おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は隕石のお話です。隕石は宇宙から大気圏に突入してきた小さな天体のかけらです。どうして落ちてくるのでしょうか。また、地上に落ちるとどんなことが起こるのでしょうか。
隕石が落ちたらどうなるの?
隕石は流れ星が落ちてきたもの!?
科学館に行ったら、隕石が展示されていたよ。 | ||
どんな石だった? | ||
山道に転がっている普通の石と同じように見えたよ。 | ||
隕石と、地球にある岩石は、見た目はほぼ同じだよ。見分けるのは難しくて、専門家に分析してもらわないとわからないんだ。ただ、隕石は火球になって地球に落ちてくるから、表面が熱で溶けて、黒く見えるものが多いよ。 | ||
隕石は燃えながら落ちてくるの? | ||
みんなは流れ星って知っているよね。簡単に言えば、隕石は流れ星が地上に落ちてきたものだよ。流れ星が光るのは、宇宙にある小さなちりが、大気との摩擦で燃えるからだよ。そのうち特に明るいものを火球という。大きな火球は大気中で燃え尽きないで、地上まで落ちてくることがある。これが隕石だよ。 | ||
宇宙のどこから飛んでくるんだろう? | ||
多くは、火星と木星の間にある小惑星帯から来たものだよ。そこにある小惑星がほかの小惑星と衝突すると軌道が変わって、地球の軌道の近くまで来ることがある。それが地球にぶつかったものが、隕石というわけ。 | ||
大きさはどれくらいなの? | ||
数グラムから数十トンまで、さまざまな大きさの隕石が発見されているよ。正確には、宇宙から地球上に落ちてきた固体の物質のうち、直径1mm以上のものを「隕石」、それより小さいものを「宇宙塵」と呼んでいるよ。 | ||
恐竜が絶滅したのは巨大な隕石が落ちてきたからだって、本に書いてあったよ。 | ||
確かに、今から約6500万年前、メキシコのユカタン半島に巨大な隕石が落ちたことが、恐竜が絶滅した原因だという説があるね。直径10~15kmもの隕石が落ちてきて、高さ1.5kmにもなる大津波が発生する一方で、衝突で舞い上がった大量のちりが地球全体を覆い、太陽光が地表に当たらなくなった結果、多くの生き物が滅びたといわれている。実際、ユカタン半島の地下には、直径200kmに達する巨大なクレーター地形が発見されているよ。そんな巨大な隕石が落ちるのは数千万年に1度のこと。でも、直径数m程度の隕石は、世界で何例か報告されている。数cm程度のものなら、たびたび落下しているよ。 |
隕石で地球の過去も未来もわかる!?
隕石が落ちるとどうなるの? | ||
多くの場合、空が明るく輝いて、大きな火球が現れ、大きな音を立てて落ちてくるそうだ。空中で破裂して、破片が散らばって落ちることもあるよ。日本の昔の文書にも記録されていて、明治時代以降のものだと「大きな火の玉が飛んできて、土蔵の壁に当たって地面に埋没した」とか、「突然大爆音がして、畑に落ちてきた」といった話が伝えられているよ。 | ||
日本にはいくつぐらい隕石が落ちているの? | ||
昨年、埼玉県越谷市で100年以上の間、家で保管されていた石が、「越谷隕石」として国際隕石学会に登録されたよ。これが日本で確認された隕石としては54件目。幅18㎝、高さ10㎝、重さは4.05㎏というから、けっこう大きいよね。最近では、2020年に千葉県習志野市に落下した「習志野隕石」と名付けられたものがあるよ。 | ||
落ちたとき、近所の人は大丈夫だったの? | ||
人への被害はなかったよ。夜中に大きな音がしたと思ったら、朝になってマンションの廊下に隕石が落ちていたのが見つかったんだ。このときは、関東地方から近畿地方までの広い範囲で火球が観測されたよ。実はこの隕石は、火球が確認された時点で、どこに落下するか予測ができていたんだ。どの小惑星から来たかもある程度、推定できているよ。 | ||
へえー。隕石の研究って進んでいるんだね。 | ||
実際、専門機関では、探査機を使って地球に近づく小惑星などを調べているよ。 | ||
小惑星といえば、「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ」について調べていたんだよね。 | ||
そうだよ。現在「はやぶさ2」は、地球に衝突しそうな小天体に探査機をぶつけて軌道を変えられるよう、技術の完成に向けて実証実験の準備をしているんだ。隕石の研究は、太陽系や地球の成り立ちを解明する貴重な手がかりを与えてくれるものだよ。 |
●隕石の多くは小惑星帯から飛んでくる
保護者の方へ
国際隕石学会に登録されている隕石の約6割は、南極で発見されたもの。南極に落下した隕石は氷床に埋まったまま移動します。それが山脈にぶつかると、氷床は山の斜面に沿って上昇し、風で削られてなくなります。すると、埋もれていた隕石が氷上に現れるので、一定の場所で多くの隕石が発見されるのです。月や火星からの隕石も南極で初めて発見されています。来年4月に開幕する大阪・関西万博では、日本の南極観測隊が発見した、火星由来の隕石が展示される予定です。幅29㎝、高さ16㎝、重さ13㎏と、火星から飛来した隕石のなかでは世界でも最大級のもので、水と反応した痕跡があるため、水や生命の起源を解明する貴重な隕石といわれています。
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