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1万円札、5000円札、1000円札を一新20年ぶりに新紙幣を発行
7月3日、20年ぶりにデザインを一新した紙幣(1万円札、5000円札、1000円札)の発行が始まりました。ただし、2000〜2003年度につくられた2000円札は従来のままです。
1万円札は慶應義塾の創設者・福沢諭吉から渋沢栄一(1840〜1931年)に代わりました。渋沢は第一国立銀行(現在のみずほ銀行)など約500社の設立にかかわり、「日本資本主義の父」と呼ばれています。作家の樋口一葉から津田梅子(1864〜1929年)に交代したのが5000円札です。満6歳でアメリカに渡り、日本初の女子留学生の一人となった津田は、1900年に女子英学塾(現在の津田塾大学)を創設しました。1000円札は黄熱病の研究で知られる医師・細菌学者の野口英世に代わって北里柴三郎(1853〜1931年)が選ばれました。北里はドイツに留学し、感染症の研究をした医学者です。破傷風やジフテリアについて、血清療法という新しい治療法を確立したり、ペスト菌を発見したりして、「近代日本医学の父」と呼ばれています。
それぞれのお札の裏面も変わりました。1万円札には東京駅の丸の内駅舎が、5000円札には藤の花が、1000円札には浮世絵師・葛飾北斎の「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」が、それぞれ描かれました。
お札のデザインを定期的に変更する最大の理由は偽造を防ぐためです。前回のデザイン変更から約20年。最新の防止技術を取り入れるべき時期になったのです。今回は世界で初めて「3Dホログラム」を採用しました。お札を傾けると肖像が動いているように見えます。また、肖像や金額の数字はインキが盛り上がるように印刷されており、紫外線を当てると発光する部分もあります。
今回はさらに、すべての人が使いやすい「ユニバーサルデザイン」を強化しました。目の不自由な人が指で触って紙幣の種類を識別できるマークは、旧紙幣にもありましたが、新紙幣では種類ごとにマークの位置を変えたため、より識別しやすくなりました。
文化遺産としては21件目「佐渡島(さど)の金山」が世界遺産に
7月21日からインドの首都ニューデリーで開かれていた世界遺産委員会は7月27日、日本が推薦していた「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)を文化遺産に登録することを決定しました。これで日本の世界遺産は26件(文化遺産21件、自然遺産5件)になりました。
世界遺産とは国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界遺産条約」に基づき、「顕著な普遍的価値」があるとして登録・保護されている文化遺産(歴史的な建造物や遺跡など)や自然遺産(貴重な自然や生態系が残されている場所など)のこと。両者の特徴を持つ「複合遺産」は、日本にはまだありません。
また、文化遺産のうち、鉱工業などの発展の歴史がわかるものを特に「産業遺産」といいます。「佐渡島の金山」は典型的な産業遺産といえます。
「佐渡島の金山」の構成資産は「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」です。採掘の全盛期の17世紀前半(江戸時代初め)には年間約400kg、世界の約1割もの金を産出しており、幕府の重要な収入源となっていました。江戸時代中期以降に産出量が減少すると、坑道は長く深く掘り進められていき、坑道にたまった地下水を外部に排出するのに多くの人手が必要になりました。そのため、江戸の無宿人などが送り込まれ、過酷な労働を強いられました。
世界文化遺産に推薦された遺産は、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が現地調査を行います。その結果に基づき、イコモスは世界遺産委員会に「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」のいずれかを勧告することになっています。今回、イコモスは6月初め、「佐渡島の金山」に「登録」ではなく、追加情報を求める「情報照会」という勧告を出しました。そして、明治時代以降も含む、採掘が行われていた全期間の歴史を展示・説明するよう求めました。これは大韓民国(韓国)政府が「現地の展示を見ても、太平洋戦争中は朝鮮半島出身者も働いていたことがわからない」と不満を表明していたためと思われます。このことについて、日本政府は改善を約束し、韓国政府もある程度納得したため、無事に登録されました。
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