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シリア難民・避難民にも大きな被害トルコ南東部で大地震が発生
2月6日、トルコ南東部を震源とする大地震が2回発生しました。地震の規模を示すマグニチュード(M)は、現地時間の午前4時17分に起こったものが7.8で、午後1時24分に起こったものが7.5でした。
トルコ付近では、日本付近と同様に複数のプレート(地球の表面を覆う岩盤)がぶつかり合っています。それによって断層が生じ、地震が多く発生するのです。これまでにも、何万人もの犠牲者を出すような地震がたびたび起こってきました。たとえば、1999年にトルコ北部を東西に走る北アナトリア断層で起こった地震では、1万7000人以上が死亡しました。今回の地震は、それとは別の東アナトリア断層で起こりました。震源がシリアとの国境に近かったため、シリア側でも大きな被害が出ています。
2月22日の時点で、トルコとシリア両国を合わせた死者数は5万人を超えました。そのほとんどは建物の倒壊による圧死です。被害がこれほどまでに拡大した要因の一つとして指摘されているのは、建物の耐震性が不十分だったとみられることです。トルコでは前述した1999年の大地震の後に、耐震基準を日本と同じ水準まで強化したのですが、厳密には守られていなかったようです。このため、「人災」だと批判する声もあります。震源から300kmも離れた地域でも、柱が壊れて天井と床が重なるように崩れ、連鎖的にすべての階が垂直に崩壊する「パンケーキクラッシュ」が確認されています。これは柱が細かったり、鉄筋が少なかったりして、強度が不足していることが原因とされる現象です。
今回の災害が深刻なのは、多数の難民が発生している紛争地域で起こったことです。隣国のシリアでは2011年から内戦が続いていますが、トルコに逃れた難民と、シリア国内にとどまっている避難民がともに被災しました。しかし、トルコ国内からの報道の多さに対して、シリア国内からの報道はほとんどなく、被害の状況は不透明です。特に、反体制派の支配地域は孤立し、必要な支援が届きにくくなっており、人道危機がますます深刻になっているようです。
上野と和歌山から計4頭ジャイアントパンダを中国に返還
この2月、日本にいるジャイアントパンダ4頭が中華人民共和国(中国)に返還されました。まず21日には東京都台東区の上野動物園のシャンシャン(香香)が、続いて22日には和歌山県南部の白浜町にあるアドベンチャーワールドの永明と、その双子の娘の桜浜、桃浜が、それぞれ中国南西部の四川省に向けて旅立ったのです。
永明は中国の北京動物園生まれですが、ほかの3頭は日本で誕生しました。それなのに、なぜ中国に「返還」されるのでしょうか。
ジャイアントパンダは実はクマの仲間です。野生のものは四川省などに約1800頭しか生息していません。そのため、絶滅が危惧される動物として、ワシントン条約により、商業目的での輸出入が禁止されています。国境を越えて移動させることができるのは、繁殖のための研究目的の場合だけなのです。そのため、中国は所有権を持ったまま、海外の動物園に貸し出しているのですが、海外で生まれた子は2歳で返還することになっています。2017年6月に生まれたシャンシャンも、本来なら2019年に返還される予定でした。しかし、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えていたこと、その後は新型コロナウイルス感染症の流行により国家間の移動が困難になったことなどを理由に、返還は5度も延期されていました。
一方、永明は「飼育下で自然交配し、繁殖した世界最高齢のジャイアントパンダ」の記録を更新し続けてきました。16頭の子の父であり、現在30歳です。人間ならば90歳に相当する高齢ですが、28歳のときに16頭目の楓浜が生まれたこともあって、繁殖の研究のために返還されることになりました。その双子の娘で8歳の桜浜と桃浜は中国でパートナーを探して繁殖をめざすことになっています。
日本にジャイアントパンダが初めてやって来たのは、1972年9月29日に日本と中国が日中共同声明に署名し、国交を正常化(国と国とが正式な関係を持つこと)した直後のことでした。日中友好のシンボルとして、同年10月28日に上野動物園にカンカンとランランがやって来たのです。
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