おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は砂漠のお話です。地球の陸地の面積のおよそ4分の1は、砂漠が占めています。どうしてこのような場所があるのでしょうか。砂漠のでき方を探ってみましょう。
砂漠はどうしてできるの?
砂漠は岩だらけで、雨も降る!?
6月に入ってから雨ばかり続くね。 | ||
梅雨だからしょうがないよ。雨が全然降らなくて、地面が砂漠みたいに乾いたら困るしね。 | ||
砂漠って、本当に雨が一滴も降らないの? | ||
まったく雨が降らないわけじゃないよ。まず、どんな場所を砂漠と呼ぶか、知っているかな。 | ||
太陽がじりじりと照って、とても暑くて、砂ばかりの土地。それが砂漠じゃないの? | ||
確かにそんなイメージだよね。砂漠とは、雨が少なくて、とても乾燥していて、植物が育ちにくい場所をいうんだ。どのくらい乾燥しているかは厳密には決まっていなくて、一般的に、1年間に降る雨の量が250mm未満なら砂漠と考えていいよ。東京の1年間の降水量がだいたい1500mmだから、その6分の1くらいの量だね。 | ||
なるほど。 | ||
ただし、降り方は偏っていて、一日にたくさん降って、その後は何十日も降らないことも珍しくないよ。また、砂漠はいつも暑いとは限らなくて、一日の気温差が激しいのが特徴なんだ。昼間は50℃以上になることもあれば、夜は0℃以下になることもあるよ。 | ||
砂漠って、天気も気温も、変化が激しいのね。 | ||
また、砂漠というと、一面が砂で覆われているイメージがあるけど、そうとは限らないよ。地面が土や粘土でできている砂漠もあれば、石ころがごろごろしている砂漠や、大きな岩ばかりの砂漠もある。実は、砂の砂漠より、岩石のある砂漠のほうが圧倒的に多いんだ。 | ||
へえ。日本の鳥取砂丘を大きくしたイメージだったけど、実際はずいぶん違うんだね。 | ||
鳥取砂丘は砂漠じゃないよ。そもそも砂漠と砂丘とではでき方が違うんだ。鳥取砂丘の砂は、もともと川が運んできたもの。山にあった岩石が、川によって細かく砕かれて砂になり、海に運ばれ、風によって海岸に打ち寄せられて積もったのが砂丘なんだ。 |
立地や気象によってでき方は違う
じゃあ、砂漠はどうやってできるの? | ||
砂漠は場所によってでき方が違うよ。地球上の位置を表すものに「緯度」があるよね。赤道を0度として、そこからどれくらい離れているかを表すもので、北極点が北緯90度、南極点が南緯90度だね。まず緯度が10~20度ぐらいの地域の海岸で、大陸の西側にできるのが「冷涼海岸砂漠」だ。雨が降るには暖かい空気が上昇することが必要だよね。それが上空で冷やされて雲ができ、雨粒となって落ちる。けれど、このような場所の沖には冷たい海流が流れていて、海岸近くの空気が冷えているので、上に向かう空気の流れが起こりにくい。だから、こういった海岸では、雨が降らないせいで砂漠ができるんだ。 | ||
海岸の近くなのに、不思議だね。 | ||
それから、緯度20~30度ぐらいの中緯度地域にできる「中緯度砂漠」。赤道付近は暑いから、暖められた空気が上昇しているけど、その空気は上空で南北に移動して、このくらいの緯度で地表近くに降りてくる。だから雨が降りにくいんだ。アフリカ大陸北部のサハラ砂漠が代表的だよ。 | ||
知ってる! サハラ砂漠って世界でいちばん大きいんだよね。 | ||
サハラ砂漠の面積は907万㎢で、日本の国土のおよそ24倍。サハラ砂漠は中緯度砂漠だけど、海から離れた大陸の内部にできる「大陸内部砂漠」でもある。海から遠く離れているところでは雨が降りにくく、空気が乾燥しやすいから砂漠ができるんだ。中国の新疆ウイグル自治区にあるタクラマカン砂漠もそうだよ。同時に、タクラマカン砂漠は「雨陰砂漠」でもある。このタイプの砂漠は大きな山脈の風下にできるんだ。海からの湿った空気は、山の斜面に沿って上昇し、山に雨を降らせる。けれど、反対の風下側には湿った空気が届かず、乾燥した空気が流れ、砂漠ができるというわけなんだ。 | ||
気候とか地形とか、いろいろな条件が重なって砂漠ができるのね。 | ||
砂漠は草一本生えない、動物も虫もいない場所と思うかもしれないけれど、砂漠の乾燥した環境に適応した生物がちゃんといるんだよ。 |
●世界の主な砂漠
※面積の出典は『理科年表2021』より
保護者の方へ
過酷な自然環境にある砂漠は、人も動植物も生きられないイメージがありますが、砂漠には乾燥地に適応した、その地域でしか見られない種が生息して、独自の生態系をつくっています。また、砂漠の砂は風で飛ばされて各地に害を及ぼしますが、一方で、リンや鉄分を含んでいる砂が遠くに飛ばされることが、海や森の栄養源となっている側面もあります。歴史をたどると、ユーラシア大陸の砂漠はラクダを使った交易の主要なルートであり、また砂漠のオアシスや海岸を中心に都市がつくられる例もあります。何もない不毛なところと思われがちな砂漠ですが、調べればさまざまな豊かな表情を見せてくれることがわかります。
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