受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は汗のお話です。夏が近づき、汗をかくことが多くなりました。暑いところにいたり、運動をしたりすると、なぜ汗が出るのでしょうか。汗の役割について探ってみましょう。

どうして汗をかくの?

汗が乾くことで体温を調節

げんちゃん 走ってきたから、汗かいちゃった。
えりちゃん ほんとだ、すごい汗ね。 えりちゃんイラスト
さやかちゃん げんちゃんは汗かきだよね。でも、どうして走ったり、運動をしたりすると汗が出るのかなあ。
ひかるくん 走らなくても、暑いときは外にいるだけでも汗が出るよ。肌がべたべたして気持ち悪いときもあるけど、汗って何かの役に立っているの?
ピグマはかせ 汗には体温を一定に保つ大事な役目があるよ。暑いときや運動したときは、体温が上がるから汗が出る。そして、その汗が乾いていくとき、皮膚の表面の熱を奪っていくから、体温が下がるんだ。人間の平熱はだいたい36~37℃。それが39℃とか40℃に上がったら、つらくて何もしたくなくなるよね。風邪をひいたときを考えればわかるね。さらに体温が上がり過ぎると、脳や体のいろいろな組織がはたらかなくなってしまうから、体温を平熱に保つのはとても大事なことなんだ。
げんちゃん そういえば、汗をかいた後って、なんか涼しくなる気がするよ。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 水が乾くときに奪われていく熱のことを「気化熱」というよ。みんなは、冬にお風呂から上がったとき、「風邪をひくから、早く体を拭きなさい」って言われたことはないかな?濡れた体が乾くとき、表面から熱を奪っていくから、早く拭かないと体が冷えちゃうんだ。それから、夏の暑い日に道や庭に水をまくと涼しくなるのは知っているかな?
げんちゃん 知ってるよ。「打ち水」っていうんでしょ?
ピグマはかせ それも同じことなんだよ。まいた水が蒸発するときに、地面が持っている熱を奪うから、周囲の温度が下がるんだ。汗は皮膚の表面に「打ち水」をするみたいなものだね。
ひかるくん 汗って、そういうはたらきがあったんだ。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 体温が上がると、汗を出すように脳が指令を出すんだよ。指令を受けた神経が「汗腺」を刺激して、汗がつくられるんだ。「汗腺」というのは皮膚にある器官で、汗をつくって出すところだよ。「汗腺」は人の体のほぼ全身にわたっていて、200万~300万個あるといわれているよ。
さやかちゃん そんなにたくさんあるんだ。いちばん多く汗をかくところはどこなの?
えりちゃん おでこじゃないの。おでこの横からよく汗が垂れるもの。
ピグマはかせ そのとおり。体の中でいちばん汗をかくのはおでこ、つまり額だよ。これは大切な脳を守るため、と考えられているんだ。また、多くの人は、手や足より、背中や胸のほうが汗をたくさんかくよ。それから、辛いものを食べたときにも汗が出るよね。このときは鼻の頭や上唇の上辺りに汗をかくよ。緊張したときも汗が出るけど、このときは手のひらや脇の下にかくよね。「手に汗を握る」とか「冷や汗をかく」といった場合の汗で、これは「精神性発汗」といわれているよ。

汗で体温調節できないのが熱中症

げんちゃん 汗って、できるだけたくさんかいたほうがいいの?
ピグマはかせ そうともいえないよ。たくさん運動をしたり、とても暑くなったりすると、汗をたくさん出すように脳が命令を出す。でも、気温が高いときに無理に運動を続けると、体がどんどん熱くなり大量の汗が出て、体が必要としている水分や塩分がどんどん奪われる。そうなると、体内のバランスが崩れて、体温調節などのはたらきがおかしくなってしまうんだ。それが熱中症だよ。熱中症になったときは、汗をかくことによる体温調節ができなくなっている状態で、40℃以上の高熱が出てしまうこともあるんだよ。
さやかちゃん だから、暑い季節は「エアコンを上手に使いましょう」とか、「こまめに水分補給をしましょう」とか言われるのね。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ そうだよ。汗をかくことは体温が上がり過ぎないようにするために必要だけど、だからといって大量に汗をかくようなことをすると、体内の水分バランスが崩れて、血液の流れが悪くなるんだ。そうなると、体中に栄養や酸素が行き渡らなくなって、吐き気やめまい、頭痛などいろいろな症状が起こるから、気をつけなくてはいけないよ。

汗のはたらき

汗のはたらき

保護者の方へ

 熱中症になると、体温調節機能が低下し、めまい・頭痛・発熱・筋肉のけいれん・嘔吐・脱力感・口の渇きなど、さまざまな症状が出てきます。汗の出方もふだんとは違ってきます。たとえば、拭いても拭いても全身から滝のような汗が流れて収まらない、といった異常な発汗は、熱中症の初期症状です。逆に暑いのにまったく汗をかかないという場合も、熱中症にかかっている危険性があります。汗のかき方が明らかにいつもと違う場合は、熱中症の可能性が高いので注意が必要です。

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