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G7首脳が一堂に会して話し合うG7広島サミットが開催
ゼレンスキー大統領も対面で参加
大韓民国(韓国) | 尹錫悦大統領 |
ベトナム | ファム・ミン・チン首相 |
インドネシア | ジョコ・ウィドド大統領 |
インド | ナレンドラ・モディ首相 |
ブラジル | ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領 |
オーストラリア | アンソニー・アルバニージー首相 |
コモロ(※1) | アザリ・アスマニ大統領 |
クック諸島(※2) | マーク・ブラウン首相 |
ウクライナ | ウォロディミル・ゼレンスキー大統領 |
※1 アフリカ連合議長国 ※2 太平洋諸島フォーラム議長国
5月19日から21日まで、広島市で主要7か国首脳会議(G7サミット)が開催されました。日本でサミットが開かれたのは今回で7回目。2016年に三重県志摩市で開催された「伊勢志摩サミット」以来、7年ぶりのことです。
広島市は、第二次世界大戦終結直前の1945年8月6日に、アメリカ軍によって原子爆弾(原爆)が投下された場所です。そこでの開催には象徴的な意味があります。ウクライナに侵攻したロシアが、場合によっては核兵器を使用することもあり得るかのような発言を繰り返している状況で、核兵器の恐ろしさを各国首脳に知ってもらうとともに、ロシアに対して、核兵器の使用は絶対に許さないという強いメッセージを送るために、広島市が選ばれたといえます。岸田文雄首相が広島1区選出の衆議院議員であることも影響していると思われます。
サミットとは、山の「頂上」という意味の英語です。一方、「G7」とはGroup of Sevenの略で、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの主要7か国を指します。これらの国々の首脳(首相や大統領)が1年に一度集まり、世界の政治問題や経済問題などについて話し合う会議がG7サミットです。この7か国に加え、ヨーロッパ連合(EU)からもヨーロッパ理事会常任議長(大統領)とヨーロッパ委員会委員長が参加します。この9人による会議とは別に、G7以外の重要な国の首脳なども加わった会議が開かれることも多くあります。今回は大韓民国(韓国)、インド、ブラジルなど8か国の首脳と、国際連合をはじめとする七つの国際機関も招待され、一部の会議に加わりました。
大きなサプライズとなったのが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が2日目の5月20日午後、電撃的に来日したことです。当初はオンラインで参加することになっていたのですが、初日の19日に、来日して対面で参加することが発表され、最終日の21日にはG7とEUの首脳らによる会議にも加わりました。ウクライナへの支援を継続すること、ロシアへの制裁をさらに強化することが確認されました。
首脳らが原爆資料館を訪問
前述したように、G7サミットでは世界が直面するさまざまな問題が話し合われます。
具体的な議論に入る前の初日の19日午前から昼ごろにかけて、G7とEUの首脳は、9人全員で広島平和記念公園内にある広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れました。岸田首相が「被爆の実相」を伝える展示について説明し、終了後にはそろって原爆死没者慰霊碑に献花して黙とうしたのです。その晩に世界遺産の厳島神社がある宮島の旅館で行われた、夕食をとりながら議論するワーキングディナーでは外交と安全保障の問題が取り上げられました。ここではロシアを強く非難するとともに、中華人民共和国(中国)に対しても懸念を示した文書が発表されました。
現在の世界で、公式に核保有国とされているのはロシアと中国に加え、G7のメンバーであるアメリカ、イギリス、フランスです。核兵器の発射ボタンを押す権限のある首脳らが、核兵器を使用したらどうなるかを見たり、聞いたりしたわけで、大きな意義があったといえるでしょう。
「G7広島首脳コミュニケ(声明)」を発表
世界的な物価上昇、エネルギーや食糧の供給不安、気候変動への対応、対話型の生成AI(人工知能)を利用する際のルールづくり、性的少数者の人権保護なども話し合われました。これまでロシアを強くは非難していなかったアジア、アフリカ、中南米などの「グローバルサウス」といわれる発展途上国との連携を深められたことも成果でした。
20日には「G7広島首脳コミュニケ(声明)」が発表されました。このコミュニケでは、ロシアのウクライナ侵攻は国連憲章を含む国際法への深刻な違反だとして、「最も強い言葉で非難する」とされています。それを踏まえ、「国連憲章を尊重しつつ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、強化する」と強調しました。また、現実的で実践的な責任ある取り組みにより、「核兵器のない世界」の実現をめざすとも明記しました。さらに、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強め、場合によっては武力で台湾の統一を図ることもあり得ると主張する中国を念頭に、「力による一方的な現状変更の試みに反対する」と表明しました。このコミュニケに対し、ロシアと中国は強く反発しています。
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