おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はランドセルのお話です。小学生がランドセルを背負って通学する姿は、実は日本ならではのもの。海外では見られません。では、このランドセルは、いつ生まれ、どのように発展してきたのでしょうか。
ランドセルっていつからあるの?
もともとは軍隊のリュックだった
4月になったら新しい1年生が入ってくるね。ぴかぴかのランドセルを背負って、元気に登校してくるんだろうなあ。 | ||
お母さんも、おじいちゃんも、ランドセルを背負った子どもを見ると、懐かしいって言うよ。ランドセルって昔からあるんだね。 | ||
へえ。おじいちゃんもランドセルを使っていたんだ。ランドセルっていつごろからあるのかな。 | ||
ランドセルを学校で使うようになったのは、学習院初等科が最初で、1885(明治18)年からといわれているね。それまで制服はあったけれど、通学かばんの決まりはなかったので、この年から「背のう」を参考にしたかばんを、通学かばんとして使うことに決めたそうだ。 | ||
「背のう」って何? | ||
背負うタイプの箱型の四角いかばんだよ。江戸時代の終わりに、日本が西洋式の軍隊制度を採り入れたとき、兵隊さんのかばんとして「背のう」が伝えられて、日本の軍隊でもそれを使うようになったんだ。「背のう」は丈夫で、両手を空けておくこともできる。それで通学かばんとして使われるようになったんだろうね。「背のう」はオランダ語で「ランセル」。そこから「ランドセル」と呼ばれるようになったといわれているよ。 | ||
ランドセルがなかったときは、教科書やノートは何に入れて学校に行っていたの? | ||
当時は華族といって、日本にも貴族のような階級があって、学習院はその子どもたちが通う学校だった。だから馬車や人力車で登校する子が多く、自分で荷物を持ち歩かなかったんだ。ところが、学習院は1885年に、教育の場は平等であるべきという考えから、馬車や人力車での登校を禁止したんだ。それで通学用のかばんが必要になったというわけだね。 | ||
華族じゃない普通の子どもはどうしていたの? | ||
学習院がランドセルを使うようになってからも、革製のランドセルは高級品だから、庶民は風呂敷に包んで、手に持ったり、脇に抱えたりして通学するのが普通だったんだ。一般の子どもがランドセルを使うようになったのは1950年代の半ばくらいから。第二次世界大戦が終わって10年くらいたち、日本が復興すると、学用品や教材も増えて、ランドセルのようなかばんが必要になったんだ。当時は素材もいろいろで、アルミ製のランドセルが使われた時代もあったそうだよ。 | ||
アルミ製なんてお弁当箱みたいだね。 | ||
その後、軽くて丈夫な合成皮革や天然皮革がどんどん開発されていったけれど、箱型の基本的な形は昔から変わっていないよ。 |
本当は大人だって持ちたい!?
ランドセルって日本にしかないの? | ||
外国にも似たようなものはあるけれど、日本みたいに、ほとんどの小学生が使っている国は珍しいよ。決まった形の通学かばんがない国は多いし、決まった形があっても、手提げ式や肩掛け式のかばんが多いよ。教科書を学校に置きっぱなしにする国もあって、そういう国ではランドセルは必要ないしね。 | ||
どうして日本の小学生はずっとランドセルを使っているんだろう。 | ||
使いやすいからかもしれないね。ランドセルは、活発な小学生が乱暴に扱っても壊れにくい。6年間使えるよう、いろいろなことを考えて作られているんだ。背負いベルトの工夫などで、重い本を入れても重さを感じにくくなっているし、後ろ向きに転んだときは、頭と背中を守ってくれる。そういう良い点が認められてか、ヨーロッパやアメリカでは今、日本のランドセルが大人の「おしゃれかばん」として人気を集めているんだよ。 | ||
えっ! 大人がランドセルを使うの!? | ||
有名な女優さんがファッションに取り入れて話題になったことがあるし、日本のアニメでランドセルを知ったことで、使うようになった若者もいるそうだよ。 | ||
なんだかうれしいね。 | ||
昔からあるものは、廃れてしまうことが多いけれど、時代の変化に合わせて、使い続けられているのはうれしいよね。 |
●昔はこんなランドセルを使っていた
保護者の方へ
背負うタイプの通学用のバッグを学校で使用するように決めたのは、学習院初等科が最初だといわれます。1877年(明治10年)、華族学校として誕生した学習院の生徒は、当初、自分で荷物を持たず、使用人が持ったり、馬車で通学したりしていました。それを学校が禁止し、自分で荷物を持たせるようにしようと取り入れたのが、通学かばんとしての「背のう」でした。当時は布製でしたが、革製に変わってからは、ランドセルの基本形は今に至るまでほとんど変わっていません。変わらないものには使い続けられてきた歴史があり、文化があることがわかります。
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