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政府・日銀が外国為替市場で「覆面介入」か1ドル=150〜160円の円安に
4月29日、外国為替市場では一時、1ドル=160円台を記録しました。これは1990年4月以来、34年ぶりの水準の円安でしたが、夕方には円高に振れ、1ドル=154円台まで戻しました。こうした動きは5月2日にもあり、1ドル=157円台だったのが、1ドル=153円00銭まで戻しました。
これは日本政府と日本銀行(日銀)による「覆面介入」の影響ではないかとみられています。この場合の介入とは、政府と日銀が外国為替市場で通貨を大量に売買し、行き過ぎた円安や円高を修正しようとすることです。今回は政府・日銀が介入しているとわからないように実行したので「覆面介入」というのです。
外国為替市場とは日本の円やアメリカのドル、ヨーロッパ連合(EU)のユーロなど、異なる通貨を交換=売買する場のこと。たとえば、日本の街の中にある普通のお店で使えるのは円です。そこで、ドルを持って日本を訪ねた人は、手持ちのお金の一部を円に替えることが必要になります。ただし、各通貨の価値は固定されているわけではなく、その時々の経済状況などを反映して、高くなったり安くなったりします。円の価値が外国の通貨、特にドルに対して高くなることを円高といい、安くなることを円安といいます。
円安になれば円の価値が低くなるため、外国から食料やエネルギー資源を輸入するには不利になります。このため、最近では食品や電気料金の値上げが続いています。
一方、ドルをはじめとする外国の通貨の価値は円に対して高くなるため、外国人にとっては比較的安い費用で日本を旅行できるようになっています。2024年3月と4月には2か月連続で、訪日外国人旅行者数が300万人を超えました。これにより、外国人向けのお店は大いに繁盛して経済効果が上がっていますが、京都などの観光地では交通機関が混雑する、大量のごみが捨てられるなどの「観光公害」が発生していることも事実です。観光客が多すぎることにより起こる、こうした問題を「オーバーツーリズム」といいます。
静岡県知事選挙の結果の影響は?リニア中央新幹線の行方
5月26日、静岡県知事選挙の投票・開票が行われ、前浜松市長の鈴木康友氏が元副知事らを破り、初当選しました。今回の県知事選挙は、川勝平太前知事が4月に口にした職業差別と受け取られかねない発言をきっかけに、任期途中で辞職したことに伴うものです。
この結果により、クローズアップされたのがリニア中央新幹線をめぐる問題です。現在、リニア中央新幹線は品川―名古屋間をまず開業させることをめざして工事が進められています(最終的には新大阪まで延伸の予定)。ほぼ直線に近いルートで、山梨県から南アルプス(赤石山脈)をトンネルで抜けて長野県に入りますが、その途中で静岡県をかすめています。そこは大井川の源流に当たります。これについて、川勝前知事はトンネルを掘ると大井川の水資源が減る恐れがあるとして、静岡工区の着工を認めませんでした。ほかにも工事の遅れている区間があるため、JR東海は今年3月、品川―名古屋間の2027年開業を断念すると発表。開業は2034年以降にずれ込む見通しとなった矢先の知事選挙だったのです。
当選した鈴木氏はリニアの工事に反対してはいません。前述した水と自然環境の問題を解決したうえでというのが前提ですが、静岡工区の工事を推進すると明言していました。そのため、今後は着工に向けてのJR東海や国との議論が加速するものとみられています。
ただし、この選挙期間中にはリニアのトンネル掘削工事が地下で進んでいる、岐阜県瑞浪市大湫町の井戸やため池などで水位の低下が相次いでいることがわかりました。JR東海ではトンネル内に水が染み出していることが原因とみて、その工事を一時中断して、地中の状況を調べるボーリング調査を行うことを決めました。
現在、工事が行われているもう一つの新幹線は、北海道新幹線の新函館北斗―札幌間です。こちらでも動きがあり、鉄道建設・運輸施設整備支援機構は8日、当初予定していた2030年度末(2031年春)の札幌延伸が困難になったと発表しました。掘り進めていた羊蹄トンネルの現場で、巨大な岩の塊にぶつかって工事が一時止まっていたことなどが原因で、開業は数年程度延期される見通しです。
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