おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は睡眠のお話です。ほとんどの人は夜になると眠り、朝になると起きますが、そもそもなぜ人は眠るのか、考えたことはありますか。睡眠は何のためにあるのでしょうか。
なぜ人は眠らなければならないの?
眠りは脳を休めるためにある
昨日、本を読んでいたら寝るのが遅くなって、お母さんに叱られちゃった。 | |||
あるよね、そういうこと。わたしもたまに怒られるよ。でも、どうして早く寝ないといけないのかなあ。 | |||
確かに。1日8時間寝るとすれば、1日の3分の1は「何もしていない」ってことだよね。その間、起きていれば、もっといろいろなことができるのに。 | |||
1日の約3分の1の時間を睡眠に充てているのは、それだけ睡眠が大事だからだよ。 | |||
眠るとどんな良いことがあるの? | |||
まずは、眠っている間に、わたしたちの体の中で何が起こっているか説明しよう。眠りには、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類がある。レム睡眠は、体は眠っているのに、脳は起きている浅い睡眠のこと。夢は、このレム睡眠中に見ることがほとんどだよ。一方、ノンレム睡眠は、体も脳も活動を低下させている深い眠りのこと。人間は一晩のうちに、このレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すことで、起きている間にたまった、体と脳の疲れを取るんだ。でも、体を休めたいだけなら、横になって動かなければいいよね。だから、睡眠は特に脳の疲れを回復させるために必要だといわれているよ。 | |||
夢を見ているとき、脳がはたらいている感じがするのは、レム睡眠だからなんだね。 | |||
夢って、目が覚める直前に見ることが多い気がしない?よく、朝起きてすぐ「今、夢を見てた」って思うもの。 | |||
それは、朝のほうがレム睡眠が多いからかもしれないね。眠り始めは、深いノンレム睡眠のほうが多い傾向にある。ノンレム睡眠は、眠りの深さによって段階があって、眠り始めてしばらくすると、比較的浅い眠りのノンレム睡眠が増え、朝方になるともっと浅いレム睡眠が多くなる。それは、浅い眠りから自然に目覚められるように、体が準備をしているからなんだ。 |
「体内時計」が眠りをコントロール
わたしは夜になると自然に眠くなって、朝になるとぱっと起きる。これって、体がそうなるようにつくられているからなの? | |||
人間の体には「体内時計」というものが備わっていて、脳の指令で、日中は活動し、夜は休むようにコントロールされているんだ。たとえば体温だって、昼間は活動できるように高めになり、夜は休めるように低くなるよ。また人間の体は、いろいろな場所で、体のはたらきを調節する「ホルモン」という物質がつくられていて、眠りを促すホルモンもある。これを「メラトニン」といって、メラトニンが夜に脳の指令でつくられることによって、人は眠気を感じるんだ。一方、朝になると、今度は目覚めを促す「セロトニン」というホルモンがつくられ、目が覚める。そうやっていろいろな機能がはたらいて、しっかり睡眠がとれるようになっているんだ。 | |||
夜は自然に眠くなって、朝は自然に目が覚める。そういう仕組みができているんだね。 | |||
眠りを促すメラトニンは、光によって、つくられる量が調整されているよ。朝になって太陽の光を浴びると、メラトニンのつくられる量は減り、夜になると増える。ただし、夜になっても電気をつけて起きていると、脳がまだ昼だと勘違いして、メラトニンの量が増えず、眠りのリズムを乱してしまうといわれているよ。寝る前にテレビやスマホの画面を見ていると、眠れなくなるとよくいわれるのも、こういう理由があるからなんだ。 | |||
やっぱり、夜はテレビをだらだら見ないで、さっさと寝るほうがいいってことか。 | |||
何時に寝て、何時に起きるのがいいかは、人によって違う。大事なのは、体内時計に合った規則正しい生活を送ることだよ。ただ、「成長ホルモン」という、骨や筋肉の成長にかかわるホルモンがあるんだけど、これは寝ている間に活発につくられるから、子どもは十分な睡眠をとらないと、心身の成長に影響が出るといわれているよ。 | |||
しっかりと睡眠をとるのは、とても大事なことなのね。 | |||
そうだよ。毎日ぐっすり眠れるよう、規則正しい生活を送ろうね。 |
●人は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返す
保護者の方へ
人はなぜ眠るのか。実は、詳しいことはまだ解明されていません。これまでは、睡眠によって脳全体の機能が低下すると考えられていましたが、最近では、睡眠は脳幹下部の神経細胞によって起こる「神経活動」であると考えられるようになりました。睡眠の研究は、まだまだ発展途上なのです。ただ、睡眠が脳の疲労回復に役立っているのは間違いありません。また、睡眠は記憶の整理のために必要だともいわれています。見たことや学習したことを整理して脳に定着させられるのも、睡眠効果の一つ。そう考えると、眠いのを我慢して遅くまで勉強しても効果が薄いのは、科学的に根拠があることだといえます。睡眠の役割や、睡眠不足のデメリットをきちんと理解し、質の良い睡眠をとることを心がけたいものです。
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