おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はお金(貨幣)のお話です。毎日の生活で使うお金ですが、どこで造られているのでしょうか。そして、どのように世の中に出回っていくのでしょうか。
お金はどこで造っているの?
紙もインキも印刷も「特別製」
手伝いをしたらお小遣いをもらったよ!きれいな千円札で、しわがまったくないんだ。 | |||
造られたばかりのお札かもね。 | |||
それってどこで手に入るの? | |||
銀行や郵便局のATM(現金自動預け払い機)でお金を下ろすと、きれいな新札で出てくることがあるよ。窓口でお願いすれば、古いお札を新しいお札と交換もできるんだ。 | |||
へえ。でも、お金ってどこで造られているの?銀行や郵便局で造っているの? | |||
ははは。そんなことはないよ。お金には、千円札や1万円札のような「紙幣」と、10円玉や100円玉のような「硬貨」とがあるよね。紙幣は「国立印刷局」で、硬貨は「造幣局」という国の専門機関(独立行政法人)で造られているんだ。お札を見ると、小さく「国立印刷局製造」と書かれているのがわかるよ。 | |||
どれどれ…、あっ、本当だ。お札の下の真ん中に小さく書かれているよ。 | |||
お札は紙だけど、特別な紙を使っているよ。インキも特製なんだ。この『さぴあ』もそうだけど、印刷物は普通、製紙会社が造った紙と、インキの会社が造ったインキを使って、印刷会社が印刷するよね。でもお札の場合は、紙もインキも国立印刷局がゼロから造り、印刷にも特殊な方法を用いているんだ。 | |||
どうしてそこまで手間を掛けるの? | |||
偽造を防ぐためだよ。 | |||
偽造ってニセ札を造るってことだよね。 | |||
そうだよ。お札の角度を変えてみると、文字が浮かび上がったり、色や模様が変化したりするのがわかるよね。お札の中央の丸い部分には、福沢諭吉(1万円札)や野口英世(千円札)の顔が「透かし」として入っているよ。お札には、こうした普通の印刷機ではまねできない、精巧な技術が使われているんだ。ほかにも、目の不自由な人が区別しやすいように、お札の表面の左右下に「識別マーク」を付けて、触るだけでそれがいくらのお札かわかるようになっているんだよ。 | |||
お札は技術の結晶なのね。 | |||
すごいよね。日本の紙幣の印刷技術は世界でもトップレベルといわれているんだよ。 |
お金を造っても豊かになれない!?
ところで、日本全体でどのくらいのお金が出回っていると思う? | |||
1兆円とか?想像もつかないよ。 | |||
日本銀行の発表によると、昨年の大みそかの時点で、一般家庭などにあったお札は、合計で122兆円だそうだよ。4年前の2017年には約107兆円だったから、とても増えたね。 | |||
その分、わたしたちは豊かになったの? | |||
お札そのものはただの紙だから、たくさん造っても国が豊かになるわけではないよ。むしろ造りすぎると、お金の価値が下がってしまって、物の値段が上がり、大変なことになるんだ。 | |||
どんどんお金を造ってはだめなんだね。 | |||
造幣局で造られた硬貨は政府が発行しているのに対して、国立印刷局で造られた紙幣は日本銀行が発行しているよ。「発行」とは、世の中に出すこと。造られたお金は発行されて、初めてお金として使うことができるんだ。 | |||
その日本銀行って普通の銀行とは違うの? | |||
日本銀行は、個人や普通の会社にはお金を貸さない。政府や銀行にだけお金を貸す特別な銀行なんだ。税金や公共事業に使うお金など、国が扱うお金の管理もしているよ。 | |||
お金をどれだけ発行するかを決めているのも日本銀行なの? | |||
そうなんだ。国がお金を造りすぎることのないように、政府からはある程度独立しているんだよ。お金がたくさん必要なのは、個人も会社もお金を使わなくなって、世の中のお金の流れが滞っているとき。だからこの10年間、日本銀行はお金をたくさん造って、出回るお金の量を増やそうとしてきたんだ。でも、それが行き過ぎると、日本のお金である「円」の価値が下がってしまうから、発行量を調節しているんだ。みんなには難しい話かな。 | |||
お金をたくさん造るだけでは豊かになれないことはわかったよ。厳しい決まりの下で扱われているんだね。 | |||
たくさんの人の生活がかかっているからね。 |
●お札の秘密を探ろう!
保護者の方へ
2019年4月、政府は2024年度の上半期をめどに、千円札、5千円札、1万円札の新札を発行すると発表しました。前回、新札が発行されたのは2004年、前々回は1984年だったので、20年ごとに新札が発行されていることになります。なぜこのように、定期的にデザインを変更していく必要があるのでしょうか。財務省の説明によれば、お札のデザインを変更するのは「偽造防止対策の強化」のためだといいます。今度の新札にも最新の技術が使われ、角度を変えると立体画像が回転して見えるなど、たくさんの工夫が施されるそうです。新しい紙幣が発行され、手に取ることができたら、ぜひお子さんと一緒に観察してみてください。
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