おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は気象のお話です。雪に似ている「みぞれ」、夏にも降ることがある「あられ」や「ひょう」などは、雨や雪とどう違うのでしょうか。
みぞれ・あられ・ひょうの違いは?
「あられ」と「ひょう」は同じもの?
うう~!今日は寒いねえ! | |||
外は雨だけど、雪がまじっているようにも見えるなあ。 | |||
それは「みぞれ」だね。雨に雪がまじって降るような天気を「みぞれ」というんだ。「みぞれ」は、雪になるには少し気温が高いときや、雨から雪に変わるとき、逆に雪から雨に変わるときに降りやすいよ。夕方から雪になるかもしれないね。 | |||
「みぞれ」は雨と雪の中間みたいなものね。 | |||
雨や雪は、大気の中にある水蒸気が冷やされて、水や氷になって降ってくるもの。「みぞれ」以外に「あられ」「ひょう」といったものもあるよ。 | |||
「みぞれ」は雪に近いことがわかったけど、「あられ」や「ひょう」は雪とどう違うの? | |||
まず、雪が降るしくみから考えてみよう。雪とは、雲の中の水蒸気からできた水滴が凍り、空気を含んだ氷の結晶になって地上まで落ちてくるものをいう。そのとき、地上付近の気温が高いと、その一部が地上に達するまでに溶けてしまうんだ。これが「みぞれ」だよ。 | |||
「みぞれ」はもともと雪なんだね。 | |||
でも、「あられ」と「ひょう」は雪とは違うよ。この二つは、「かみなり雲」「入道雲」とも呼ばれる積乱雲の中でつくられるんだ。積乱雲の中でできた水滴が0℃以下に冷やされると氷の粒ができるけど、なかには温度が低くなっても凍らずにいるものもある。それがほかの氷の粒にぶつかると、くっついて大きな氷の粒となり、「あられ」や「ひょう」に成長するんだ。 | |||
どうして0℃以下になっても凍らないの? | |||
水をゆっくり冷やすと、0℃以下になっても凍らない場合がある。これを「過冷却」というよ。過冷却の状態の水滴は、積乱雲の強い気流の中で、氷の粒と衝突を繰り返す。最初は小さな粒だったのがだんだん大きな粒になって、浮いていられなくなると地上に落ちてくるんだ。「あられ」も「ひょう」もでき方は同じで、氷の粒の直径が5mm未満のものを「あられ」、5mm以上のものを「ひょう」というよ。 | |||
違いは大きさだけなのね。 | |||
そうだよ。「あられ」も「ひょう」も、上空と地上の気温の差が大きくなって大気の状態が不安定になり、積乱雲が発達して、雷が鳴るようなときに降ることが多い。積乱雲は、夏に発達するよね。だから、「あられ」や「ひょう」も、冬よりも春から秋にかけて降る地域が多いんだ。 |
かぼちゃサイズの「ひょう」が降った!?
「ひょう」が降っているところを、テレビのニュースで見たことがあるよ。自動車の屋根に次々と当たって、ゴンゴンとすごい音がしていた。怖かったな。 | |||
粒が大きいほど落ちるスピードが速く、直径5cmだと、秒速約32m、時速にして115kmくらいになるから、とても危険だ。埼玉県では、1917年6月に、直径29.5cm、重さ約3.4kgの巨大な「ひょう」が降ったという記録があるよ。かぼちゃぐらいの大きさだったそうだ。 | |||
えっ!そんなものが空から猛スピードで落ちてくるなんて、考えるだけでも怖いよ。 | |||
最近でも、2022年6月、関東地方の広い範囲で「ひょう」が降って、農作物や農業施設に大きな被害が出たよ。窓ガラスが割れてけがをした人もいたんだ。 | |||
天気予報で「今日はひょうが降ります」っていう警報は出ないの? | |||
「みぞれ」については、天気予報で「雨または雪」「雪または雨」と言うことがあるから、こういう言い方がされたときは、「みぞれが降るかも」と思っていい。だけど、「ひょう」についてはとても予測が難しく、せいぜい「大気の状態が不安定になるので、雷雨、ひょうなどに注意が必要です」と言えるくらいかな。 | |||
「ひょう」は怖いから、これからは、注意して予報を聞くようにしよう。 | |||
ちなみに、予報は難しいけど、実は「みぞれ」「あられ」「ひょう」を表す天気記号はちゃんとあるんだ。知っているかな? | |||
晴れ、曇り、雨の記号は知っているけど、「みぞれ」や「ひょう」は知らないなあ。 | |||
天気記号には国際式と日本式とがあって、日本式記号では21種類の記号で天気を表している。そのなかには、「みぞれ」「ひょう」のほか、雷、にわか雨、霧などもあるんだ。ちょうどいい機会だから確認してごらん。 |
●「あられ」「ひょう」はものすごい速さで降ってくる!
保護者の方へ
気象庁では、2019年以降に、全国の地方気象台で人が目で見て観測するのをやめ、機械による自動判別への切り替えを進めています。切り替えが終了した気象台では、それまで空を見て観測していた「霙」は機械で観測するようになりました。また、人の目による「霰」や「雹」の観測も行われなくなりました。ただ、機械では降ってくる粒の大きさを判別するのが難しいため、「霰」や「雹」は「雨」に区分されます。これに伴い、「霰」「雹」という天気が実際に記録されることは減りつつあります。とはいえ、どちらも俳句の季語にもなっており、わたしたちにはなじみ深いことばです。意味の違いは知っておくとよいでしょう。
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