さぴあインタビュー/全国版
強く生き抜く力を養う
多彩なプログラムを通して
国を支えるリーダーを育成
聖光学院中学校高等学校 校長 工藤 誠一 先生
氷が溶けたら「水になる」ではなく
「春になる」と答えられる子に
サピックス
総合教育研究所 顧問
神田 正樹
神田 初めに聖光学院の沿革と、先生が学校にかかわってこられた経緯についてご紹介いただけますか。
工藤 本校は、フランスのブルターニュ地方に起源を持つキリスト教教育修士会を設立母体とする学校です。キリスト教教育修士会は貧しい農民への教育機会均等を実現するため、キリストの教える愛にのっとって1819年に結成されました。日本ではまず1954(昭和29)年に東京に国際聖マリア学園が創立され、その2年後に横浜にさゆり幼稚園ができました。本校が創立されたのはその2年後の1958年です。わたしはキリスト教の信者であり、本校の卒業生です。1978年に本校に奉職し、事務長、教頭を経て、2004(平成16)年に校長に就任しました。2011年からは経営母体である聖マリア学園の理事長も務めています。
神田 先生は静岡聖光学院の校長も兼務され、神奈川県私立中学高等学校協会・私立学校教育振興会・横浜YMCAの理事長、さらに日本私立中学高等学校連合会の副会長もなさっています。さまざまな要職を兼務されていて、初めてお目にかかったときもパワフルな方だと思いましたが、今でも変わりなく活躍されているのですね。
工藤 先日も、生徒がボランティアをしている関係でタイに行ってきましたが、朝5時半に日本に戻り、10時からYMCAの会員大会に出席しました。本校の校長に就任して今年で22年目になります。最近では、保護者の方に「いつまで校長先生をなさるんですか」と聞かれることもあります(笑)。
神田 この2月に『VUCA時代を生き抜く力も学力も身に付く男子が中高6年間でやっておきたいこと』という著書を発表されました。VUCAは、「変化が激しく、先行きが見えにくい状況」を意味することばとしてよく耳にしますが、最近は本当に社会が激変しています。そんな時代のなかで生き抜く力をどのように身につけるかをご家庭に伝え、学校と一緒に歩んでもらいたいという気持ちが著書にも表れていると思います。どんな経緯で執筆されたのでしょうか。
工藤 言い残しておきたいことを一度、体系的にまとめてみようと思いました。時代とともに変わっていくものがあるので、そういった意味で一つの区切りをつけたいという気持ちもあります。わたしが育てたいのは、「氷が溶けたら何になる?」という問いに、「水になる」ではなく、「春になる」と答えるような子どもたちです。AI時代の今、感性が鋭い子どもたちを育成することは本校の新たな使命だと感じています。理屈でものを説明することはAIでもできますし、「氷が溶けたら水になる」という答えも出せます。しかし「氷が溶けたら春になる」という答えはAIには出せません。それができるのが人間なのです。そういう子どもたちを育てていくことがとても大切だと思っています。
約1500人を収容できるラムネホール
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