受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

強く生き抜く力を養う
多彩なプログラムを通して
国を支えるリーダーを育成

聖光学院中学校高等学校 校長 工藤 誠一 先生

海外研修やボランティア活動など
世界を知る貴重な学びも

キャプションあり
上/図書室の一角に設置された「カルチェラタン」。おしゃれなカフェのような居心地の良い空間です
下/学年集会や保護者会、講演会などで利用される小講堂。約250人を収容できます

神田 一方で、海外での研修や行事が多いのも大きな特徴ですね。

工藤 「海外での行事が多いから聖光学院を選んだ」という保護者の方もいますから、そうかもしれません。年に9回ある海外研修のうち6回は、事前に10人ほどの教員が2週間かけて現地調査をしてプログラムを組んでいます。業者任せにしないのが本校の特色です。

神田 海外研修としては、まずカリフォルニアにある名門の私立学校、ハーカースクールで行う、少人数クラスに分かれての語学研修がありますね。また、メリーランド大学ボルティモア・カウンティ校で、語学研修や現地の学生と交流ができるプログラムもあります。ほかにブリティッシュコロンビア大学で学ぶカナダ研修、オークランドのオレワ・カレッジで学ぶニュージーランド研修などがあって、非常に充実していますね。

工藤 それぞれ20~40名ぐらいの希望者を対象とした研修で、語学力の向上を目的としたホームステイだけでなく、海外企業への訪問やボランティアにも取り組んでいます。近年は、留学を希望する生徒も増えていて、学校としてもサポート体制の整備を進めています。

立見 国内でのボランティア活動にも以前から熱心ですね。昨年は生徒有志が能登半島地震の被災地を訪れたと伺いました。

工藤 2011年の東日本大震災のときも、2016年の熊本地震や、2019年に千曲川が決壊した長野の水害のときにも現地で活動しました。能登(輪島市)には昨年の11月に1陣と2陣に分かれて2回行きました。能登は1月に地震があって9月に豪雨災害がありましたが、地震災害の場合は重機が必要なので、中高生の活動は難しい点があります。一方、水害は土砂が家の中に入りますから、人手が必要なのです。長野のときもそうでした。豪雨被害では何よりも人手が必要とされます。

神田 泥だらけになった床の掃除や家具の運び出しなどをしたそうですね。活動報告を読ませていただきましたが、「現地の方々の想像を絶する苦労を思うと、地域を守り支えるという強い意志を感じて心を打たれた」と書かれていました。

立見 先生は横浜YMCAの理事長をされていて、その関係があっての活動でしょうか。

工藤 YMCAはボランティア活動を長く続けているから同行できるというところはあります。その関係でタイに行った生徒もいます。インターアクトクラブという本校の奉仕クラブが中心になっている活動で、昨年の3月にタイに行って、山岳少数民族の村でのホームステイやボランティアワークをしました。その地域は人身売買と隣り合わせの環境にあり、子どもたちを守る活動をしている組織として、バンコクのYMCAが運営しているパヤオセンターに行って、スタッフの方々から話を聞き、いろいろなことを学んできたようです。

立見 インターアクトクラブは部活動とは違うのでしょうか。

工藤 本校には部とは別に公認団体というものがあります。個の力を発揮できるよう、生徒たちが活躍できるステージをたくさん用意するために設けたものです。映像同好会、英語ディベート同好会、コンサートを企画する団体などがあって、インターアクトクラブもその一つです。インターアクトクラブは森林伐採ボランティアも行っています。昨年の秋には高2と中2の生徒たちが、横浜市の水源である山梨県道志村の森林間伐ボランティアに参加しました。水源を管理することの大切さを学び、森林に太陽光が入るようにするための間伐を行ってきました。今度はマイクロプラスチックの回収を行い、それを使って、幼稚園の子どもたちが万華鏡を作るプログラムを予定しています。

25年5月号 さぴあインタビュー/全国版:
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