったことがわかった。下半期も同じペースだと、年間では70万人を割り込むことが確実。
5 火曜日 国際 アメリカ大統領選挙の一般国民による投票が行われた。開票の結果、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破って当選するとわかった。 もっと詳しく参照
5 火曜日 文化 文化庁は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に提案していた、日本酒や焼酎をつくる日本の「伝統的酒造り」について、事前審査をしていた評価機関が「登録」を勧告したと発表した。これは杜氏や蔵人といった酒蔵の職人による、こうじ菌を使った手作業の技術のこと。
11 月曜日 政治 特別国会が召集された。首相指名選挙では自由民主党(自民党)の石破茂総裁が内閣総理大臣(首相)に選ばれ、第2次石破内閣が発足した。 もっと詳しく参照
15 金曜日 国際 南アメリカのペルーの首都リマでアジア太平洋経済協力(APEC)の首脳会議が開幕した。これに出席した石破首相は、中華人民共和国(中国)の習近平国家主席と初めて会談したほか、アメリカのジョー・バイデン大統領、大韓民国(韓国)の尹錫悦大統領と日米韓首脳会合も行った。ここでは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がロシアに協力して、ウクライナとの戦いに兵を送っていることについて深刻な懸念を共有した。
17 日曜日 政治 兵庫県知事選挙の投票・開票が行われ、斎藤元彦前知事が再選された。斎藤知事はパワハラ疑惑などで県政を混乱させたとして、9月19日に県議会が不信任案を全会一致で可決していた。斎藤知事は議会を解散しなかったため、9月30日に自動失職し、改めて知事選挙に立候補した。こうした「出直し選挙」で当選した知事は2002年の田中康夫・長野県知事以来で、戦後2人目。
18 月曜日 国際 ブラジルのリオデジャネイロでこの日から始まった主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)は2023年と同様、初日に首脳宣言が発表される異例の展開になった。ウクライナ情勢を踏まえ、「領土獲得を求める武力行使や武力による威嚇は控えなければならない」という文言が盛り込まれたが、参加国の一つであるロシアを名指しで非難することはなかった。
21 木曜日 スポーツ メジャーリーグのナショナル・リーグ(ナ・リーグ)のロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手が最優秀選手(MVP)を受賞した。2021年・23年に次ぐ2年連続3回目の受賞となった。今シーズンは投手としては出場せず、指名打者(DH)に専念したが、そのような選手の受賞は史上初。また、過去2回はアメリカン・リーグ(ア・リーグ)のロサンゼルス・エンゼルスの選手として受賞しており、両リーグで受賞したのは58年ぶり2人目。
22 金曜日 政治 政府は物価高対策などを柱とする総合経済対策を閣議決定した。その実行には補正予算の成立が必要で、国民民主党にもその予算案に賛成してもらうため、同党が強く主張していた、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の引き上げなども明記された。
24 日曜日 環境 世界最大の湖であるカスピ海の西側に位置する旧ソビエト連邦(ソ連)のアゼルバイジャンの首都バクーで11日に開幕した、地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が会期を2日延長してこの日に閉幕した。先進国は発展途上国の気候変動対策のため、2035年まで毎年3000億ドル(約45兆円)を出すことで合意したが、インドは、これでは不十分で、直面する課題の重大さに対処できないと、不満を表明した。

アメリカ大統領選挙を実施トランプ氏が返り咲き

 アメリカ大統領選挙の一般国民による投票・開票が11月5日に行われ、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破って次期大統領に当選することが決まりました。

 当初、民主党の大統領候補者には現職のジョー・バイデン氏が選ばれることが確実視されていました。しかし、6月27日に行われたトランプ氏とのテレビ討論会で精彩を欠き、81歳という高齢を不安視する声が強まりました。これにより、バイデン氏は7月21日にSNSで大統領選挙からの撤退を表明。異例の展開となりました。8月6日には現職の副大統領のハリス氏が正式に民主党の大統領候補者として指名され、この日を迎えました。

 11月に行われる一般国民による投票は、形式的には州ごとに「大統領選挙人」を選ぶものです。ある州で勝った候補者は、その州の大統領選挙人をすべて獲得することになっています(一部の州を除く)。民主党と共和党との二大政党制のアメリカでは、伝統的に北東部と西海岸の州では民主党が、中部・南部の州では共和党が、それぞれ強いとされています。そのため、両党の支持率にあまり差がない、いくつかの「激戦州」でどちらが勝つかによって全体の結果が決まるといえます。今回は全体の得票率で見ると、トランプ氏が50.0%、ハリス氏が48.4%と接戦でしたが、獲得選挙人数で比べると、「接戦州」で全勝したトランプ氏が312人、ハリス氏が226人と大差がつきました。

 今回の選挙の主な争点は、バイデン政権下で進んだ物価高による労働者の生活苦や、不法移民の急増などにどう対応するかということでした。トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げ、外国からの輸入品に高い関税をかけて国内の産業を守る、不法移民の取り締まりを強化するなどと訴え、ハリス氏を上回る支持を集めたのです。

 トランプ氏は12月16日の選挙人による投票、1月6日の上下両院合同会議での開票を経て、2025年1月20日に行われる大統領就任式に臨みます。78歳7か月での就任は、2021年1月20日の就任時に78歳3か月だったバイデン氏を上回る史上最高齢です。

不安定な「少数与党内閣」に第2次石破内閣が発足

11月11日の首相指名選挙の結果
衆議院参議院
1回目投票決選投票
石破茂(自由民主党総裁)221221142
野田佳彦(立憲民主党代表)15116046
馬場伸幸(日本維新の会代表)38-18
玉木雄一郎(国民民主党代表)28-11
山本太郎(れいわ新選組代表)9-5
田村智子(日本共産党委員長)8-11
その他10-5
無効0841(白票)

※公明党の議員は石破氏に投票。日本共産党の議員は、衆議院決選投票では野田氏に投票したものとみられる

※各政党の代表は11月11日時点

 10月27日に行われた第50回衆議院議員総選挙を受け、11月11日に特別国会が召集されました。特別国会では衆議院・参議院とも内閣総理大臣(首相)の指名を最優先で行うことになっています。このため、自由民主党(自民党)と公明党との連立による第1次石破茂内閣は同日午前に総辞職しました。

 10月の衆議院議員総選挙では自民党と公明党とを合わせた与党の議席が215にとどまり、定数465の過半数233を割り込みました。もしすべての野党がまとまって、首相指名選挙で1人の候補者に投票したら、自民党と公明党との連立政権は維持できないということです。そこで、自民党は政策に共通点もある日本維新の会や国民民主党に連立政権への参加を呼び掛けました。しかし、両党は所属議員に首相指名選挙でそれぞれ自分の党の代表に投票させる考えを明らかにしました。

 こうして迎えた11月11日の特別国会では、自民党と公明党の議員は自民党の石破総裁に投票しました。石破氏は参議院では過半数を獲得しましたが、衆議院では半数を超えることができませんでした。そこで、1位の石破氏と2位の立憲民主党・野田佳彦代表との間で決選投票が行われました。日本維新の会や国民民主党の議員は決選投票でも自分の党の代表に投票したものとみられますが、こうした票はすべて無効になりました。野党が一つにまとまって野田氏に投票することはなかったのです。

 首相指名選挙では有効投票の過半数を得た議員が首相に指名されます。しかし、決選投票では「多数を得た者」が指名されると規定されています。決選投票でも1位になった石破氏はこれによって第103代の首相に指名されました。

 石破首相はその日のうちに、自民党と公明党との連立による第2次石破内閣を発足させました。これは与党が衆議院で過半数の議席を持っていない「少数与党内閣」なので、日本維新の会や国民民主党の協力なしでは、予算案も法律案も成立させることはできません。また、野党が内閣不信任案を提出した場合、与党の反対多数で否決することもできません。石破首相は厳しいかじ取りを迫られることになります。

ページトップ このページTopへ