受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は季節についてのお話です。夏が暑いのは当たり前のことですが、よく考えてみたら不思議です。1年のなかで、なぜ暑い季節や寒い季節があるのでしょうか。

どうして夏は暑いの?

地球は傾いて回っている!?

げんちゃん 毎日、暑いなあ。どうして夏は暑いの? げんちゃんイラスト
ピグマはかせ なぜだろうね。夏と冬は何が違うと思う?
さやかちゃん 夏は太陽ががんがん照りつけるよね。
ピグマはかせ そう。夏と冬とでは太陽の当たり方が違うんだ。地球を南北に二つに分けたとき、北側を「北半球」、南側を「南半球」というよね。日本がある北半球は6~8月に太陽の光が強く当たるんだ。逆に12~2月は南半球に太陽の光が強く当たるよ。
ひかるくん だから日本が夏のときは、南半球のオーストラリアは冬なんだよね。でも、どうして1年のうちで、太陽の光が強く当たる時期とそうでない時期があるの?
ピグマはかせ 地球は北極と南極を結んだ線(地軸)を軸として、1日に1回、回っているよね。これを「自転」というよ。そして、地球は自転しながら、およそ365日かけて太陽の周りを1周している。これが「公転」だ。ただし、地軸は公転面に対して少し傾いていて、傾いたまま自転しているんだよ。
えりちゃん 傾いているって、どういうことなの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 地球儀を見てごらん。地球はまっすぐではなく、少し斜めに傾いた状態で台に設置されているよね。その角度は23.4度。実際の地球も、地球儀と同じ状態で自転しながら、太陽の周りを回っているんだ。この傾きがあることによって、1年のなかで太陽の光が強く当たる時期とそうでない時期ができるんだよ。
げんちゃん 日本が夏のときは、北極と南極を結んだ軸の上のほうが太陽に向いているね。
ピグマはかせ 地球は傾いたまま太陽の周りを公転しているので、太陽に対してどんな位置に地球があるかによって、太陽の光が差し込む角度が変わるんだ。昼と夜の長さも変わるよ。下の図を見ると、日本の夏は地軸の北極側が太陽の方向を向いているよね。だから、北半球では太陽が出ている時間、つまり昼の時間のほうが夜の時間より長くなるんだ。長い時間、太陽が地面を照らしていれば、気温はそれだけ高くなる。反対に日本の冬は地軸の北極側が太陽とは逆の方向を向いているよね。だから北半球では太陽が出ている時間が短くなるんだ。日本では、太陽が出ている時間が最も長い日を「夏至」、最も短い日を「冬至」というよ。

地球が傾いていなかったとしたら…

ピグマはかせ 夏至の日は太陽が最も高い位置まで昇る日でもあるんだよ。太陽が90度に近い角度で当たっているから、夏は暑いんだ。逆に冬は太陽が低い角度で当たっているから、暑くならないんだよ。
さやかちゃん 太陽の角度が低いほうが太陽に近いから暑いような気がするけど、そうじゃないんだね。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 低いといっても、地球との距離が近いわけじゃないよ。低い角度で太陽が当たるほうが広い範囲に熱が分散するから、同じ面積で比べると、高い角度で太陽が当たるほうが、よりたくさんの熱を受け取ることになるんだよ。
えりちゃん 冬のほうが日差しが部屋の奥まで届くけど、暑くはないもんね。
ピグマはかせ そうだよね。ただ同じ北半球でも太陽の高さは場所によって違うよ。極端な話、北半球の最も上の北極では、夏は一日中太陽が照っているけど、太陽の高さは低いから暑くはならないんだ。逆に北半球のなかでも赤道に近いアフリカなどの国では、太陽が照りつける時間は長くないけど、昼間はすごく暑いよ。
ひかるくん もし地球が傾いていなかったらどうなるの? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 図を見て考えてごらん。地球が傾くことなく太陽の周りを回っているとしたら、夏も冬も太陽の当たる角度は違わないよね。傾いているから、地球には春・夏・秋・冬の季節があるんだよ。もし傾いていなければ、毎日同じくらいの気温で、昼と夜が12時間ずつ続くことになる。赤道付近では常に太陽の強い光にさらされて猛暑になるだろうし、北極や南極は常にすごい寒さになるだろうね。そうなったら、今その近くに暮らしている人や動物は、暮らせなくなってしまうよ。季節がなくなると、育たなくなる植物もあるだろうし、農作物の収穫にも影響が出てくるだろうね。
げんちゃん 地球が傾いていなかったら、大変なことになるんだね。
ピグマはかせ 本当にそうだよね。

地球の自転と公転

地球の自転と公転

保護者の方へ

 日本では、1年で最も昼が長い夏至に、太陽が1年で最も高い位置にきます。そう考えると、この日が1年で最も暑くなるように思えます。しかし、夏至は通常6月21日か22日ごろで、もっと暑い日は7〜8月にいくらでもあります。夏至が最も暑い日にならないのは、地表や海が暖まるまでに時間がかかるからです。太陽の熱が地表や海を暖め、その熱が空気に伝わることで気温が上がります。このため、気温は夏至より遅れて上がってくるのです。冬も同じで、地表や海が冷えるまでに時間がかかるため、冬至より2か月ほど遅れた時期が最も寒くなります。

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