おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はメガネのお話です。物が見えにくくなると使い始めるのがメガネ。メガネをかけると、よく見えるのはなぜでしょうか。物を見る仕組みとメガネのはたらきを探ってみましょう。
メガネをかけると、なぜ見えやすくなるの?
目はレンズでできている!?
お父さんがメガネを新しくしたんだ。「前よりよく見えるようになった」って喜んでたよ。 | ||
はかせもメガネをかけてるよね。どうしてメガネをかけると見えやすくなるの? | ||
簡単に言うと、目そのものがメガネのレンズのようなものだからかな。目のはたらきが悪くなったところを、メガネというもう一つのレンズで補っているんだ。 | ||
どういうこと? | ||
目で物が見える仕組みを考えてみよう。暗いところ、つまり光がないところでは何も見えないよね。物が見えるのは、物に当たって反射した光を目でとらえるからなんだ。図を見てごらん。「角膜」と「水晶体」の部分が、レンズのはたらきをするところだよ。 | ||
虫メガネのレンズみたいな形をしてるわね。 | ||
光がレンズを通ると、進む向きが変わるよね。水晶体も同じだよ。物に当たって反射した光は、角膜という薄い透明な膜から目に入って、水晶体を通るときに曲がって目の奥に達する。そこにある「網膜」に物の画像が映るよ。その情報が脳に伝わって、物が見えるんだ。 | ||
へえー、目の中で画像を映しているんだ。 | ||
光が一点に集まる場所を「焦点」というよ。それがちょうど網膜の上にできると、はっきりした画像が映し出されるんだよ。レンズを通るとき、遠くの物からの光と、近くの物からの光とでは、集まる位置が違うんだ。必ずしも網膜上に焦点ができるわけではないよ。そこで目は、遠くの物を見るときと、近くの物を見るときとで、水晶体の厚さを自動的に変えている。そうすることで、網膜の上に焦点ができるようにしているんだよ。 | ||
目がそうなるよう調節しているのね。 | ||
たとえば、教室の後ろのほうから黒板の字を見るとき、自分の手など近くにある物は目には入るけど、ぼんやりとしか見えないよね。逆に近くを見ようとすると、黒板の字はぼんやり目に入るだけ。見たい物がきちんと見えるように、目が調節しているからだよ。カメラでピントを合わせるようなものだね。 | ||
水晶体の厚さで、ピントを合わせるんだね。 | ||
水晶体はガラスのレンズと違って弾力があるからね。筋肉のはたらきで、遠くの物を見るときは薄く、近くの物を見るときは厚くして、ピントを合わせることができるんだ。 | ||
そんなことができるなんて、目ってすごいね。 |
見えにくいのはピントがずれるから
目が悪くなるとどうなるの? | ||
近くは見えるのに遠くは見えにくいのが「近視」の状態だね。図を見るとわかるように、近視の人は遠くを見るときに、光の集まる焦点が網膜より手前になるんだ。そうなるのは、水晶体が光を曲げる力が強すぎるか、角膜から網膜までの長さが長すぎるためだよ。 | ||
それを修正するのが、メガネのレンズなのね。 | ||
近視の人が使うメガネは凹レンズ。真ん中が薄くて周りが厚くなっているレンズだよ。凹レンズは遠くから来る光を広げて、焦点の位置を後ろにずらしてくれる。自分に合ったレンズを使えば、網膜にうまく像ができて、はっきり見えるようになるんだ。逆に、焦点が網膜より後ろになる「遠視」の人は、真ん中が厚い凸レンズのメガネを使うよ。 | ||
凸レンズは虫メガネと同じだね。 | ||
虫メガネを使って、太陽の光を集めて黒い紙を燃やせるのは知っているよね。凸レンズは凹レンズとは逆で、光を集める性質があるんだ。ひかるくんのお父さんが近視なら、メガネを見せてもらって、見え方がどう違うか、虫メガネと比べてみるといいよ。ほかに距離とは関係なく、物を見るときに焦点が1か所に集まらない「乱視」、水晶体の厚さを調節する力が衰えることによって起こる「老視」があって、それぞれに適したレンズがあるよ。 | ||
メガネをかけると余計に目が悪くなるって聞いたことがあるけど、そんなことあるの? | ||
合っていない度数のメガネを使い続けると、目に負担がかかって、視力が低下する場合があるよ。視力が落ちたのにメガネを使わず、見えにくいまま過ごすのも同じだね。メガネをかけるのは、目の負担を軽くして視力低下を防ぐためでもあるんだ。自分に合ったメガネを正しく使うことが大切だよ。 |
●目で物が見える仕組み
保護者の方へ
近視には、角膜や水晶体が光を屈折する力が強すぎるために起こる「屈折性近視」と、角膜から網膜までが長い「軸性近視」があります。多くの場合は軸性近視で、眼球が前後に伸び、網膜にできるはずの焦点が前にずれて、遠くの物が見えにくくなります。赤ちゃんは角膜と網膜が近い、遠視の状態で生まれてきます。成長とともに眼球が大きくなって前後に伸び、近くの物も遠くの物も網膜上に焦点が結べるようになります。ただ、子どもは目のつくりも機能も成長途中なので、近くで物を見る癖があったり、目を使い過ぎたりすると、眼球が前後に伸びて近視が進みやすくなるため、注意が必要です。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎