おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は紙についてのお話です。昔買った本を久しぶりに本棚から出してみたら、ページが黄色くなっていた。そんなことがよくあります。どうして本の紙は時間が経過すると変色してしまうのでしょうか。
なぜ本の紙は黄色っぽくなるの?
紙は木から作られる!
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お父さんが、子どものころに読んだっていう絵本を貸してくれたんだけど、ページが黄色くなっていて読みにくかった。 |
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古い本ってページが黄色くなっているよね。最初は白かったんだろうけど。 | |
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長く日光や空気に触れ続けていたせいで、色が変わってしまうんだ。 | |
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ふーん。どうして日光や空気に触れると、紙の色が変わっちゃうの? | |
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紙を作る原材料の中に、光や空気の影響を受けて色が変わる物質が含まれているからだよ。 | |
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紙って何から作られるの? | |
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ほとんどの紙は木材から作られているよ。木には「リグニン」という物質が含まれていて、そのリグニンは太陽の紫外線を受けたり、空気中の酸素に触れたりすると、変色する性質があるんだ。 | |
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だから本のページが黄色くなるんだね。 |
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紙ってどうやって木から作られるの? | |
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紙は木材から取り出した繊維から作られているよ。紙を手でちぎって切り口のところをよく見ると、ぼそぼそしていることがあるでしょ。この綿みたいなものが繊維だよ。木材から繊維を取り出して、紙に加工できるようにしたものを「パルプ」というよ。 | |
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パルプってなんか聞いたことがあるよ。 | |
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パルプには、製造方法の違いによって二つの種類があるよ。木材を機械ですりつぶすなどして繊維を取り出して作ったものを「機械パルプ」という。機械パルプには、木材に含まれているリグニンも残ったままだから、黄ばみやすい紙ができるんだ。 | |
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ページの色があまり変わらない本もあるよね。たとえば、図鑑とか。 | |
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ノートも黄色くならないと思うよ。でも、新聞は古くなると黄色くなるよね。 | |
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色が変わりやすい紙と変わりにくい紙があるんだ。パルプのもう一つの種類は、化学薬品を使って作る「化学パルプ」だよ。この場合はリグニンを溶かして繊維を取り出すから、パルプにはリグニンが含まれていないんだ。だから化学パルプで作られた紙は、時間がたっても変色しにくいよ。こういう紙は「上質紙」といって、ノートやコピー用紙、写真用の紙などに使われているよ。 |
意外に簡単、白いページの復活法
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化学パルプのほうが黄ばまないってことね。 |
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身の回りにはいろいろな紙があるよね。何に使われる紙かによって、機械パルプと化学パルプがどのくらい含まれているかが違うから、黄ばみ方も違うんだ。新聞紙は、機械パルプを多く使って作られた紙だから、色が変わりやすいよ。 | |
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全部、化学パルプで作ればいいのに。 | |
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機械パルプの紙にも利点はあるよ。まず軽いこと。新聞も軽い紙を使っているからこそ、遠くまで大量に運べるし、自転車やオートバイでたくさんの家に配達できるんだ。それに表面がざらざらしてめくりやすいという利点もあるよ。逆に化学パルプでできた紙は、変色しにくいけど重くて、作るのにかかる費用も高くつくんだ。 | |
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だから二つを使い分けているんだね。 |
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黄色くなった本を元通りにきれいにすることはできないの? | |
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ひどい変色でなければ、目の細かい紙やすりでこするだけで黄ばみを落とせるよ。表紙が変色したときは、漂白剤を使うときれいにできることもあるんだ。最初から変色しないように気をつけていれば、そんなことをしなくても済むけどね。 | |
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時間がたっても黄色くならないようにするなんてことはできるの? | |
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直射日光が当たる場所に本を置くのは避けたほうがいいね。ほら、図書館って、本を読むところは明るいけど、本棚のあるところは少し暗くなっていないかい?あれは本に余計な光を当てないためなんだ。ふだん読まない本は、クローゼットの中のような、なるべく日光が当たらない場所にしまっておいたほうがいいよ。本の背が変色することもあるから、大事な本にはブックカバーをかけておくのも一つの方法だね。日光が当たるのを防げるし、空気に触れることで起こる色あせなども防げるよ。 |
●機械パルプと化学パルプの違い
保護者の方へ
リグニンは紙を黄色くする原因物質です。一方で、バイオマス由来の新素材として活用できることがわかっています。リグニンには重油のように燃える性質があるため、かつては不要物として廃棄されていた化学パルプの製造過程でできる廃液が、製紙工場の発電に有効活用されています。また近年は、化石資源由来のプラスチックに代わる新素材としても注目されています。特に、スギに含まれるリグニンは「改質リグニン」と呼ばれ、プラスチック・化粧品・接着剤などに活用できる、環境に優しい新素材として開発が進められています。
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