おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はクレーンのお話です。高層ビルの建設現場で、屋上などにタワークレーンがあるのを見かけることがあります。あんなに大きくて重そうな機械を、どのように高い所まで上げているのでしょうか。
高層ビルのクレーンはどうやって高い所に上げるの?
クレーンは自分で上がっていく!?
今、駅の近くでビルを建てているよね。どうやってあんな大きな建物を建てるんだろう。 | ||
建設中のビルの上にクレーンが乗っていることがあるけど、あれも不思議だよ。どうやって高い所に上げたんだろう。 | ||
建設中だからエレベーターもないし。あっても大き過ぎて入らないだろうけど。 | ||
高い建物のクレーンは、機械などを使って上げるのではなく、自分で上がっていくんだ。 | ||
えっ!? 自分で上がれるの? | ||
クレーンは建設資材を運ぶのに欠かせない機械だよね。アーム(腕)の先にあるフックに物を引っ掛けてつり上げたり、移動させたり、降ろしたりできる。低いビルを建てるなら地上に置いたクレーンを使えばいいけど、高層ビルではそうはいかないから、タワークレーンという特別なクレーンを使うんだ。タワークレーンはビルが高くなっていくのに合わせて、自分も高い位置に移動していくんだよ。 | ||
どうやって移動するの? | ||
タワークレーンを建物の内部に設置するか、外部に設置するかで方法は違うよ。タワークレーンを支える柱を「マスト(支柱)」という。建物の内部にタワークレーンを設置する場合は、クレーン本体の内部にマストが通っていて、クレーンみずからがマストを引き上げて上の階に固定して、その支柱を自分が昇る、という作業を繰り返して上がっていくんだ。 | ||
どういうこと? | ||
まず建物内部のどこにクレーンを設置するかを決めて、その周りの部分を建てていく。ある程度の高さまで建てたら、その高さまでクレーン本体をマストに沿って上げて、より上の階の床に固定するんだ。次にマストも引き上げて、より高い位置に固定する。さらに上の階の床ができてきたら、またクレーン本体をマストに沿って上げてその床に固定する。そしてまたマストを引き上げる。これを繰り返して上がっていくんだ。 | ||
上のほうができたら、そのできた部分につかまって上がっていくってことか。マストは地上からつながっているわけではないんだね。 | ||
大ざっぱに言えばそういうことだね。この方法を「フロアクライミング方式」というよ。「クライミング」は「登ること」という意味だけど、ここではクレーン本体がマストを昇ることをいうよ。タワークレーンは自分で昇っていけるので、「クライミングクレーン」ともいうんだ。 |
降ろすときは解体用クレーンが活躍
ぼく、ビルの外側に鉄骨みたいなものが高く伸びていて、その上にクレーンが乗っている写真を見たことがあるよ。 | |||
それはビルの外側にタワークレーンを設置する場合で、「マストクライミング方式」という方法だよ。マストは建物の側面に沿うように地上から積み上げていく。下からマストの部材をつり上げて、上にマストを継ぎ足していくんだけど、クレーンもそれと一緒に昇っていくんだ。マストは高くなると不安定になるから、途中で建物の壁とつないで補強するんだよ。 | |||
ビルが完成して、タワークレーンを降ろすときはどうするの? | |||
マストクライミング方式の場合は、昇ったときとは逆の順番で、クレーン本体を一段降ろしたらマストの部材を一つ外すという作業を繰り返して、地上近くまで降りていくんだ。フロアクライミング方式はもう少し複雑だよ。タワークレーンの下には完成したビルがあるから、そのまま降りていくことはできないよね。そこで登場するのが解体用のクレーン。タワークレーンで部品をつり上げて、もう少し小さい中型のクレーンを隣に組み立てるんだ。 | |||
ビルが完成して、タワークレーンを降ろすときはどうするの? | |||
マストクライミング方式の場合は、昇ったときとは逆の順番で、クレーン本体を一段降ろしたらマストの部材を一つ外すという作業を繰り返して、地上近くまで降りていくんだ。フロアクライミング方式はもう少し複雑だよ。タワークレーンの下には完成したビルがあるから、そのまま降りていくことはできないよね。そこで登場するのが解体用のクレーン。タワークレーンで部品をつり上げて、もう少し小さい中型のクレーンを隣に組み立てるんだ。 | |||
建物が完成したのに新しいクレーンを造るの? | |||
この中型クレーンを使ってタワークレーンを解体して、部品を下に降ろすんだよ。終わったら今度は、中型クレーンを解体するために、もう少し小さいクレーンを組み立て、同じように解体して部品を下に降ろす。そんな具合に部品をだんだん小さくしていって、最後の部品はエレベーターに乗せて地上に降ろすんだよ。 | |||
解体用のクレーンをその場で組み立てて使うなんてすごいね。 | |||
タワークレーンは作業が終わったら解体して、また次の建設現場で組み立てて使う。そこが移動式のクレーンと違うところだよ。山の上に鉄塔を建てるときや、ダムの建設などでも、それに適したタワークレーンが使われているよ。 |
●タワークレーンはこうやって上がっていく!
保護者の方へ
ビルやマンションの工事現場を見ると、「どうやってこんな大きな建物を建てるんだろう」と思いませんか。大きな建物の建設は、調査・設計から始まり、杭の設置などの基礎固め、柱・梁・床などの骨組みになる躯体づくりと進み、骨組みができた下の階から内装工事・設備工事などが行われます。設計から完成まで非常に多くの工程があり、そのすべてでさまざまな技術が使われています。タワークレーンの設置・解体もその一つです。橋を架けることも、トンネルを掘ることも、ダムを造ることも技術の結晶です。そんな目で身の回りを見てみると、興味の入り口になるたくさんの不思議が発見できるのではないでしょうか。
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