おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は爪のお話です。気がつけばいつの間にか伸びているのは、どうしてなのでしょうか。また、爪は何でできていて、何のためにあるのでしょうか。
爪はどうして伸びるの?
爪は皮膚が変化したもの
わたし、今朝、足の爪を切っていたら、親指の爪を少し深く切り過ぎちゃった。押すとちょっと痛い。 | ||
深爪には気を付けないとね。切るときは明るいところで切ろうね。 | ||
でも、爪って、切っても切っても、伸びてくるよね。どうしてなのかな。 | ||
良い質問だね。そもそも、爪は何でできていると思う? | ||
結構硬いし、骨の仲間じゃないの? だったら、カルシウムでできているんじゃないのかな。 | ||
確かに、硬いから、骨や歯の一種のように思うかもしれないけど、実は、動物の体の最も外側を覆っている「表皮」が変化したものなんだ。カルシウムではなく、タンパク質の一種の「ケラチン(角質)」という成分からできているんだよ。ちなみに髪の毛も、爪と同じケラチンでできているんだ。 | ||
爪は皮膚みたいなものなんだ。知らなかった。 | ||
だから、爪も皮膚と同じように、新陳代謝といって、古い細胞は死んで、新しい細胞にどんどん置き換わっていくんだよ。だからこそ爪は伸びるんだ。皮膚の場合は、表皮の奥のほうで新しい皮膚がつくられて、それが上に押し上げられていき、古い表皮は、あかとなって剥がれ落ちていく。爪も同じで、爪の根元にある「爪母」という細胞が分裂して、それが積み重なって、上にある古い細胞を押し上げて伸びるんだ。爪は先のほうが伸びているように見えるけど、実際は、爪の根元の皮膚の下で新しい爪ができているというわけだね。 | ||
じゃあ、爪は先のほうほど古いんだ。 | ||
そのとおり。髪の毛も同じだよね。先端が伸びているわけではなく、頭皮の下でできた細胞に押されて伸びていくんだ。 | ||
なるほど。ところで、爪って1日にどのくらい伸びるの? | ||
人によって違うけど、成人は1日に0.1mmぐらい伸びるといわれているよ。1か月で約3mm伸びる計算だね。 | ||
1か月も爪を切らないでいたら、指先から爪が少しはみ出しちゃうよね。指を使って何かをするとき、爪が当たって不便だよ。 | ||
ちなみに、足の爪は手の爪より厚いから、その分伸びるのが遅く、手の爪の2倍ぐらいの時間がかかるよ。 | ||
伸びるスピードは、年齢によって違いはあるの? 家では、わたしばかりが爪を切っているような気がするけど。 | ||
爪が伸びるのは新陳代謝だから、年齢や季節によって伸びるスピードは違うよ。新陳代謝が盛んな若い人は、お年寄りに比べて速く伸びる。また冬よりも夏のほうが新陳代謝も活発になるので、伸びが速いといわれるよ。それから、よく使う指ほど伸びが速く、あまり使わない小指は伸びるのがいちばん遅いそうだよ。 | ||
爪の伸び方にもいろいろな違いがあるんだね。 |
もし爪がなかったら?
でも、爪を切るのは面倒くさいなあ。深爪してしまうと痛いし。いっそのこと、なくてもいいんじゃないの? | ||
とんでもない! 爪がなければとても困るよ。指先をけがから守ってくれているし、ばい菌が侵入するのも防いでくれるんだ。手の場合は、物をつかみやすくする役割もあるよ。指先を触ってごらん。爪があるからしっかりしているけど、なかったらどうだい? | ||
柔らかすぎて、頼りないかもしれないね。 | ||
そう。指の骨は爪の途中までしかないから、爪がないと指先に力を入れられなくなり、物をうまくつかめなくなる。箸も鉛筆もしっかり握れないと思うよ。また、爪があるからこそ、指先の感覚が鋭くなり、細かい手作業もできるんだ。 | ||
手の指はそうかもしれないけど、足の爪にはどんな役割があるの? | ||
足の爪は、体を支えたり、歩いたり、走ったりするときに重要な働きをしているよ。歩くときも走るときも、つま先で地面を蹴って前に進むよね。ところが爪がないと、力を入れて踏み込めないんだ。 | ||
確かに、爪がないと、ボールも強く蹴れないだろうなあ。 | ||
ふだんはあまり気にかけないかもしれないけど、爪にはとても大事な役割があるんだね。 |
●手と足の爪の正しい切り方
保護者の方へ
爪を指で押すと白くなり、指を放すと元に戻ります。また、指の腹を押すと爪は赤っぽくなり、放すと元に戻ります。こうなるのは、押すことで爪の血流が変化するからで、それが爪を通して見えるのです。指先には、血管や神経が多く通っているため、爪の色や状態で、健康状態をチェックできるといわれます。たとえば、栄養不足になると、爪の根元にあり、爪が生まれる部分である「爪母」への血流量が減り、爪母細胞の代謝機能が低下します。すると、爪の色が変わることもあります。爪の色が白っぽい場合は、貧血の可能性があるともいわれています。このように、爪は体の異変を表す部位でもあり、昔から「健康のバロメーター」とされるゆえんなのです。
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