受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は月のお話です。地球から見る月は日によって形が変わり、きれいな満月になったり、半月や三日月になったりします。どうして月はいろいろな形に変わるのでしょうか。

どうして月は形が変わるの?

見る方向が変わると形も変わる!?

えりちゃん 昨日の夜、お月さまがとてもきれいだったよ。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 秋は空が澄んでいて、月がくっきりきれいに見えるといわれているよ。昔から「中秋の名月」ということばがあるくらいだからね。
ひかるくん 「中秋」って何?
ピグマはかせ 「秋の真ん中」という意味だよ。今の暦より1か月半くらい後ろにずれている昔の暦では7月から9月が秋。その真ん中の8月15日を「中秋」、その日の夜を「十五夜」といって、そのときにお月見をするんだ。今の暦だと「中秋」は9月から10月初めごろに当たるよ。
げんちゃん その時期の月がいちばんきれいに見えるんだね。でも月って不思議だよね。満月のときもあれば、半月や三日月のときもあるよね。どうして形が変わるんだろう。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ まず、月が見えるのはどうしてか考えてみよう。太陽は自分で光を出すけど、月は地球と同じで、自分で光を出すことはないんだ。それなのに夜空に月が光って見えるのは、月が太陽の光を反射しているから。月の形が変わって見えるのは、太陽の光が当たっている部分と当たっていない部分が変わるからだよ。
さやかちゃん どうして照らされる部分が変わるの?
ピグマはかせ 月が常に動いているからだよ。実は、月は地球に常に同じ面を見せているんだ。その面のうち、半分しか照らされていなかったら半月、全部が照らされていたら満月、と変わっていく。これを「月の満ち欠け」というよ。といっても、実際に月そのものが欠けたり、形を変えたりするわけではないよ。太陽と地球と月の位置の関係によって、地球から見える面に、太陽の光が当たる部分と当たらない部分が出てくるので、月の形が変わるように見えるだけなんだ。

形によって見える時間も違ってくる

ピグマはかせ 下の図を見てごらん。月が地球の周りを回ると、太陽と地球と月の位置の関係が変わるよね。太陽→月→地球の順で一直線に並ぶ場合(①)、地球から見える月の面全体に太陽の光が当たっていないから、月はまったく見えない。この状態を「新月」というよ。
げんちゃん 月はあるけど見えないってことだね。
ピグマはかせ 月が①から②に動くと、少しずつ照らされる部分が増えていく。そして新月の日からだいたい7日後、②の位置にくると、月の面の半分が照らされて、縦に半分に切った半円に見えるよ。地球からは月の西半分が光って見えているんだ。これを「上弦の月」というよ。
さやかちゃん 「上弦」ってどういう意味? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 月を弓の形に見立てた呼び方だよ。この形の月は昼ごろに東から昇って、真夜中に西に沈むよ。そのときに弓の弦が張ってあるほう、つまり直線のほうを上にして沈むので、「上弦」といわれるんだ。
えりちゃん 月はいつも夕方に昇って、明け方に沈むわけじゃないのね。
ピグマはかせ そうなんだ。新月から約15日たつと、月が③の位置にくるよ。このときは太陽→地球→月の順に一直線に並ぶから、地球から見える月の面全体に太陽の光が当たっている。これが「満月」だよ。月が④の位置にくると、今度は月の東半分が光って見える半月になるよ。これが「下弦の月」で、真夜中に東の空に見え始めて、弦の部分を下にして昼ごろに西に沈むよ。下弦の月が出た後7日くらいたつと、また「新月」になって月が見えなくなるんだ。
さやかちゃん そうやって太陽と地球と月の位置が元に戻るのに、1か月くらいかかるってことなのね。
ピグマはかせ 細かくいうと約29.5日。その周期で、今言った順番の満ち欠けを繰り返しているよ。
ひかるくん どうして「上弦の月」と「下弦の月」は、見える時間が違うの? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 約29.5日で360度動くということは、1日に約12度動くという計算になるんだ。だから、同じ時刻に見える月の位置も日によって変わっていくよ。満月は夕方に昇って、明け方に沈むから、一晩中見られるんだ。昼間でも空に白っぽい月が薄く見えることもあるけど、満月は昼には出ないから、それは満月ではないとわかる。三日月が見たいときは、夕方か明け方に空を見るといいよ。
げんちゃん 満ち欠けの形によって、見える時間が決まっているんだね。知らなかったよ。
ピグマはかせ 月を見るときは、形だけでなく時間や位置も覚えておくといいよ。

月の満ち欠け

月の満ち欠け

保護者の方へ

 昔は月の満ち欠けを基準にした旧暦(太陰太陽暦)を使っていました。太陽の動きを基準にしている現在の暦(太陽暦)とは、1か月の長さも1年の長さも違います。月が地球を一回りする周期は約27.3日ですが、その間にも地球は太陽の周りを公転しているため、月の満ち欠けの周期は約29.5日になります。そのため、旧暦では1か月を29日または30日としたのです。「新月」の日が1日(ついたち)で、それから「上弦の月」までは約7日。その中間に見える細長い月が「三日月」といわれるのは、まさに「新月」から3日目の月だからです。さて今年の「十五夜」は9月17日。ぜひ親子でお月見を楽しんでみてください。

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