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2023年の出生数は約72万7300人合計特殊出生率が過去最低の1.20に
厚生労働省は6月5日、2023年の人口動態統計を発表しました。それによると、国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は約72万7300人で、初めて80万人を割った前年の約77万800人をさらに下回りました。統計がある1899年以降では最少です。一方、2023年の1年間に国内で死亡した日本人は約157万5900人で、戦後最多です。このため、出生数と死亡数の差である「自然増減数」は約84万8700人のマイナスで、過去最大の減少となりました。
また、2023年の合計特殊出生率(1人の女性が一生涯に産むと見込まれる子どもの数)は1.20で、2005年と並んで過去最低の1.26だった前年を0.06ポイント下回りました。出生数の減少と、合計特殊出生率の低下はともに8年連続です。
出生数と合計特殊出生率が過去最少・最低となった要因について、厚生労働省では「経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさなど、個々人の結婚、出産、子育ての希望の実現をはばむ、さまざまな要因が複雑に絡み合っている」とみています。
日本の場合、出生数の減少に直結するのが、結婚する夫婦の数(婚姻数)の減少です。婚姻数は、1970年代前半には年間100万組を超えていたのですが、2023年は戦後初めて50万組を割り、約47万4700組になりました。このため、2024年の出生数は2023年をさらに下回ることが確実です。
このように、出生数の減少に歯止めがかからない状態となっています。次の世代を担う人が極端に少なくなることは、国の存続にもかかわる問題です。そこで、6月5日には、児童手当の拡充などの少子化対策を盛り込んだ「改正子ども・子育て支援法」が参議院本会議で可決され、成立しましたが、どの程度効果があるかは不透明です。
AIの討議にはローマ教皇も参加イタリアでG7サミットが開催
6月13日から15日まで、イタリア南部のプーリア州で主要7か国首脳会議(G7サミット)が開催されました。
サミットとは「山の頂上」という意味の英語です。また、G7とはGroup of Sevenの略で、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの主要7か国を指します。これらの国々の首脳(首相や大統領)が1年に1度集まり、世界の政治問題や経済問題などについて話し合う会議がG7サミットなのです。この7か国に加え、ヨーロッパ連合(EU)からもヨーロッパ理事会常任議長(大統領)とヨーロッパ委員会委員長が参加します。
14日に採択された首脳声明では、まずロシアによる侵攻が続くウクライナに対して、ロシアの凍結資産を運用して得た利益を活用し、年内に約500億ドル(約8兆円)の資金支援を実施するとしました。欧米諸国はロシアに対する経済制裁の一環として、ロシア政府や政権幹部が自国などの銀行に預けたお金を引き出せないようにしていますが、これが凍結資産です。また、そのロシアを軍事的に支援する朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)については「最も強いことばで非難」と明記されました。同国からロシアに輸出されたとみられる弾道ミサイルがウクライナの戦場で発見されているからです。
ロシアを非難せず、結果的に戦争の継続を可能にさせている中華人民共和国(中国)にも懸念を示しました。特に、国が巨額の補助金を出して電気自動車を過剰に生産し、世界の自動車市場を混乱させつつあることや、南シナ海の軍事拠点化を進めていることを問題視しました。
なお、今回はカトリック教会のトップであるローマ教皇(フランシスコ教皇)が史上初めてG7サミットの一部の会合に参加したことも話題になりました。参加したのは人工知能(AI)などに関する討議で、フランシスコ教皇は特にAIの軍事利用に強い懸念を示し、AIが人間の関与なしに目標を決定して攻撃する「自律型致死兵器システム(LAWS)」の禁止を訴えました。
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