おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はサッカーのお話です。子どもから大人まで世界中の人に愛されているスポーツ、サッカー。どこで生まれ、どのように発展してきたのでしょうか。
サッカーはどこの国で生まれたの?
起源はイギリス? イタリア? 中国?
今度、お父さんとJリーグの試合を見に行くんだ。 | ||
楽しみだね。そういえばJリーグは今年で30周年を迎えたんだよね。 | ||
ふーん。じゃあ、それ以前は、日本にはサッカー選手っていなかったの? | ||
そんなことはないよ。Jリーグは日本のプロサッカーリーグだね。Jリーグが誕生する前は、社会人の選手たちが、いろいろな企業のクラブチームに所属して試合をしていたんだ。 | ||
日本ではいつごろからサッカーをやるようになったの? | ||
いろいろな説があるけど、日本人が初めてサッカーをやったのは今からちょうど150年前の1873年といわれている。来日したイギリス海軍の顧問団が、海軍の学校で学生にサッカーを教えたという記録が残っているよ。 | ||
じゃあ、サッカーはイギリスで生まれたの? | ||
そこが難しいところ。実はサッカーの起源にもいろいろな説があるんだ。確かにイギリス発祥の競技だというのは有力な説。イギリスは四つの国からなる連合国家で、そのうちの一つ、イングランドで8世紀ごろに生まれたといわれているよ。そのころのイングランドには、戦争に勝利すると、相手の将軍の首を切り取って、それを蹴って勝利を祝う習慣があって、首の代わりにボールを蹴ることが遊びや祭りに発展したというんだ。 | ||
切り取った首を蹴っていたのが起源だなんて、ちょっと怖いな。 | ||
同じころ、イタリアには、貴族のお金をかけた遊びとして、宮廷の門の前でボールを蹴り合う「カルチョ」という遊びがあって、それがサッカーの起源だと言う人もいる。ちなみに、イタリアではサッカーのことを「カルチョ」というよ。もう一つ有力なのが、中国発祥説。 | ||
中国ってサッカーのイメージはないよね。 | ||
実は、中国説の起源は古く、紀元前1世紀に書かれた書物に「蹴鞠」という遊びのことが書かれている。1チーム12人で、「球門」というゴールにボールを蹴って入れた回数で勝敗を競ったそうだ。日本でも、平安時代に貴族の間で、同じ漢字を使った「蹴鞠」という遊びが流行したけど、その原型ともいわれているよ。 | ||
1チーム12人なんて、11人で戦う現在のサッカーと似ているね。そんな遊びが2000年以上も前に中国にあったなんて、びっくり! |
統一ルールができて世界のスポーツに
でも、ボールを蹴る遊びなんて世界中のどこにでもあるから、どれをサッカーの起源としてもおかしくないと思うよ。実際、古代エジプトや古代ギリシャ、古代ローマの遺跡からも、人がボールのようなものを足で蹴っている場面を描いた壁画が見つかっているよ。 | ||
確かに。丸くて、転がるものがあれば、誰だって蹴りたくなるよね。 | ||
ただ、競技としてのサッカーを確立させたのは間違いなくイングランドだよ。近代的なサッカーが世界に広がったのは、19世紀にイングランドでルールが整備されたからなんだ。それまでは細かなルールもないまま楽しんでいて、乱闘なども起きて禁止された時代もあった。でも、19世紀にパブリックスクール(伝統的な私立の中等学校)でサッカーが教育に取り入れられるようになってから、フェアで安全に楽しめるスポーツとしてルールが決められるようになったんだ。 | ||
ルールがないと、ほかの学校と試合をすることもできないものね。 | ||
そうなんだ。1863年には世界初のサッカー協会「フットボール・アソシエーション」がイングランドで結成されて、細かな競技規則が定められ、外国とも試合ができるようになっていったよ。実はこのときまで、ゴールキーパー以外の選手が手を使ってはいけないことも、正式なルールになっていなかったんだよ。 | ||
へえー。そんなことも決まっていなかったんだ。 | ||
産業が急速に発展して、陸上・海上の交通網が発達した時代だったから、競技としてのサッカーは、船乗りや商人たちによって、イギリスから世界中に広まっていったんだよ。 | ||
サッカーは楽しいから、みんなすぐ夢中になったんだろうね。 | ||
特別な道具がなくても、ボールさえあればできるからね。そういうシンプルなところも世界中に広まった理由だろうね。 |
●日本のサッカーの歴史
保護者の方へ
現在、国際サッカー連盟(FIFA)に加盟する国・地域は211。この数は国際連合加盟国数より多く、国際オリンピック委員会の加盟国・地域数をも上回ります。世界で最も盛んなスポーツといわれるのも納得できます。それだけにサッカーの起源については、本文で挙げたもの以外にもいくつもの説があります。そのことで大問題になったのが2014年。諸説あるなかでFIFAが中国起源説を認定したため、イングランドの関係者が激怒したのです。しかし、FIFAがどの説を認めたとしても同じ問題は起きたでしょう。それだけどの国もサッカーを愛し、サッカーを続けてきた歴史に誇りを持っている証拠だといえるかもしれません。
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