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野外に放すことを法律で禁止「条件付き特定外来生物」を指定
6月1日、アメリカザリガニとアカミミガメ(その幼体がミドリガメ)が「条件付き特定外来生物」に指定されました。一般家庭でペットとして飼うことは引き続きできますが、池や川などの野外に放すことは法律で禁止されたのです。違反すると、罰金などの対象となります。
外来生物とは、それまで生息していなかった地域に、人の活動が原因でほかの地域から入ってきた生物のことです。ペットとして海外から持ち込まれたものが捨てられたり、逃げ出したりしてそうなった生物もいれば、貨物などに紛れて入ってきたと思われる生物もいます。
日本には少なくとも2000種以上の外来生物がいるといわれています。日本にもともといた生物と競合して、それを絶滅に追い込む恐れのあるものもいれば、農作物を食い荒らすものもいます。セアカゴケグモやヒアリのように、人をかんだり刺したりして直接被害を与えるものもいます。こうした生物のうち、150種以上が特定外来生物被害防止法により「特定外来生物」に指定され、輸入はもちろん、飼育や栽培、運搬、野外への放出、売買、譲渡なども原則として禁止されています。野外に生息しているものは駆除の対象にもなっています。
しかし、アメリカザリガニとアカミミガメはペットとして飼われている数があまりにも多いため、特定外来生物に指定して飼育を全面禁止すると、飼うのが違法になる直前に大量に捨てられ、かえって生態系に悪い影響を与えると考えられました。環境省によると、家庭で飼育されているアメリカザリガニの数は約540万匹、アカミミガメの数は約160万匹に上っています。そこで、「条件付き特定外来生物」という新たな分類を設けたのです。とはいえ、飼うことと無料で他人に譲ることが禁止されなかっただけで、ほかの特定外来生物と同様に、野外に放すことや売買することは禁止なので、ある意味ではこれまで以上に飼い手の責任が問われるようになったといえるでしょう。
合計特殊出生率1.26は過去最低に並ぶ2022年の出生数は約77万人
厚生労働省は6月2日、2022年の人口動態統計を発表しました。それによると、国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は77万747人と初めて80万人を割り込み、過去最少を更新したことがわかりました。一方、2022年の1年間に国内で死亡した日本人は戦後最多の156万8961人でした。出生数と死亡数の差である「自然増減数」はマイナス79万8214人と、過去最大の減少となりました。
また、2022年の合計特殊出生率(1人の女性が一生涯に産むと見込まれる子どもの数)は1.26で、前年を0.04ポイント下回り、7年連続で低下しました。人口を維持するためには、合計特殊出生率は最低でも2.07程度は必要とされています。しかし、日本では1970年代にその水準を割り込み、2005年には1.26を記録しました。その後、2015年には1.45まで回復したものの、2016年から2022年までは7年連続で低下し、ついに過去最低だった2005年の1.26に並んでしまったのです。
出生数や合計特殊出生率がここまで落ち込んだ要因について、厚生労働省では「新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、出産や育児に不安を感じた人が多かったことが影響した可能性がある」とみています。また、同じ時期に婚姻数も急減。2019年は59.9万組でしたが、2022年は50.4万組にまで減少しました。これは出生数の減少に直結しかねません。
こうした状況を受け、「異次元の少子化対策」を表明していた岸田文雄首相は6月13日に会見を開き、この日に閣議決定した「こども未来戦略方針」を発表しました。その目玉は児童手当を拡充することで、すでに結婚している女性にもう1人子どもを産んでもらおうとするような内容です。しかし、経済的な理由から結婚をあきらめている若者が多いのではないか、そのような層に対する支援こそが必要ではないかという声も強まっています。
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