おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は数字のお話です。わたしたちがふだん使っているのは「アラビア数字」というもので、世界中で使われています。どのようにしてできたのか、数字の歴史を探ってみましょう。
数字はどのようにしてできたの?
インド生まれなのに、アラビア数字!?
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今日、算数の宿題がたくさん出たよ。計算問題が多いから大変だよ。 |
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計算は面倒に思うかもしれないけれど、みんなが使っている数字って、とても便利にできているんだよ。「12345…」と書くのは「アラビア数字」で、世界中で使われているよ。計算に使うから「算用数字」ともいうよ。 | |
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数字ってほかにもあったっけ? | |
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漢字では「一、二、三」って書くよ。 | |
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それは「漢数字」。「I、II、III」って書く数字もあるよね。時計の文字盤などでよく見る。 | |
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それは「ローマ数字」だよ。 | |
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どうして「123…」をアラビア数字っていうの?アラビアで生まれた数字なの? | |
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アラビア数字の起源は、今から2300年くらい前に古代インドで生まれた「ブラーフミー数字」。それが長い間に少しずつ形を変え、今のようなものになったんだ。インド生まれなのに「アラビア数字」と呼ぶのは、アラビアからヨーロッパに伝わったから。昔、アラビア人がインドで商売をしたときに、そういう数字があるのを知って、ヨーロッパで商売をするときにも使うようになったんだ。でも、当時、ヨーロッパではローマ数字が使われていたから、それと区別するため、「アラビアから来た数字」ということで、アラビア数字と呼ぶようになったそうだ。 |
位取りと「0」の発見が数字を変えた!
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数を記録する方法は大昔からいろいろあったよ。リンゴが5個あるとするよね。文字がなかった時代は、どうやって記録したと思う? | |
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「5」を使わないで5を表すってこと? | |
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リンゴの絵を5個描くとか? |
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そうだね。あとは木や石に5本の線を刻むとか、縄の結び目を五つ作るといった方法もあるよ。人類が狩りをして暮らしていた時代は、そうやって数を記録していたんだ。 | |
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線を刻むのも、リンゴが20個もあったら面倒だし、後でその線を数えるのも大変だよ。 | |
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そこで考え出されたのが、10とか100とか、まとまった数ごとに束にして表すやり方だよ。今から6000年くらい前、エジプトでは「ヒエログリフ」という文字が使われていて、1~9までの数は縦線の本数で、10は「U」を逆さにしたような形の記号で表したんだ。30ならその記号を三つ書けばいいからね。そのようにして、100や1000の束にも別の記号を当てはめるようにしたんだ。位ごとに違う記号を使って表したわけだね。 | |
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それなら大きな数を表せるわね。 |
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ローマ数字も同じような考え方だよ。1から9は「I II III IV V VI VII VIII IX」と書く。10は「X」、50は「L」、100は「C」、500は「D」、1000は「M」の文字で表す。そうすると、2025年は「MMXXV」年と表せるよ。 | |
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1000が2個だから「MM」。10が2個で「XX」。それに5を表す「V」がついたってことだね。 | |
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でも、数によってはけっこう複雑になるよ。たとえば3888。これをローマ数字で表すと、「MMMDCCCLXXXVIII」となるよ。 | |
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なんか暗号みたい。 | |
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こういう数字で足し算とか引き算をしたら、頭がごちゃごちゃになっちゃう。 | |
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これに対して、アラビア数字は並べる場所が変わっていくから便利なんだ。三つ数字が並んでいれば3桁の数だから、左から順に100の位、10の位、1の位だよね。123なら100が1個、10が2個、1が3個だとわかる。 | |
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それなら50の記号とか、100の記号とかを覚えなくてもいいね。0から9までの10個の数字だけで大きな数が表せるもんね。 |
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その「0」があるのがすごいことなんだよ。実は、古代インドの数字にはもともと0はなかったんだ。0が考え出されたのは、7世紀になってから。それまでは、何もないことを記号で表すという考え方がなかったんだ。でも0がないと、たとえば23と203の区別がつかないよね。0ができたから、すべての数が0から9までの10個の数字で表せるようになったんだ。 | |
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0も1〜9と同じときにできたのかと思ったけれど、そうじゃなかったのね。 | |
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数字を並べる場所で位が決まっていて、その位に何もないことを0で表せば、数を縦に並べて合計を出すのも簡単だよね。 |
●アラビア数字ができる前に使われていた数字
保護者の方へ
アラビア数字がヨーロッパに普及したのは、16世紀のことといわれています。それに大きな役割を果たしたのが、イタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチです。彼は1202年に著した『算盤の書』で、「インドの方法」としてアラビア数字の位取り記数法について紹介しています。この本は15世紀以降に活版印刷術が普及すると広く読まれ、アラビア数字の便利さが知られるきっかけになりました。
日本でアラビア数字が使われ始めたのは、開国により西洋の文物が本格的に入ってきた江戸時代末期です。漢数字を使い、そろばんで計算していた和算に代わって洋算が普及し、アラビア数字は急速に日本に根付いていきました。
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