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アメリカ大統領選挙を実施トランプ氏が返り咲き
アメリカ大統領選挙の一般国民による投票・開票が11月5日に行われ、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破って次期大統領に当選することが決まりました。
当初、民主党の大統領候補者には現職のジョー・バイデン氏が選ばれることが確実視されていました。しかし、6月27日に行われたトランプ氏とのテレビ討論会で精彩を欠き、81歳という高齢を不安視する声が強まりました。これにより、バイデン氏は7月21日にSNSで大統領選挙からの撤退を表明。異例の展開となりました。8月6日には現職の副大統領のハリス氏が正式に民主党の大統領候補者として指名され、この日を迎えました。
11月に行われる一般国民による投票は、形式的には州ごとに「大統領選挙人」を選ぶものです。ある州で勝った候補者は、その州の大統領選挙人をすべて獲得することになっています(一部の州を除く)。民主党と共和党との二大政党制のアメリカでは、伝統的に北東部と西海岸の州では民主党が、中部・南部の州では共和党が、それぞれ強いとされています。そのため、両党の支持率にあまり差がない、いくつかの「激戦州」でどちらが勝つかによって全体の結果が決まるといえます。今回は全体の得票率で見ると、トランプ氏が50.0%、ハリス氏が48.4%と接戦でしたが、獲得選挙人数で比べると、「接戦州」で全勝したトランプ氏が312人、ハリス氏が226人と大差がつきました。
今回の選挙の主な争点は、バイデン政権下で進んだ物価高による労働者の生活苦や、不法移民の急増などにどう対応するかということでした。トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げ、外国からの輸入品に高い関税をかけて国内の産業を守る、不法移民の取り締まりを強化するなどと訴え、ハリス氏を上回る支持を集めたのです。
トランプ氏は12月16日の選挙人による投票、1月6日の上下両院合同会議での開票を経て、2025年1月20日に行われる大統領就任式に臨みます。78歳7か月での就任は、2021年1月20日の就任時に78歳3か月だったバイデン氏を上回る史上最高齢です。
不安定な「少数与党内閣」に第2次石破内閣が発足
衆議院 | 参議院 | ||
---|---|---|---|
1回目投票 | 決選投票 | ||
石破茂(自由民主党総裁) | 221 | 221 | 142 |
野田佳彦(立憲民主党代表) | 151 | 160 | 46 |
馬場伸幸(日本維新の会代表) | 38 | - | 18 |
玉木雄一郎(国民民主党代表) | 28 | - | 11 |
山本太郎(れいわ新選組代表) | 9 | - | 5 |
田村智子(日本共産党委員長) | 8 | - | 11 |
その他 | 10 | - | 5 |
無効 | 0 | 84 | 1(白票) |
※公明党の議員は石破氏に投票。日本共産党の議員は、衆議院決選投票では野田氏に投票したものとみられる
※各政党の代表は11月11日時点
10月27日に行われた第50回衆議院議員総選挙を受け、11月11日に特別国会が召集されました。特別国会では衆議院・参議院とも内閣総理大臣(首相)の指名を最優先で行うことになっています。このため、自由民主党(自民党)と公明党との連立による第1次石破茂内閣は同日午前に総辞職しました。
10月の衆議院議員総選挙では自民党と公明党とを合わせた与党の議席が215にとどまり、定数465の過半数233を割り込みました。もしすべての野党がまとまって、首相指名選挙で1人の候補者に投票したら、自民党と公明党との連立政権は維持できないということです。そこで、自民党は政策に共通点もある日本維新の会や国民民主党に連立政権への参加を呼び掛けました。しかし、両党は所属議員に首相指名選挙でそれぞれ自分の党の代表に投票させる考えを明らかにしました。
こうして迎えた11月11日の特別国会では、自民党と公明党の議員は自民党の石破総裁に投票しました。石破氏は参議院では過半数を獲得しましたが、衆議院では半数を超えることができませんでした。そこで、1位の石破氏と2位の立憲民主党・野田佳彦代表との間で決選投票が行われました。日本維新の会や国民民主党の議員は決選投票でも自分の党の代表に投票したものとみられますが、こうした票はすべて無効になりました。野党が一つにまとまって野田氏に投票することはなかったのです。
首相指名選挙では有効投票の過半数を得た議員が首相に指名されます。しかし、決選投票では「多数を得た者」が指名されると規定されています。決選投票でも1位になった石破氏はこれによって第103代の首相に指名されました。
石破首相はその日のうちに、自民党と公明党との連立による第2次石破内閣を発足させました。これは与党が衆議院で過半数の議席を持っていない「少数与党内閣」なので、日本維新の会や国民民主党の協力なしでは、予算案も法律案も成立させることはできません。また、野党が内閣不信任案を提出した場合、与党の反対多数で否決することもできません。石破首相は厳しいかじ取りを迫られることになります。
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