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奄美大島で特定外来生物の駆除に成功フイリマングースの根絶を宣言
環境省は9月3日、鹿児島県の奄美大島で特定外来生物のフイリマングースを根絶したと宣言しました。
フイリマングースは、本来はインドなどに生息している動物です。それが当時すでに持ち込まれていた沖縄島から、奄美大島に続いて持ち込まれたのは1979年のことです。奄美大島では毒ヘビのハブにかまれる人が後を絶たなかったため、その天敵と考えられていたフイリマングースを放してハブを退治しようとしたのです。
しかし、昼行性のフイリマングースが夜行性のハブを捕食することはほとんどありませんでした。ハブ対策としての効果はなかったのです。それどころか、1983年ごろから農畜産物への被害が出始めました。国の特別天然記念物で絶滅危惧種でもあるアマミノクロウサギなどの固有種が捕食されて、生息数が激減したこともわかりました。アマミノクロウサギの生息数は、2001〜2002年ごろにはかつての2割程度まで減っていたといわれています。
そこで、国はこのままでは生態系に深刻な被害をもたらすとして、2000年から本格的な駆除に乗り出し、2018年4月までに約3万2000匹を捕獲しました。それ以降は捕獲数ゼロの状態が続き、島内に設置されたセンサーカメラで存在が確認されることもありませんでした。こうしてフイリマングースの根絶宣言が出される日を迎えたのです。
奄美大島の面積は東京23区よりやや広い約712㎢です。これほど広いエリアで、いったん定着した外来種の根絶に成功した事例は世界的にもまれです。2021年には「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産に登録されましたが、奄美大島で外来種の駆除が進み、固有種への脅威が減少したと評価されたことも登録の決め手の一つとなりました。
なお、フイリマングースは沖縄島でも生態系に悪い影響を与えています。環境省では沖縄島での駆除も引き続き進めていくことにしています。
自由民主党で総裁選挙石破茂氏が新総裁に
1回目投票 | 決選投票 | |||||
国会議員 | 党員・党友 | 計 | 国会議員 | 都道府県 | 計 | |
石破茂 | 46 | 108 | 154 | 189 | 26 | 215 |
高市早苗 | 72 | 109 | 181 | 173 | 21 | 194 |
※国会議員は棄権1 | ※国会議員は棄権1、無効・白票5 |
9月27日、自由民主党(自民党)のトップである「総裁」を決める選挙の投票・開票が行われ、石破茂氏が第28代の総裁に選出されました。
自民党は今年、議員の集団である複数の派閥が開いたパーティーで集められた資金の一部が、いわゆる「裏金」になっていたという問題が大きく報道され、支持率が低下しました。総裁の任期は3年で、2021年9月に総裁になった岸田文雄氏の任期は今年9月で切れるため、選挙はもともと予定されていましたが、岸田氏は8月14日、今回の総裁選挙に立候補しないことを表明。告示日の9月12日には、現行の総裁選挙の仕組みになってからは過去最多の9人が立候補を届け出ました。
この総裁選挙では自民党の国会議員と、全国の党員・党友が投票権を持っており、国会議員と党員・党友による1回目の投票で過半数を獲得した候補者がいれば、その候補者が当選となります。しかし、今回は誰も過半数を獲得できませんでした。その場合は1位と2位の候補者による決選投票が行われることになっていました。ここで投票するのは党所属の国会議員と、47都道府県の代表のみですが、3位以下の候補者に投票した議員の票の行方によっては1位と2位が入れ替わることもあり得ます。今回、1回目の投票で1位になったのは高市早苗氏で、2位は石破氏でした。この2人による決選投票の結果、215票を獲得した石破氏が194票の高市氏を破って当選したのです。
石破氏は1957年2月、東京都千代田区生まれの67歳。父は鳥取県知事や参議院議員を務めていたため、その後を継いで政治家(衆議院議員)になった茂氏も選挙区は鳥取県です。初当選したのは1986年で、自民党総裁選挙には過去に4回出馬していずれも敗れていましたが、今回ついに宿願を果たしました。
ところで、日本の政治の仕組みは議院内閣制です。通常であれば、衆議院で過半数の議席を得て政権を担っている政党のトップが内閣総理大臣(首相)に就任します。現在は自民党が衆議院で過半数の議席を占めているため、自民党総裁が首相になるわけです。石破新総裁は10月1日に召集された臨時国会での首相指名選挙を経て、第102代、65人目の首相に就任しました。
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