おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は電気自動車のお話です。二酸化炭素を出さない車として普及が進んでいる電気自動車は、どのような仕組みで動くのでしょうか。ガソリンで動く自動車とはどう違うのでしょうか。
電気自動車はどんな仕組みで動くの?
ガソリンを使わないから排気ガスはゼロ
さっき信号待ちをしていたら、目の前を電気自動車がすーっと通っていったよ。 | ||
電気自動車かどうか、見てすぐわかるの? | ||
近くにいた人が「走る音が静かだし、マフラーがないから電気自動車だ」って言っていたよ。本当に静かで、すぐそばに来るまで気づかなかった。 | ||
静かなのはわかるけど、「マフラー」って何? | ||
車の後ろ、下のほうについている筒のようなものだよ。時々、煙が出るからすぐにわかると思うよ。その煙が排気ガス。電気自動車はガソリンを使わないから排気ガスが出ない。だからマフラーも必要ないんだ。 | ||
電気自動車はどうやって動いているの? | ||
車を動かすにはエネルギーが必要になるよね。ガソリン車の場合、エネルギーのガソリンを燃やして、そこで発生する力を、タイヤを回して車を動かす力に変えるんだ。そのための装置がエンジンだよ。電気自動車の場合は、電気がエネルギー。車を動かす力に変えるのがモーターだよ。電気をバッテリーに蓄えておいて、そこから電流を流してモーターを回転させて、自動車を動かすんだ。 | ||
電気はバッテリーに充電しておかなければならないんだよね。 | ||
そうだよ。1回の充電で走れる距離はガソリン車ほど長くないけど、コンビニやスーパーなどの商業施設、高速道路のサービスエリアなどに充電スタンドがあるから、そこで充電するんだ。最近はコンセントを自宅に設置して、夜間に充電している人もいるよ。 | ||
電気自動車が静かなのはどうして? | ||
エンジンがないからだよ。ガソリン車は、エンジン内でガソリンを燃やして、小さな爆発を繰り返し起こしてタイヤを回転させている。だから、音や振動が発生するんだ。それに対して、電気自動車は電気でモーターを回すので、何かを燃やしたり、爆発させたりするわけではないから静かなんだ。 | ||
ガソリン車から排気ガスが出るのも、ガソリンを燃やしているからなのね。 | ||
そう。排気ガスの成分は二酸化炭素が多いけれど、ほかに人体にも環境にも有害なガスが含まれている。車内にためておけないから、外に出さざるを得ないんだ。 |
次世代自動車には水素で動く車も!?
電気自動車が注目されているのは、二酸化炭素を出さないし、騒音も少ないからなのね。 | ||
それに、台風や地震で停電したときは、バッテリーに蓄えた電気を非常用電源として使えて便利だって聞いたことがあるよ。 | ||
でも、いいことばかりではないよ。ガソリンは5分もあれば給油できるけど、電気自動車は充電に時間がかかるし、さっきも言ったように、長距離を走ることができないんだ。そういう欠点を補おうと開発されたのが、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を備えたハイブリッド車だよ。発進の際は、バッテリーに蓄えた電気でモーターを回し、走り出して、一定の速度になると、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を使い分けるんだ。 | ||
ガソリンを使うなら、排気ガスが出るよね。 | ||
そうだね。そもそも電気自動車にしても、使う電気は発電所でつくられていて、日本は、たくさんの二酸化炭素を排出する火力発電所でつくる電気の割合が全体の7割を超えている。だから、完全に二酸化炭素を出さないとはいえないんだ。それでも、より少ない電気で走れるようにしたり、太陽光などの再生可能エネルギーを利用したり、自然環境への影響を減らしていくことはできるよね。 | ||
ほかに新しいタイプの自動車はないの? | ||
期待されているのは、水素をエネルギー源とする自動車。二つのタイプがあって、水素と酸素の化学反応で発電してモーターを動かすのが「燃料電池車」。ガソリンの代わりに水素をエンジンで燃やして動力を得るのが「水素自動車」だよ。どちらも二酸化炭素はほとんど出さないし、使う水素は再生可能エネルギーを利用して作ることもできるんだ。 | ||
いろいろな自動車が研究されているのね。 | ||
それぞれ特徴が違うから、将来は乗用車向け、長距離輸送車向けなど、用途に応じて使い分けることも考えられるよね。 |
●電気自動車とガソリン車の仕組み
保護者の方へ
意外にも電気自動車の歴史は古く、ガソリン車より早く開発・発売されています。1900年ごろのアメリカでは、電気自動車が主流の時期もありました。その後、ガソリン車の技術向上などで衰退しますが、石油価格の高騰や大気汚染の深刻化が叫ばれるたびに、電気自動車への期待が高まってきました。そして今、時代は「脱炭素社会」に向かって動き、世界各国でそのための法整備や技術開発が進められています。日本でも2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」をめざすことを宣言。乗用車については、2035年までに、新車販売で「電動車100%」の実現をめざしています。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎