おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は消しゴムのお話です。ノートや鉛筆とともに毎日の学習に欠かせない消しゴム。いつ、どこで発明されたのでしょうか。字を消す仕組みと合わせて、その歴史を探ってみましょう。
消しゴムはいつごろ発明されたの?
芯の粒をくっつけて取り除く
新しいノートにボールペンで書いたら、字を間違えちゃった。 | ||
鉛筆で書けばよかったね。間違えても消しゴムで消せるからね。 | ||
なんで消しゴムは鉛筆の字を消せるの? | ||
ボールペンで書いたものは、インクが紙に染み込んでいるので、消すのは大変だよ。でも鉛筆の場合は、芯に含まれる黒鉛という、炭素でできている黒い鉱物の粒が紙の表面にくっついているだけだから、消しゴムでこすり取れば消せるんだ。 | ||
へえー。鉛筆で書いた字は紙の表面にくっついているだけなんだ。 | ||
紙はパルプという繊維でできていて、目には見えないけど、表面に細かいでこぼこがあるんだ。鉛筆で書くと、紙のすき間に黒鉛が入り込んで、点や線となって見える。そこを消しゴムでこすると、今度は消しゴムのほうに黒鉛の粒がくっついて、紙からは黒鉛が取れてきれいになるんだよ。消しゴムで黒鉛がついた部分は、消しカスとなってはがれるから、次に消すときには新しい表面を使えるんだ。 | ||
消しゴムって物をくっつける性質があるんだね。鉛筆や定規にもくっつくことがあるもんね。 | ||
消しゴムにカバーがついているのは、それを防止するためだよ。プラスチック消しゴムは、塩化ビニール樹脂などのプラスチックでできていて、可塑剤という油が成分として入っているんだ。この可塑剤でプラスチックを柔らかくして、黒鉛がくっつきやすくなるようにしているよ。だから、消しゴムはほかのプラスチック製品の上に置いたりすると、くっついてしまうことがある。消しゴムのカバーには、消しゴムが汚れたり欠けたりするのを防ぐだけではなく、ほかの物にくっつかないようにする役目もあるんだよ。 | ||
カバーにはそんな役割があったのね。 |
プラスチック消しゴムは日本生まれ
消しゴムがプラスチックでできているって知らなかった。 | ||
ほんと。消し「ゴム」っていうのにね。 | ||
今はほとんどがプラスチック製だけど、もともとは天然ゴムで作られていたからだよ。 | ||
消しゴムはいつごろ発明されたの? | ||
酸素の発見者としても知られているジョゼフ・プリーストリーというイギリスの科学者が、1770年に天然ゴムで鉛筆の文字が消せることを発見したそうだよ。鉛筆の誕生が16世紀半ばといわれているから、遅れること200年といったところだね。発見から2年後の1772年にイギリスで製品化され、イギリスからヨーロッパ大陸へ、そして世界へと広まったんだ。 | ||
それが日本にも伝わったのね。 | ||
日本に伝わったのは明治時代だよ。近代的な学校制度ができて、子どもたちが学校で勉強するようになると、文房具が大量に必要になったんだ。それで日本でも消しゴムを作り始めたんだけど、品質が良くなかったようで、しばらくは主に輸入品を使っていた。日本で本格的に消しゴムを製造するようになったのは、大正時代に入ってからだよ。 | ||
日本の消しゴム作りは遅れてたんだね。 | ||
でも、いまや世界中で使われているプラスチック消しゴムは、日本で最初に作られたんだよ。 | ||
そうなの!? | ||
日本では天然ゴムはほとんど産出されず、輸入するしかなかった。しかし、天然ゴムは高価で、生産が不安定。そこで、日本のメーカーは天然ゴムに代わるものがないか、研究したんだ。ある技術者が塩化ビニールの切れ端で鉛筆の字をこすってみたらよく消えたので、いくつかの会社が開発を進めて、1956年、ついにプラスチック消しゴムが誕生した。それまでの天然ゴム製のものと比べて安く、短期間に製造できて、何より鉛筆の字をきれいに消せるという画期的な製品だった。そのため、プラスチック消しゴムは急速に世界に広まっていったんだよ。 | ||
なんか禍転じて福と為すって感じだね。 | ||
プラスチックは加工しやすいから、形ばかりでなく、色や香りも、いろいろなものが作られているよ。消しカスがあまり出ないもの、磁石を練り込んで、消しカスが消しゴムのほうにくっつくようにしたもの、リサイクル素材を使ったものなどもあるよね。 |
●鉛筆の字を消しゴムで消す仕組み
保護者の方へ
鉛筆やシャープペンシルの頭に小さな消しゴムがついているものがあります。あの消しゴム、普通の消しゴムほどきれいに消えない、と思ったことはありませんか。実は、あれこそ、多くがゴム製なのです。ゴム製の消しゴムは、消す機能はプラスチック製より劣りますが、硬くて、小さくても欠けにくいというメリットがあります。ボールペンで書いた文字を消す砂消しゴムは、天然ゴムと、ガラスの原料になる硅砂で作られています。これは、紙の表面を削り取ることで消す仕組みになっています。主役の座を降りたゴム製の消しゴムも、その特長を生かして今でも使われているのです。
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